適性検査が実施される目的や理由とは?個人として理解されるために

採用時に適性検査を実施する企業は9割

採用活動では、エントリーシートや履歴書の提出、面接など様々な方法で見極めが行われています。適性検査も人材の見極めを目的として実施されるプロセスです。

リクルートキャリアの調査によると、採用時に適性検査・筆記試験を実施している企業は91.8%と、多くの企業で実施されています。

採用活動プロセス毎の実施率
出典元『リクルートキャリア』就職白書2019

適性検査は経歴などではない、目に見えない「能力」や「性格」、「ストレス耐性」などを測るのに使われています。あくまで目に見えないものを可視化するツールであるため、受検結果の活用方法は企業によって様々です。

今回は適性検査が実施される目的や理由について説明します。

なぜ適性検査は実施されるのか?

適性検査はテストの種類によって内容は異なりますが、多くの場合「知能・学力検査」と「性格検査」に分かれます。知能・学力検査では、国語や数学、一般常識から出題されます。問題の難易度は小学校から中学校レベルで、専門的な知識は問われませんが、制限時間内に多くの問題を解かなければなりません。

企業が適性検査を実施する目的や理由について

適性検査を利用する企業は昔からありましたが、導入企業数が多くなってきた理由としては、Web公募手法によって多くの就活生が殺到するようになったことが挙げられます。インターネットやスマートフォンが普及している現代では、全国の様々な企業に応募ができます。

企業視点だと、全国各地の採用候補者の見極めをしなくてはいけません。人手不足と言われているのは、エンジニアなどだけでなく企業の人事部も同様であり、採用業務の効率化が課題となっています。

適性検査を活用することで、企業は以下のメリットが得られると考えられています。

  • 対象者の性格を客観的に理解できる
  • 効率的に人事データを収集できる
  • 人の目を通さず客観的な評価が可能
  • 機械的に分析していることで対象者に不公平感を与えない
  • 人事データをデータベース化して再利用が簡単にできる

企業ごとに重視するメリットは変わりますが、適性検査を活用している企業であればあるほど、複数のメリットを目的として適性検査を実施しています。

適性検査の結果を活用している企業の割合について

適性検査の結果は、選考においてどの程度重視されているのでしょうか?

アイデムの調査によると「SPI等適性検査の結果」を採用で重視しているのは15%弱の企業しかおらず、8割もの企業が「選考には利用しない」と回答しています。適性検査の一種である「性格検査の結果」についても、活用している企業は20%弱であり、75%もの企業が「選考に利用しない」と回答しています。

回答企業のうち、「適性検査を実施していない」企業が含まれていると考えられますが、9割もの企業が実施しているのに関わらず、過半数以上の企業が選考には利用していない状況と、採用選考の実施と運用で大きな乖離があります。

選考において、以下の項目をどのくらい重視するか
出典元『株式会社アイデム 人と仕事研究所』2018年卒新卒採用に関する企業調査

適性検査を実施している企業であっても、実施が形骸化している場合には、採用候補者で最も重視される「人柄・性格」の評価が「面接官による経験や勘」などによる主観的な評価となっている場合があります。

「25歳」という年齢であれば、応募している企業の誰が見ても「25歳」と認識されますが、「明るく元気のある」という評価は、企業の面接官や役員、将来一緒に働く可能性がある人で認識が異なる可能性があります。

適性検査を実施しているから「性格や能力を正確に把握してくれている」と判断するのはリスクが高いでしょう。

どんな項目を見極められているか

適性検査といっても、様々な種類があります。複数種類の項目を見極める適性検査もあれば、一つの項目のみを見極める適性検査もあります。

性格

人柄や人物像を見極めるために使用されます。

適性検査が作られたきっかけである心理学の知見によると、性格は生涯を通じて変化しにくい要素であるため、入社前の見極めが重要だと考えられています。

価値観

会社と合うかどうかを見極めるために使用されます。

仕事とプライベートのどちらを重視するのか、仕事の結果だけを評価されたいのか仕事の過程も評価されたいのかなど、仕事の進め方や将来のキャリアが会社にあっているのかを判断します。

結婚や昇進などのライフイベントをきっかけに変化する可能性がありますが、性格同様変化しにくい要素であると考えられているため、入社前の見極めはもちろんのこと、入社後の変化についても把握することが重要だと考えられています。

能力

国語力や算数力など、仕事をする上でベースとなる能力があるかを見極めるために使用されます。

性格や価値観と比べると変化しやすい要素ですが、人手不足で基礎学力の教育・研修をする時間やお金が確保できない、倍率が高くて足切りをしなければ面接などが実施できない場合などに使われます。

興味・関心

どのようなことを楽しい・嬉しいと思うのかなど、モチベーションの源泉を見極めるために使用されます。性格や価値観からの影響を受けますが、より具体的にしたものが興味・関心です。

会社と合うかどうかを判断するだけでなく、配属先や職種を選択する際の参考情報法として用いられます。

社会人としての教養と知識力

ビジネスマナーなどの最低限の教養や知識力があるかを判断されます。

入社後、研修や仕事について来られるだけの教養があるかどうかの判断材料になるでしょう。企業側もなるべく教育指導の負担を減らしたいのが本音です。

適性検査の活用方法は企業によってさまざま

適性検査は、目に見えないものを計測して可視化する目的で実施されます。9割以上の企業が導入しているものの、選考に利用している企業は少ないのが現状です。

適性検査を実施しているからと言って、性格や能力について正しい評価がされているとは限りません。適性検査を活用している企業であっても、面接や配属先の参考情報として利用することが多いです。

自身が受けた適性検査の種類から、どのようなことを企業が重視しているのかが読み取れます。適性検査や面接で、あなたの人柄について詳しく聞かれるようであれば、あなたのことを一人の人間として捉えようとしている可能性が高いです。逆に「志望動機」や「自己アピール」などの一般的な質問ばかりであれば、一人の人間というよりは会社に属する一人の従業員として捉えている可能性もあります。

適性検査を実施していないからと言って、一人の人間として捉えられていないと判断するのはリスクが高いです。適性検査を実施していなくても、熟練な面接官が人材を見抜いている可能性もあります。ただし、本当に正しく見抜かれているのかについては、離職率や離職理由を確認するなど、注意深く判断する必要があります。

多くの企業が採用基準として人柄や熱意などを上げているため、適性検査の結果を有効に活用して採用に取り組んでいる企業ほど、個人の人柄を理解しようとしている傾向が強くなります。

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