やりたい仕事が決まっているから転職するのか?
転職活動を行うときに、今までの経験を活かした同業種に転職するのか、新しい挑戦をするために異業種に転職するのかについて、多くの人が悩みを抱えています。
DODAの調査結果では、転職前と異なる業種に転職したか、異なる職種へ転職したか、その割合を知ることができます。異業種へ転職した人の割合は全体の半分を大きく超えて59.1%を占め、異職種へ転職した人の割合は全体の33.9%だったことがわかります。
転職を考える際、「やりたい仕事が明確にあるから」という理由で転職活動を始める人もいますが、多くの人が転職活動をしながらやりたい仕事を見つけています。
「やりたいことがみつからない」と具体的に転職を考えられない人も、仕事に対する核となる「自分の考え」を明確にすることによって、転職を考える際の理由や動機、つまり「仕事選びの軸」を見つけることができます。
この記事では、どのように仕事を選ぶべきか、「仕事選びの軸」について説明します。
転職を考える前にやっておきたい「初めの一歩」
転職を考える際に、最初に押さえておきたいポイントがあります。それは「なぜ転職したいのか?」ということです。
「今の仕事が嫌だ」「とにかく辞めたい」といった理由で転職を考えると、「給料が高い」「休みが多い」といった表面的なもので次の仕事を選んでしまう可能性が高くなります。そうすると、いくら転職をしたとしても他の部分が嫌になって、すぐに辞めたくなる人もいるでしょう。
自分が転職において実現したいことを明確にすることは、転職を成功させるための第一歩なのです。
以下に、転職において実現したいことを明確にするためのポイントを挙げます。
- 今の職場の不満は何か?
その不満は退職しないと解決できないのか? - 将来的にやりたいことは何なのか?
やりたいことは今の会社で実現できないのか?
上記を繰り返し考え続けることで、自分の本音が見えてくるはずです。今の会社で解決できるのであれば、転職しないという選択肢もあるでしょう。
心の中の本音を探ってみて転職の目的を明確にすれば、転職による後悔は少なくなるでしょう。
転職を考える際に明確にしておきたい「仕事選びの軸」
「なぜ、転職をしたいのか」を自分に問いかけることによって転職の目的をはっきりさせ、それでも「やっぱり転職だ」となれば次の段階です。
以下に、転職を考える際に明確にしておきたい項目を挙げていきます。
その仕事が好きかどうか
「その仕事が好きかどうか」ということは、仕事選びの軸としてとても大切です。好きなことを仕事にできるというのは、自分のモチベーションに関係するからです。
実際には「好きな仕事だから」という理由だけでは、選ぶ仕事の幅が狭まることがあります。その場合は「好きな仕事へ(間接的に)関われるか」を考えると選択肢が広がりやすいでしょう。
好きな仕事が思い当たらない場合は「やりたくないこと」を考えるのが効果的です。好きな仕事が分からなくても、やりたくないことやどうしても興味の持てないこと、嫌いなことは案外簡単に判断できます。どうしても決められない場合には活用してみるといいでしょう。
社会に貢献できているか
仕事選びの軸として「社会に貢献しているか」も大切なポイントです。「社会に貢献している」と感じられる仕事は「人に誇れる仕事」でもあると考えられます。社会に貢献している仕事、人に誇れる仕事というのは、人から賞賛もされます。
世の中にある仕事の多くは、何らかの形で社会に貢献していますが、貢献度をしっかりと説明できる人は少ないでしょう。自身がやりたい仕事を見つけたなら、商品やサービスがどんなところで役立っているのか、その業務がどういった形で社会に貢献しているかを考えてみましょう。
自身の中で「自分の仕事はどういった形で社会に貢献しているか」をしっかりと落とし込むことは、仕事にやりがいを感じ、転職後のモチベーションを維持することにやくだつでしょう。
将来性はあるか
「その仕事を一生の仕事にできるかどうか」も考えてみましょう。「一生の仕事にできるかどうか」は、「仕事が一生続けられるほどの安定性があるかどうか」ということでもあります。
流行に左右される仕事や、機械・人工知能(AI)に代わりそうな仕事は、近い将来、仕事そのものがなくなる可能性があります。せっかく転職できたとしても、またすぐに転職活動をしなくてはいけなくなるかもしれません。
将来性のある仕事に就くことで未来に対する不安もなくなり、安定した生活を送ることができます。不安なく、落ち着いて仕事に打ち込めるということは、仕事へのモチベーション低下を防ぐことでしょう。
将来、自身がやりたいことは?
「転職後、どのようなキャリアを積んでいきたいか」を考えることも大切です。転職を考えるきっかけとして「海外で活躍するキャリアを目指したい」「より専門的なスキルを身につけてスペシャリストとして活躍したい」「新しい家族が増えて、ワークライフバランスを考える必要がある」といった理由があるでしょう。
転職後に今後望んでいるキャリアを実現できるのかどうか「自分の希望と違う」という被害を最小限に抑えるためにも、将来、自分がやりたいことをしっかりと考えておく必要があります。
これまでどんな業務に取り組み、どのようなスキル・経験を培ってきたか。今後、どういった方向性で仕事をしていきたいかということを落とし込んでいきましょう。
待遇、給与を考える
転職を考える際、やはり給与アップを望む人が多いでしょう。または、ある程度給与は下がっても残業時間を減らしたいケースもあります。残業は減らしたいけど給与も欲しい場合、両方を叶えるのは難しいと考えておいた方がいいでしょう。
給与がよく見えても、勤務時間が長い、残業が多い場合は多々あります。勤務時間や給与に問題がない場合でも、福利厚生面が整っていない可能性があります。企業の評判や業界事情についてはきちんと下調べをしておくべきです。
待遇や給与を考える際、「自分にとって何が一番重要か」を常に頭の中に入れておくことが大切なのです。
仕事のマイナス点に着目する
仕事を選ぶ際には、良い点ばかりを意識してしまいがちです。人によって仕事を選ぶ軸はさまざまですが、良い点ばかりを見て、悪い点を意識せずに仕事を選ぶと、入社後に「思っていたのと違う」と後悔してしまいます。
仕事を選ぶ際には、仕事の苦労する点、勤務体系でのマイナス点など、悪い点もしっかりと調べてください。仕事の欠点をしっかりと調べたうえで「それでも働きたい」と思った仕事こそ、自分に向いたものだといえるでしょう。
「仕事選びの軸」を明確にする本当の理由
転職するときに大切にしたいことは何か、つまり「仕事選びの軸」へと落とし込んでいくことが重要です。なぜなら、転職をする際に「面接」を避けて通ることはできないからです。
面接では、転職理由を明確に、はっきりと伝える必要があります。「自分がやりたいことがわからない」といった漠然とした悩みを抱えたままでは、面接を成功させることは難しくなります。
現職の退職理由と志望理由にはある程度一貫性が求められます。辞めた理由が曖昧だと、面接官に意思決定能力が低い、熱意がない、などネガティブな印象を与えてしまいます。
頭の中で漠然としていたものを、「仕事選びの軸」に落とし込み明確にすることで、
- なぜ転職したいのか?
- なぜわが社(業界・職種なども含む)を選んだのか?
- 入社後どのような仕事に挑戦したいか?
- 10年後、どのようなキャリアを積んでいたいと考えているか?
- これまでの経験をどのように活かしたいと考えているか?
といった面接の際の質問に自信を持って答えていくことができるでしょう。
「仕事選びの軸」を持つことは大変重要です。転職活動を本格的にスタートさせる前に、是非一度立ち止まって考えを整理してみてください。
適性診断について
多くの転職サイトに見られる適性診断は、自分が「その仕事に適性があるかどうか」を知るのに役立ちます。適職診断は性格や価値観などから、マジョリティに従って、類似している職種を提示するものです。
自分が「やりたい」「一生の仕事にしたい」と思う仕事に就いても、自身にその仕事に対する適性がないために思うように仕事が進められず、後悔してしまう場合があります。好きな仕事に就いたからと言って、幸せになれるとは限りません。
自分の能力を「活かせる」仕事に就くことで、仕事にやりがいを感じる人もいます。自身の性格に合っていない仕事を選ぶことで、余計なストレスを感じるということも減るでしょう。自身の適性を見て仕事を選ぶことは、自分にとって良い選択となる可能性が高いため、効果的な方法とも言えます。
しかし、業種や従業員規模(大企業・中小企業)などで、求められる能力は異なるため、適性診断を絶対の判断材料とするのではなく、一つの参考程度とすることがいいでしょう。
適性診断を参考にしたうえで、それでもやりたいと思える仕事があれば、覚悟を決めてその仕事に向き合うことも一つの選択肢となるのです。
「なぜ転職したいのか?」をもう一度考えよう
未経験業種・職種にチャレンジする人材は多く、やりたいことが明確にあって転職活動を始めた人は過半数以下だということがわかりました。
「仕事選びの軸」を持つことの重要性もお話しました。転職活動をスタートさせる前に、ぜひ一度立ち止まって「仕事選びの軸」を明確にしておきましょう。