ストレッサー(ストレス要因)の種類や例とは?仕事や上司の影響範囲

ストレスの原因となるストレッサー・ストレス要因

仕事のストレスは、働く人(労働者や従業員ら)の健康と、彼らの所属する組織自体の健全な経営という双方における主たる懸案事項であると、世界的に広く認識されています。

ストレスとは、もともと物理学の分野で使われていたもので、物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態を言います。ストレスを風船にたとえてみると、風船を指で押さえる力をストレッサーと言い、ストレッサーによって風船が歪んだ状態をストレス反応と言います。たとえば「苦手な上司がいる」「長時間労働でツライ」などが「ストレスの原因=ストレッサー」で、「ストレッサー」を“認知する(見る、聞く、感じる)”ことによって精神や身体への反応が現れます。

ストレスを持つ人は、基本的に心身の一部もしくは全部が不健康で、モチベーションに乏しく、仕事の生産性も低い傾向にあります。彼らの所属する組織も、競争市場において大きな成功をおさめにくいものです。

ストレスの最も良い改善点は、「そもそもストレッサーを発生させない」ことです。今回は「ストレッサー」について、種類と具体例についてご説明します。

ストレッサーの種類と具体例とは?

こころや体に影響をおよぼすストレッサーには、大きく分けて「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の3種類があります。

ストレスの原因となる1つの出来事が起こったとしても、「物理的ストレッサー」と「心理・社会的ストレッサー」の2種類となるなど、複合的に作用する可能性があります。心のケアを行う際には、どのようなストレッサーが関与しているのかを調べて、対処可能なストレッサーに対して軽減を図る必要があります。

「物理的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「心理・社会的ストレッサー」の3種類のストレッサーについて具体例を確認しましょう。

物理的ストレッサー

温度や光、音など物理的な環境刺激のことです。

エアコンの温度が暑すぎる・寒すぎる、太陽光や照明がまぶしすぎる・暗すぎる、オフィスがうるさすぎる・静かすぎるなどです。最近では、パソコンやスマートフォンなどのディスプレイも無視できない問題となっています。

音に関しては、工事現場の音、自動車や飛行機の音など、外部からの影響もあります。

化学的ストレッサー(公害物質、薬物、酸素欠乏・過剰など)

化学物質や有機溶剤、金属、アルコール、タバコ、薬物、食品添加物といったものです。化学物質などの目や喉への刺激、匂いあるいは毒性はもちろんのこと、室内の空気環境(酸素欠乏)などもストレッサーとなります。

最近では多くの企業が受動喫煙防止対策を行っていますが、オフィスでの喫煙が許されている場合には、分煙や喫煙所の設置は必要です。

昼食などをオフィスで取る場合、カレーライスやカップラーメンなどの匂いにも注意が必要です。

心理・社会的ストレッサー(人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など)

普段私たちが「ストレス」と言っているものの多くは「心理・社会的ストレッサー」のことを指しています。職場には仕事の量や質、対人関係をはじめ、さまざまな要因がストレッサーとなりうることが分かっています。

心理的ストレッサーとは

不安、焦り、いらだち、怒り、緊張、抑うつといった感情をともなうものです。他のストレッサーと密接に関係していることもよくあります。心理的ストレッサーは「時間のストレッサー」「課題のストレッサー」などに細分化することができます。

時間のストレッサー

約束の時間に追われて、せきたてられているような場合です。締め切り期日や試験終了時間が迫ってきて焦るような時や周囲に遅れないように慌てている時などのように、時間を意識した時に感じるストレッサーです。

仕事の納期などの影響はもちろんながら、定時前での仕事の依頼や、定時後での仕事の依頼なども影響します。

課題のストレッサー

ノルマや目標の達成、仕事上の義務など、過大なことをしなければならないことがある時に感じるストレッサーです。

営業で月○件の獲得が必要である、納品物に一定以上のクオリティが求められるなど、様々な場面でストレッサーが存在しています。納期までに一定のクオリティを出さないといけない場合などは、課題のストレッサーだけでなく時間のストレッサーも影響を与えます。

身体的脅威

他者に傷つけられるのではないか、事故を起こすのではないか…などといったように身の危険を感じる時に起こるストレッサーです。

長時間労働が続くことで、いつか身体を壊してしまうのではないか、会社の飲み会や接待で過剰なお酒を飲まないといけないことで急性アルコール中毒になってしまうのではないかなとが該当します。

自我の脅威

自尊心やプライドが傷つけられるような場合に起こります。

みんなの前で上司に叱られたり、同僚に先を越されたり、とんでもない失敗をして不安になるようなことが含まれます。

社会的ストレッサーとは

情報過多や過密な都市生活、経済問題、政治問題、職場関係といったものです。

市場のグローバル化が進んだり人工知能などの発達や活用によって、今の業務は将来通用しなくなってしまう、多くのことを勉強しなければいけないといったことも社会的ストレッサーになります。

さまざまなストレッサーにどう対応するか

ストレッサーはさまざまで、すべてのストレッサーを完全に排除することは困難ですが、改善が可能なストレッサーもあります。管理職など責任の大きい職務や仕事に伴うストレスはある程度受け入れつつ、明らかに不要なストレッサーである劣悪な人間関係や労働環境などは改善が必要です。

自社でどういった要因がストレッサーになっているのか、ストレスチェックなどを通じて優先順位を付けて対策していきましょう。

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