労働移動支援助成金の中途採用拡大コースとは
少子化の加速などにより、人材の確保がより深刻な問題となっています。終身雇用が前提で新卒採用のみを行っていた大手企業が中途採用での人材確保を行うなど、各社が人材確保を行うために新たな施策や採用戦略を練っています。
少子化が加速して労働人口が減少したことにより、結婚や出産などで退職を余儀なくされる労働者、外国人労働者、定年後の再雇用などの施策が政府として推進しています。様々な人材が、自分にあった働き方などができるように、労働移動支援助成金という助成金制度を設けて、政府も企業への受け入れ体制の整備を推進しています。
労働移動支援助成金とは、離職を余儀なくされる労働者に対して、再就職支援や職業訓練等を行った事業主に給付される助成金のことで、再就職支援給付金とも呼ばれます。労働移動支援助成金のコースの1つに中途採用拡大コースがあります。
中途採用拡大コースは、採用者に占める中途採用者の割合を上げていくことや中高年齢者を初めて採用することを通じて生産性を向上させる事業主に対して、助成をするコースです。労働移動支援助成金の他のコースとは異なり、1人あたりではなく1事業所あたりの助成金支給とはなりますが、地域密着型の中小企業などは該当しやすい助成金となっています。
中途採用拡大コースの助成金の概要について
中途採用拡大コースは、中途採用者の雇用管理制度を整備し、生産性の向上を図るために中途採用の拡大を図った場合に助成される制度です。
中途採用の拡大とは①中途採用率が向上させること②45際以上の労働者を初めて雇い入れることとされています。
助成される事業主の条件
助成される事業主の条件として、以下の項目すべてに該当している必要があります。ただし基本的な項目が多く、すべてを満たす難易度は高くはありません。自社が対象か確認してみましょう。
- 中途採用計画の初日の前日から過去3年間の中途採用率が50%未満であること
- 中途採用計画の初日より前に、中途採用拡大コースのうち「中途採用率向上」の助成を受けたことがないこと
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 支給のための審査に協力すること
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
- 管内労働局等の実地調査を受け入れること
- 申請期間に助成金の申請を行うこと
中小企業であっても、地域密着型で高卒者を採用しているなどがあれば、比較的該当しやすい条件だと考えられます。
雇用する従業員の条件とは
労働移転支援金の中途採用コースで認定される従業員は、雇用保険の加入対象で期間の定めのない従業員になります。アルバイトやパートタイム労働者は含まれません。
中途採用率の計算式とは
助成金の支給要件に「計画期間の中途採用率を、計画期間から起算して過去3年間の中途採用率より20ポイント以上向上させること」などが定められています。
中途採用率は「助成金申請を行う計画期間の前後」で比較が行われます。
出典元『厚生労働省』労働移動支援助成金のご案内(中途採用拡大コース)
生産性要件とは
中途採用拡大コースでは、中途採用を行うだけでなく、生産性が向上している必要があります。直近の会計年度における「生産性」が下記いずれかを満たすことが必要です。
- 3年度前に比べて生産性が6%以上伸びていること
- 3年度前に比べて生産性が1%以上(6%未満)伸びていること
(金融機関から一定の事業性評価を得ていることが必要)
生産性が6%以上向上していれば、問題なく受給できます。ざっくりとした説明ですと、事業の売上を従業員の人数で割った場合の、一人あたりの売上で計算されます。
出典元『厚生労働省』労働移動支援助成金のご案内(中途採用拡大コース)
貰える助成金の金額
中途採用率の向上ですと1事業所あたり50万円が助成されます。45歳以上の初採用の場合は1事業所あたり60万円が助成されます。
中途採用拡大コースは助成対象となりやすい助成金
今まで新卒採用を中心に行ってきた企業、かつ事業が成長過程にあり、多くの人材確保が求められるような企業であれば、労働移動支援助成金の中途採用拡大コースの対象事業者となる可能性は高いです。
また45歳以上のマネジメント層などを初めて受け入れる場合にも適用されます。1事業所で1度きりの助成金にはなりますが、タイミングが合えば是非申請したい助成金です。チェックしておいて損はないのではないでしょうか。