ワークライフバランスの取り組み事例とは?実際の事例を5つご紹介!

ワークライフバランスに取り組む重要性とは?

ワークライフバランスとは、若者の経済的な自立や誰もが意欲と能力を発揮できる社会を目指して2007年に政府が策定した、仕事と生活の調和を意味する言葉です。

内閣府によるワークライフバランスの推進サイトの調査によると、男性よりも女性の方が「仕事と生活の両立が図れていると思う」と回答した割合が多い一方で、まだ半数程度しか実現できていないことがわかります。

仕事と生活の両立が図れていると思うかどうか
出典元『「仕事と生活の調和」推進サイト』企業等における仕事と生活の調和に関する調査研究報告書(平成31年3月)

ワークライフバランスの実現への取り組みは、人手不足や人材獲得難が続く現在の日本において、社員の定着率向上やエンゲージメント向上を図る上で非常に重要な課題です。

厚生労働省の調査によると、ワークライフバランスの実現に積極的な企業ほど売上が高く、離職率の低下や雇用の増加につながっている傾向があるという結果が出ています。

認定・表彰等の有無別売上高の水準、離職率、従業員数の水準
出典元『厚生労働省』労働生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた企業の取組

ワークライフバランスは、社員の定着率向上だけでなく、事業の成長においても重要なのです。ワークライフバランスの推進に取り組む際には、実際の企業事例から多くのヒントが得られます。

今回の記事では、ワークライフバランス推進に取り組んだ企業の事例をご紹介します。

ワークライフバランス推進に取り組んだ企業の事例とは?

ワークライフバランス推進に取り組んだ企業の事例を5つ、取り組みの目的・内容・結果に分けてご紹介します。

  1. 東濃信用金庫の事例
  2. 株式会社オークローンマーケティングの事例
  3. 旭化成グループの事例
  4. 株式会社資生堂の事例
  5. 株式会社デンソーITソリューションズの事例

1.東濃信用金庫の事例

東濃信用金庫は、岐阜県多治見市に本店を置く信用金庫です。

取り組みの目的

東濃信用金庫では、財団法人21世紀職業財団から「男性の育児参加促進事業実施事業主」の指定を受けたことをきっかけに、従来以上に社員のワークライフバランスの向上に取り組みました。

取り組みの内容

東濃信用金庫は、ワークライフバランス推進の施策として「連続休暇取得制度」と「ネーミング休暇制度」の整備を行いました。

連続休暇取得制度とは、年度初めに連続休暇取得計画書を総務に提出すれば、土日を利用して最大9日間の連休を取得できる制度です。上司への指導を徹底し、全社員が100%休暇を取得できるようにすることで、ワークライフバランスを推進しています。

ネーミング休暇制度とは、誕生日や結婚記念日、子供のイベント日など、社員が自分で選択した日に必ず有給休暇を取得できる制度です。年間1日の休暇名を各個人でネーミング・設定し、有給休暇を取得できるようにすることで、ワークライフバランスを推進しています。

取り組みの結果

東濃信用金庫の取り組みの結果、連続休暇制度取得率が2005年度で81%、2006年度で83%、2007年度以降は100%となり、社員のワークライフバランス向上を実現しています。

2.株式会社オークローンマーケティングの事例

株式会社オークローンマーケティングは「ショップジャパン」や「ヒルズコレクション」といったテレビショッピング番組を制作している企業です。

取り組みの目的

株式会社オークローンマーケティングでは、産前・産後休暇及び育児休業の取得を予定する社員の増加が予想され、女性社員が出産を機に退職してしまうのは会社として大きな損失であると認識したことをきっかけに、従来以上に社員のワークライフバランスの向上に取り組みました。

取り組みの内容

株式会社オークローンマーケティングは、ワークライフバランス推進の施策として「育児休暇と復職支援の充実」と「ファミリーサポート休暇」の整備を行いました。

育児休暇と復職支援の充実とは、育児休暇の期間を最大3歳まで延長し、復職時に極力ストレスがないように同じ部署に配属する制度です。組織改編によって元いた部署がなくなっていた場合であっても、個別にヒアリングを行い、復職者の希望を最大限考慮しています。

ファミリーサポート休暇とは、不妊治療や子どもの学校行事などの事情に対して、1年度に5日の特別有給休暇を付与する制度です。

取り組みの結果

株式会社オークローンマーケティングの取り組みの結果、育児休業取得者が2007年度は2名だったのが2009年度で8名、2010年度で7名と増加して育休後の復職率も100%となり、社員のワークライフバランス向上を実現しています。

3.旭化成グループの事例

旭化成グループは、事業持株会社である旭化成株式会社と6つの事業会社を中核に「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域で事業を展開している企業です。

取り組みの目的

旭化成グループでは、親の介護が必要になる社員の急増を見据えて、他の企業より一歩踏み込んだ仕事と介護の両立支援を目指し、従来以上に社員のワークライフバランスの向上に取り組みました。

取り組みの内容

旭化成グループは、ワークライフバランス推進の施策として「フレックスタイム制度のコアタイム短縮」と「制度利用の無期限化」の整備を行いました。

フレックスタイム制度のコアタイム短縮とは、社員の出退勤時間の自由化に加えて、出社を義務付ける時間を短縮する制度です。「1か月通算でフルタイム勤務相当の時間になるように」という条件を付けることで、社員が介護や子育ての都合に合わせて出退勤時間を調整できるようにしつつ、会社には通常勤務と同じ労働力を、社員には通常勤務と同じ給料を保障しています。

制度利用の無期限化とは、フレックスタイム制度の利用期間を定めない制度です。介護は何年続くか分からないため、フレックスタイム制度の利用期間の制限をなくすことで、社員の不安解消に大きく役立ちます。また、家族の介護を理由とする場合、要介護者1人・1疾病につき通算で1年間休業を取得できる制度も導入しました。

取り組みの結果

旭化成グループの取り組みの結果、介護休暇利用者が2014年・2015年ともに6名など毎年利用者がおり、女性だけでなく男性の利用者も見られ、社員のワークライフバランス向上を実現しています。

4.株式会社資生堂の事例

株式会社資生堂は、化粧品の製造・販売を主な事業とする企業です。

取り組みの目的

株式会社資生堂では、日本全体で男性の育児参加や家事負担率が低く、自社内の男性育児休暇の取得率も低かったことから、男性向けのワークライフバランスの向上に取り組みました。

取り組みの内容

株式会社資生堂は、ワークライフバランス推進の施策として「育児に関する情報交換の場の提供」と「短期育児休業」の整備を行いました。

育児に関する情報交換の場の提供とは、昼食の時間を利用して、育児休業利用者の体験談を聞いたり質問したりできる場を設ける施策です。女性に比べて育児の情報に触れる機会が少ない男性に対して、育児経験者の話を聞ける機会を提供することで、育児参加へのモチベーション向上だけでなく他部署の社員とのコミュニケーション促進も図っています。

短期育児休業とは、主に男性の取得促進を目指して従来の育児休業制度を改訂し、子が満3歳になるまで連続2週間の有給休暇が取れるようにした制度です。

取り組みの結果

株式会社資生堂の取り組みの結果、育児・介護に関する休業や短時間勤務制度の利用者が年々増加しています。

2017年度では育児休業(短期育児休暇含む)取得者数が1,483人(うち男性18人)、育児時間取得者数が2,130人(うち男性2人)、介護休業取得者数が37人(うち男性3人)、介護時間取得者数が24人(うち男性2人)となっており、男性の積極的な育児や家事の参加によるワークライフバランス向上を実現しています。

5.株式会社デンソーITソリューションズの事例

株式会社デンソーITソリューションズは、世界的な自動車部品メーカーである株式会社デンソーのシステム開発やITインフラ分野を担当している、デンソーのIT機能分社です。

取り組みの目的

株式会社デンソーITソリューションズでは、IT通信の業務内容の特性から業務時間過多になりがちであったり、有休休暇をほぼ取得できない状況があったため、社員のワークライフバランスの向上に取り組みました。

取り組みの内容

株式会社デンソーITソリューションズは、ワークライフバランス推進の施策として「所定外労働時間の削減」と「月単位のフレックスタイム制度の導入」を行いました。

所定外労働時間の削減施策として、原則として残業をなくし、事前申請に限って残業・休日出勤を認める制度を導入しました。また、残業申請がないのに就業終了時間と正門通過時間に30分以上の差異がある場合は注意勧告を実施するなど、サービス残業の禁止も徹底しました。

月単位のフレックスタイムとして、10:10~15:25をコアタイムとした、月間総労働時間をベースにしたフレックスタイム制度を導入しました。月間160時間を基準労働時間として、一定労働時間内であれば社員一人ひとりが自由に勤務管理できるようにして、業務の繁閑に合わせて柔軟に対応できるようにしました。

取り組みの結果

株式会社デンソーITソリューションズの取り組みの結果、有給休暇取得日数が年平均12.1日、所定外労働時間がほぼ0時間になり、社員のワークライフバランス向上を実現しています。

自社の抱える課題を明確にしてワークライフバランス向上に取り組もう!

ワークライフバランスとは、若者の経済的な自立や誰もが意欲と能力を発揮できる社会を目指して2007年に政府が策定した、仕事と生活の調和を意味する言葉です。

日本では2007年にワークライフバランス憲章が策定されてから10年以上が経過し、様々な企業がワークライフバランスに取り組んで結果を出しています。ワークライフバランスの推進に取り組む際には、実際の企業事例から多くのヒントが得られますが、他社の施策をそのまま自社で実施すれば必ず効果が得られるわけではありません。

自社のワークライフバランス向上を実現するためには、自社が抱えている課題を明確にする必要があります。自社と似た課題を抱えていた企業の事例を参考にすれば、自社のワークライフバランス向上のための大きなヒントが得られるでしょう。

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