ワークライフバランスの海外事例とは?自社の施策の参考にしよう!

海外と日本におけるワークライフバランスの現状とは?

ワークライフバランスとは、若者の経済的な自立や誰もが意欲と能力を発揮できる社会を目指して2007年に政府が策定した、仕事と生活の調和を意味する言葉です。

ワークライフバランスの目的は「仕事の時間を削減してプライベートの時間を大事にすること」と思われがちですが、厳密に言えば正しくありません。ワークライフバランスの本来の目的は、過重労働問題の解決や残業時間の削減だけではなく、仕事と生活を共に重視して調和を図ることです。

労働時間だけでワークライフバランスが実現できているかの比較はできませんが、ひとつの指標にはなりますので、労働時間の国際比較をみていきましょう。労働政策研究機構の世界での労働時間の調査によると、日本の平均年間総実労働時間は年々減少しています。

一人当たり平均年間総実労働時間(就業者)
出典元『労働政策研究・研修機構』データブック国際労働比較2018

労働時間の減少は一見良い傾向に見えますが、平均年間総実労働時間が減少した背景には、パートタイマー労働者の増加があります。厚生労働省の厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、常用労働者(パートタイム労働者)と一般労働者(正社員)の年間総労働時間は、200時間から300時間ほどの差があります。

常用労働者・一般労働者の1人当たり年間総労働時間の推移
出典元『ヒューマンタッチ』平成29年4月 最新人材市場動向レポート「ヒューマンタッチ総研Monthly Report」

パートタイムを含む常用労働者の総労働時間は短くなっている一方で、正社員に該当する一般労働者の総労働時間は、過去10年間2,000時間を超えたレベルでほぼ横ばいで推移しています。日本の労働時間は、一般労働者だけで見ると、まったくと言っていいほど減少していないのです。

一般労働者の年間総労働時間は約2000時間とされていますが、上記のデータには残業時間として計算されていない業務外時間労働、いわゆる「サービス残業」の時間は含まれていません。第一生命経済研究所の調査によると、現在の日本のサービス残業時間は、年間平均で約200時間という結果が出ています。

サービス残業時間
出典元『第一生命経済研究所』働き方改革下のサービス残業時間

日本の労働時間は、業務内時間とサービス残業時間を合わせると年間平均2,200時間であり、世界的に見ても日本人が仕事に割く時間が多いことは明らかです。

国際労働比較のデータによると、日本の女性就業者の割合は世界的にみて平均レベルであるものの、女性管理職の割合は主要先進国と比べて圧倒的に少ないことが分かります。

就業者及び管理職に占める女性の割合
出典元『労働政策研究・研修機構』データブック国際労働比較2018

日本でワークライフバランスを実現するためには「男性は家事に協力すべき」「女性は働くべき」などのようにどちらか一方に負担を強いるのではなく「男女の役割差をなくそう・小さくしよう」という、男女共通の意識や社会全体の価値観の改革が必要なのです。

今回の記事では、海外の事例からワークライフバランス実現のためのヒントを探っていきます。

海外におけるワークライフバランスの事例とは?

ワークライフバランスを実現できている海外の事例をもとに、ワークライフバランス推進の方法を探っていきましょう。

  1. スウェーデンにおけるワークライフバランスの事例について
  2. アメリカにおけるワークライフバランスの事例について
  3. ドイツにおけるワークライフバランスの事例について

1.スウェーデンにおけるワークライフバランスの事例について

スウェーデンは、世界全体の中でもワークライフバランスの先進国です。スウェーデンでワークライフバランスの実現が進んでいる背景には「経営者よりも従業員が強い」という考え方があります。

北欧諸国は労働組合の力が強く、スウェーデンでは従業員の約70%が労働組合に加入しています。社会全体の雰囲気として、従業員が自分たちで柔軟な働き方を作っていこうという風土があるのです。

労働組合組織率
出典元『労働政策研究・研修機構』データブック国際労働比較2016

労働組合は、団体協約交渉を担う機能を果たすため、現場レベルでの交渉による柔軟性が非常に高くなります。従業員が自ら条件やニーズを提案し、協議できる組織風土を作ることで、ワークライフバランスが実現しやすくなります。

2.アメリカにおけるワークライフバランスの事例について

アメリカは成果主義が強く、無駄な業務は行わずに効率よく働こうとする文化が根付いているため、ワークライフバランスの実現が進んでいます。

アメリカの総労働時間は、平均年間約1800時間弱と、世界的に見ても近年ではトップクラスの長さです。

一人当たり平均年間総実労働時間(就業者)
出典元『労働政策研究・研修機構』データブック国際労働比較2018

アメリカは成果主義で、働いた分だけ昇給や昇進に直結するので、自ら納得して働いている傾向があります。「企業のために働く」というよりも「自分のために働く」という意識が強いのが特徴です。「自分のため」の中には家族との時間も含まれ、エクスペディアの調査によると、有給休暇の取得に対して協力的な傾向が見て取れます。

上司が「有休の取得に協力的」と回答した人の割合
出典元『エクスペディア』世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2018

アメリカは成果主義の社会風土が強く、個人が仕事の面でも家庭の面でも「自分のため」を優先できることによって、ワークライフバランスの実現が進んでいます。

3.ドイツにおけるワークライフバランスの事例について

ドイツでは、従業員が自分の働き方を柔軟に調整できる仕組みの普及によって、ワークライフバランスの実現が進んでいます。

ドイツでは「労働貯蓄制度」や「労働時間口座制度」と呼ばれる、従業員が残業をした場合に残業時間を銀行口座のように貯めておき、後日休暇や時短勤務などで相殺する制度が広く普及しています。

労働貯蓄制度は、労働需要の短期的な変動に対して、従業員の増減やコストの上昇なしに対応できる自由度の高さが評価され、1990年代後半からドイツの製造業や金融業を中心に普及した制度です。

労働貯蓄制度の利用者は、残業手当を受け取る代わりに所定外労働時間を貯蓄して、有給休暇に振り替えて休みをとります。労働貯蓄制度で取得した休暇は、育児や介護だけでなく、資格取得のための勉強や長期休暇にも使用できます。

労働貯蓄制度の特徴は、ここぞという時期にはとことん働いて成果を挙げ、働いた分はしっかりと休息を取るという、メリハリの利いた働き方ができるという点です。繁忙期でどうしても休めない時や、自身のパフォーマンスがノっていていてバリバリ仕事をしたい時など、経験のある方は多いのではないでしょうか。

ドイツで普及している労働貯蓄制度は、繁忙期や調子のいい時に集中して働き、働いた分だけ後で休めるため、過重労働になることなくワークライフバランスを実現できるのです。

海外の事例を参考にしてワークライフバランス実現に取り組もう!

ワークライフバランスとは、若者の経済的な自立や誰もが意欲と能力を発揮できる社会を目指して2007年に政府が策定した、仕事と生活の調和を意味する言葉です。

ワークライフバランスの推進に取り組む際には、ワークライフバランスを実現している海外の事例が参考になります。海外の事例をそのまま日本で導入することは難しいですが、ライフワークバランスを推進する上での課題を解決するヒントが得られます。

ワークライフバランスを実現するためには、ワークライフバランス推進の取り組みそのものが目的になってしまわないように注意が必要です。どんな課題を解決したいのか、どんな施策なら課題を解決できるのかなど、取り組みの意味を考えることがワークライフバランス実現を目指す上で重要です。

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