IT系やスタートアップなど…「副業OK」の企業たち
ここ数年、メディアで取り上げられるワークスタイルのテーマの一つに「副業解禁」があります。
最近では、2018年の4月に大手銀行としては初めて、新生銀行が「兼業」ならびに「副業」を解禁。ユニ・チャームも同様に4月から「副業」を解禁していますが、それに先んじるカタチで、ソフトバンクは2017年11月、コニカミノルタも2017年12月に副業を認めています。もともと、日産自動車やリクルート、花王などの大手企業が副業をOKとしているのは有名なところですが、背景には、現政権が進める「働き方改革」で「副業・兼業」は推進すべしとしている流れが大きく関係しています。
国の流れより早く、IT系や振興系の一部の企業では、副業によって本業との相乗効果が生まれるとして、副業を就業規則ではっきりと認めており、先進的な活動として早くから注目されていました。
今回は先立って副業を解禁した企業の事例をもとに、「副業解禁」がどのような効果を企業にもたらしているかについて、ご紹介します。
「副業を解禁した」企業事例
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、グループウェアなどを開発する東証一部上場のソフトウェア開発会社です。2017年12月末時点で、連結従業員数は586名、単体従業員数は414名となっています。
開始時期
2012年から開始。サイボウズでは「本業」「副業」という概念がないため、「複業」と呼ばれている。
副業の条件
会社の資産を毀損することは行わないなど、基本的な禁止事項は設けているが、基本的には自己責任でほとんどの副業がOK。
業務や会社資産と無関係であれば、上司への報告・承認の義務はない。
副業によるメリット・当社ならではの特徴
副業を行うことで、自立心や儲け方についてのノウハウを学べる機会になっている。会社としては「社員が自分らしく働き、経済的にも精神的にも自立した未来となるよう、副業を認めている」とのこと。
副業は自立の一歩につながり、事業主としての考え方を勉強できるとして代表が推進しているのが、サイボウズ株式会社の特徴的な点です。
ロート製薬株式会社
ロート製薬株式会社は、創業100年を超える製薬会社です。2018年3月期時点で、連結従業員数は6,448名、単体従業員数は1,400名となっています。
開始時期
2016年2月から
副業の条件
条件は勤続3年以上でかつ、国内勤務の正社員。希望している副業の内容は、上司ではなく直接人事部に申告し、人事部の面談を経てOKが出れば始めることができる。
競合他社のメリットになるような仕事でない限り、厳密な審査はしないとのこと。社内でも複数の部署を横断兼務できるようにしている。
副業によるメリット・当社ならではの特徴
視野の広い人材を育成することが狙いです。現在、対象の1500名の社員のうち60人強の社員が応募。
NPO法人への参画や、地ビールの製造・販売する会社を設立した社員もおり、自社のサービスへの寄与なども見込んでいる。
コニカミノルタ株式会社
コニカミノルタ株式会社は、プリンターやヘルスケア用品を製造する電気機器メーカーです。2018年3月時点で、連結従業員数は43,299名、単体従業員数は5,282名となっています。
開始時期
2016年2月から
副業の条件
以下の3点を人事部長宛てに申請。
- 実施内容:会社名、勤務日数/時間、業務詳細内容、雇用形態等
- 取り組もうと思った動機
- 副業を通して、コニカミノルタにどのような貢献ができるか(その考え)
※特に、会社への貢献度やその内容を重視し、イノベーションの起点になり得るかどうかで判断。
「人財流出」「機密保持」「健康配慮」「競業避止」などのリスクを慎重に検討し、規定に記載。「健康配慮」「機密保持」「競業避止」については誓約書を締結している。
副業によるメリット・当社ならではの特徴
「副業解禁」は人財版のオープン・イノベーションだという考えのもと、実施しているとのこと。
副業を解禁した趣旨は、イノベーションの創出です。創業から140年という長きにわって、さまざまな変化に対応することでサバイブしてきた当社。会社を取り巻く事業環境が激変した今、「課題提起型デジタルカンパニー」として社会課題を解決することを会社の指針として、イノベーションを起こせる人材を積極的に応援する方向に舵を切ったことが背景。個の多様性を生かすことで、イノベーションの創出を促進することを目的としている。
現状はコンサルティングや顧問業務が多く申請されており、これまでの実務経験で培った専門性を世の中に役立てたいという動機が多いとしている。形態としては、業務委託というパターンもあるし、自分で起業するパターンもあります。
4月末時点で、合計14人を承認しています。
他社の事例に学んで、自社ならではの働き方を考察する
現在、厚生労働省(国)としては原則、副業(・兼業)を認めており、就業規則などの準備が整えば、多くの企業で解禁の流れになることが予想されます。本業へのメリットやリスクとともに、社員の健康状態や副業による変化に対応し、気を配ることが企業には求められますが、副業によってプラスに働く作用は少なくありません。
今回ご紹介した他社の先行事例を学びつつ、多様化する働き方の一つとして、「副業」を最大限活用するために何をしていくか、まずは考えてみてはいかがでしょうか。