職場の人間関係で悩む人の多くが、根本的な原因を解決できない方法でストレス発散をしている
職場の人間関係は、人事部や経営層の方の多くが抱える悩みのひとつです。
チューリッヒの調査によると、職場の人間関係にストレスを感じている従業員は7割以上であり、ストレスの原因としては「上司との人間関係」が1位で「同僚との人間関係」が2位と、職場の人間関係に起因するストレスが上位を占めています。
出典元『チューリッヒ』2018年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査
出典元『チューリッヒ』2018年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査
ストレスの発散方法としては「美味しい物を食べる」が1位に挙げられており、他にも「身体を動かす」「睡眠・休息を取る」などが挙げられているものの、いずれにしても根本的なストレス要因を解消できるような方法ではなく、従業員個人でできるストレス対策には限界があることが分かります。
出典元『チューリッヒ』2018年 ビジネスパーソンが抱えるストレスに関する調査
職場の人間関係は、早期離職の大きな原因になるだけでなく、社員の生産性に対しても影響があります。企業の維持・成長を図る上で、職場の人間関係を良くするための取り組みは、必要不可欠であると言えます。
今回の記事では、職場の人間関係の改善に成功した企業の事例から、具体的な改善方法をご紹介します。
職場の人間関係の改善に成功した事例とは?実際の企業の事例をご紹介!
職場の人間関係の改善に成功した企業の事例を、具体的な改善方法をまじえてご紹介します。
- 株式会社サイバーエージェントの事例
- 株式会社大成美術印刷所の事例
- 鈴木ヘルスケアサービス株式会社の事例
1.株式会社サイバーエージェントの事例
株式会社サイバーエージェントとは、メディア事業やインターネット広告事業、ゲーム事業や投資育成事業などを営む企業です。
株式会社サイバーエージェントでは、人事評価への納得度が高い部署と低い部署の差が大きく、人事評価制度の改善が課題となっていました。
実施した施策の具体的な内容
株式会社サイバーエージェントでは、人事評価の納得度が高い部署と低い部署の違いを調べたところ、納得度が高い部署は週に1回・月に1回など、上司と部下が頻繁に対話していることが分かったため、人事評価制度を改善するための施策として「月イチ面談」を実施しました。
月イチ面談は、上司と部下のコミュニケーションやフィードバックを行うために、以下の3つのポイントを中心に「とにかく話をよく聞いてあげること」を重視して実施されました。
- 先月の成果に対する振り返り
- 今月どうするのかという議論
- 中長期のキャリアの話
施策実施後の効果
株式会社サイバーエージェントでは、月イチ面談を実施した結果、上司・部下の双方から「安心できる」という声がたくさん上がりました。上司と部下が対話をすることで、成果に対する合意ができ、何に対して注力すべきなのかが明確になりました。
月イチ面談によって、上司と部下のコミュニケーションが定期的に行われるようになったことで、離職率の大きな改善も見られました。同社では、月イチ面談以外にも離職率低下のためにさまざまな施策を講じていましたが、月イチ面談を取り入れてから数年で一気に離職率が下がりました。
月イチ面談で上司と部下のコミュニケーションが活発になれば、直接的な相談でなくとも「何か悩んでいそうだな」と退職懸念が事前に分かるため、実際に退職してしまうまでにフォローを行えるようになったことが大きな要因のひとつと考えられます。
2.株式会社大成美術印刷所の事例
株式会社大成美術印刷所とは、金融機関やメーカーなどを対象とした印刷業を中心に事業を展開している企業です。
株式会社大成美術印刷所では、印刷業界全体が厳しくなっていく中で経営改革が必要になり、会社方針から個人目標までが連動した制度を設計する必要がありました。
実施した施策の具体的な内容
株式会社大成美術印刷所では、業績管理・評価・処遇の3つのポイントに注目し、それぞれの連動性を強めた人事制度を整備しました。
まず最初に、人事制度・経営方針・個人の日常活動の関係をひとつの図の中で示し、それぞれの関連性を考慮した上で、人事管理を行いました。下図は、各人事制度と営業方針や日常活動の関係を図示したものです。
出典元『厚生労働省』働きやすい・働きがいのある職場づくり事例集
次に、経営方針から部門の目標、個人の目標までに明確な結びつきを持たせました。
年度初めに全社的な年度方針が社員に示され、年度方針に沿った部門目標が作成された上で、グループや個人の目標が設定されます。一連の方針や目標は、ランクアップ計画/報告と呼ばれる下図のようなペーパーでまとめて、社員全員が全社方針や部門目標を直接確認できるようにしました。
出典元『厚生労働省』働きやすい・働きがいのある職場づくり事例集
最後に、経営方針や各部門の目標、各個人の目標の見える化に取り組みました。
個人の目標設定が完了した後に全社で年度方針発表会を実施し、発表会の場で他の部門やグループの目標を直接聞けるようにして、個人の目標設定や評価についても全社員が閲覧できるようにしました。
施策実施後の効果
経営方針や部門の目標だけでなく、各個人の目標までも可視化したことで、社員各自が自分の目標水準が同僚と比べて適当か否かを確認できるようになりました。
各個人の目標や評価の可視化は、社員にとってはプレッシャーとなる一方で、昇給や昇進のために設定すべき目標水準の明確化につながりました。また、評価結果を社員全員が確認できるため、属人的な理由を除いた公平で客観的な評価が行われるようになり、評価制度への納得度が向上しました。
3.鈴木ヘルスケアサービス株式会社の事例
鈴木ヘルスケアサービス株式会社とは、居宅介護支援や訪問介護、通所介護や在宅介護支援などの介護サービス業を営む企業です。
鈴木ヘルスサービス株式会社では、社員の希望に応じた異動を行いたいものの、サービス利用者との関係が重視される介護業務では定期的な異動が難しいという課題がありました。
実施した施策の具体的な内容
鈴木ヘルスケアサービス株式会社では、1日だけ他の事業所で実際に仕事を行う「体験異動」を定期的に実施しました。
定期的な異動が難しい代わりに、1日だけでも他の事業所の業務を体験することによって、自身の職場にはなかった視点や価値観に触れて新たな発見を促す教育訓練として機能しました。また、資格取得に伴うスキルアップを望む社員には、希望に沿った異動を行うようにしました。
施策実施後の効果
体験異動を実施した結果、各事業所の良い点・悪い点を互いに教え合うことによって、社員個人だけでなく各事業所もレベルアップしました。
体験異動の経験から本格的な異動を望む社員に対しては、資格取得やスキルアップの希望に沿った異動を行った結果、働く意欲の向上や業務効率の改善につながりました。
職場の人間関係を改善すれば、社員のモチベーションアップや生産性向上につながる!
上司と部下や同僚同士など、職場の人間関係の改善によって、社員のモチベーションアップや生産性向上につながる事例をご紹介しました。
多くの企業で実施されている施策のように、入社前の見極めではなく入社後の教育研修によっても職場の人間関係の改善は可能です。
職場の人間関係は「性格・価値観」などに紐づく影響が大きいため、まずは採用段階や配属段階である程度の見極めを行った上で、組織風土や既存社員との性格や価値観の違いを理解する機会を設けることが大切です。また、入社後にも伸ばせるコミュニケーションスキルやハラスメント研修などによって、中長期的な視点からも職場の人間関係を改善していくようにしましょう。
弊社サービス「ミツカリ」では、AIによって会社全体や部署ごとの価値観と人材の価値観を可視化し、採用・配属におけるマッチ度を測りミスマッチを防ぐことができます。職場の人間関係を良くするためのマネジメントツールとして、是非導入をご検討ください。