採用を効率化で内定率UPも両立できる
採用業務の効率化とは、単なる採用プロセスの簡素化ではありません。自社の採用要件に合うポテンシャルを秘めた人材を、採用プロセスの早い段階で選抜し論理的な評価を重ねることで、従来業務の無駄を省くことを指します。
リクルートキャリアの「就職白書2017」によると、10人採用するために、16人に内定を出しても入社は10人に満たないとの調査データがあります。採用予定人数よりも多くの人材に内定を出さないといけないのはイメージが湧きやすいですが、入社人数を確保するためには(応募者の質を問わないとして)内定数を約2倍弱確保する必要があります。
出典元『就職未来研究所』就職白書2017 -採用活動・就職活動編-
新卒採用における課題として、約7割の人事担当者が「採用に係るマンパワー」を挙げています。
出典元『就職未来研究所』就職白書2017 -採用活動・就職活動編-
人事の業務が増え続けるいまこそ採用の効率化を着実に進め、自社とマッチ度の高い人材を選抜すべきといえます。採用の効率化を図ることで、自ずと内定率UPを両立できるはずです。
採用の効率化を図るべき理由
リクルートキャリアの「就職白書2017」によると、新卒採用で学生が内定を取得した企業の数は平均2.2社と意外と多くはありません。しかし、内定を辞退した人の20人に1人が「内定が出るのが遅かった」ことを理由に内定を辞退しています。 採用の効率化を図り内定までのスピードを上げることで、内定率UPを図れるのです。
出典元『就職未来研究所』就職白書2017 -採用活動・就職活動編-
出典元『就職未来研究所』就職白書2017 -採用活動・就職活動編-
他方、長時間労働の是正や同一労働同一賃金への対応など「働き方改革法」への現実的な対応も求められています。副業容認や男性の育休取得促進などを採用ブランディングの一環として進める動きも見逃せません。
今後も引き続き多くの企業で、就労環境および制度整備といった新しい業務が人事にアドオンされていくでしょう。人事担当者の業務負担増加が懸念される中、採用の効率化は待ったなしなのです。
採用の効率化を図るための3つのポイントとは
採用の効率化を図るためには、3つのポイントがあります。それぞれのポイントについて説明します。
- 選考プロセスの見直し
- 評価方法の見直し
- HRテックを活用する
1.選考プロセスの見直し
採用要件に対し「最適とはいえない」選考プロセスを減らすことが肝要です。
例えば書類選考において、自社の採用意向がまださほど高くない応募者に対しても、必ず1対1の採用面接を実施することが慣行化していないでしょうか。選考の早期段階では、グループワークを活用することも一案です。
グループワークでは、面接数削減によって採用の効率化を図れるばかりでなく、書類選考や面接では見ることができない参加者の主体性や性格などを見極めることができます。
「せっかく面接に来てもらったのだから、1人1時間以上は話さないと申し訳ない」といった慣習も採用の効率化を妨げている可能性があります。できるだけ短時間で応募者を見極め、次の選考に進んでもらうかどうかを判断することも大切です。
2. 評価方法の見直し
選考プロセスの見直しを合理的に進めるためには、評価方法の見直しが必須です。その際、最も重要なのは「主観的な評価」から脱却することです。面接官の主観で面接の評価を行うことで、実はさまざまな”無駄業務”が発生しています。
例えば採用面接後、「自分が正しく評価できているのか自信が持てず、結論を出すのに時間がかかる」「上司への説明に時間がかかる」「合否の結論に組織内で異論が出た場合の話し合いに時間がかかる」。さらには「採用経験の長い人や社長の意見ばかりが優遇されて現場に納得感がない」…といった具合です。
評価基準を具体化し、組織が一枚岩となって面接を評価することができれば、採用面接の評価における効率化は一気に進むでしょう。
1人1人の選考を進めながら、その時々で評価項目を決めることも起きがちですが、これも効率的とはいえません。面接評価シートを作成し、各面接で重点的に見るべき項目を予め共有しておくことで、採用効率は格段に上がるはずです。
3. HRテックを活用する
2000年代前半頃から、米国シリコンバレーを中心に広まってきた「HRテック」がいま注目を集めています。HRテックとは、テクノロジーを使って人事の業務をより正確に効率化するシステムを構築し、一般の人事担当者に提供したものです。
具体的には、求人の最適化、採用管理の最適化、組織エンゲージメント・マネジメントの強化、勤怠・労務の効率化などのカテゴリーで、さまざまなサービスがリリースされています。
例えばSNS上やオンラインに公開されているエンジニアの情報を自動収集し、自動作成されたエンジニアのプロフィールを自社とのマッチング度が高い順に見ることができるというサービスがあります。機械学習により情報量が増えるほどマッチング精度が向上するため、どんどん業務負荷が軽減されていくことが期待できます。
あるいは、利用している求人媒体を登録し応募数・採用数を把握できるというサービスもあります。応募数・採用数を採用ホームページの原稿別に分析して可視化できるため、採用マーケティングにおける効率化を図るのに最適です。
弊社の提供するミツカリは、自社で活躍するメンバーや社風とのミスマッチを選考段階で見つけることができるサービスです。従来の適性検査が「求職者の結果はわかるが、自社に合うかなどは採用担当者が人手(主観)で判断しないといけない」部分を、自動化したサービスです。選考プロセスでの客観的合否判断に活用できるのはもちろんのこと、採用後の早期離職回避の効果があります。(導入活用事例については「ミツカリ – 導入事例」をご覧ください。)
HRテックは、テスト導入してみるだけでも採用プロセスの見直しや評価基準の見直しにも役立ちます。気になるサービスがあれば、一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。
人事が「人に向き合って」仕事をするために
今後も人事担当者の業務負担は増えることが予想されています。けれども、人に向き合い、その人が活躍できるように寄り添って、ファシリテートしていきたいとの想いで人事職を志した方も多いのではないでしょうか。
採用面接は、自社に合うかどうかを企業側がジャッジする場であるだけではなく、応募者が企業を選ぶ場でもあります。人事担当者が「自社に入社してその人が活躍できるかどうか」という視点を持ち、応募者の味方になって考えることができれば、自社への好感度も上がり、採用ブランディングにもつながっていく。そんな時代が訪れています。
人に向き合った人事であり続けるために、いま一度人事業務全体を俯瞰して見直し、採用の効率化を検討してみてはいかがでしょうか。