オヤカクの対策方法とは?親の悩みや求めるポイントを理解しよう!

新卒採用のポイントのひとつ「オヤカク」

「オヤカク」とは、内定を出した学生に対して、企業が「当社への入社を親は承諾しているか」を確認する、または企業が内定学生の親に直接連絡を取って説明・確認する行為のことです。

現在の就職活動の現場では、自身の就職に関して、親に確認をとる学生は少なくありません。以前から就職先が決定すればもちろん、親には報告をするケースは一般的でしたが、それはあくまでも「報告」で、相手に何か意見を求める「相談」や「確認」ではありません。

「報告」ではなく「相談」「確認」に変化してきた背景には、就職活動に対する親の関わり方や意識が変わってきたことが挙げられます。少子化という事象の中で一人っ子が増加し、子供に対する「教育」や「就職」への思い入れが、格段に強くなっていることが挙げられます。

オヤカクを実施する上で、就活生の子供を持つ親はどのようなことを気にしているのでしょうか?今回は、企業がオヤカクを行う施策の具体的な対策とポイントについて説明します。

「オヤカク」の現状と各社の事例

学生側の売り手市場が続く新卒採用の現場では今、内定後に、学生の親からも入社承諾の確認をとる「オヤカク」が広がっています。

一方で、オヤカクの印象が悪いとされている調査報告もあります。主婦層に特化した人材サービス業を展開しているビースタイルが実施した2018年5月の調査では「オヤカクの印象」を「良い」「どちらかと言えば良い」と回答した合計は18.4%、「悪い」「どちらかと言えば悪い」の合計は45.5%と、企業がオヤカクを実施すれば良いわけではないことが分かります。

良い印象を持つ回答者からは「隠れブラック企業は子どもに判断できない」「子どもに働くことに責任を持つと認識してほしい」という意見がありました。悪い印象を持つ人からは「成人した本人の決めたことに親の同意は必要ない。そこまでしないとつなぎ留めておけない印象」との声もありました。

オヤカクの印象

出典元『Bsty!e』働く主婦に聞く、子どもの就活への関わり方についてのアンケート 

同調査では、就職活動中の子どもに「アドバイスしたい」という答えは8割以上に達しています。アドバイスはしたいけど、オヤカクはやり過ぎと感じる人も少なくない現状が浮き彫りとなっています。

就活アドバイス
出典元『Bsty!e』働く主婦に聞く、子どもの就活への関わり方についてのアンケート

ビースタイルの川上敬太郎・しゅふJOB総研所長は「子離れの時期ではあるが子育てへの姿勢は人それぞれ。就活に向き合う親子の葛藤が垣間見える」と見方を示しています。

同じく新卒採用の支援サービスを展開しているネオキャリアの「就職活動における「企業」と「親」に関する調査」では、「オヤカク」施策が必要と考える割合は、企業58.4%に対して、親は32.2%と親の方がオヤカクに期待するレベルは低くなっています。

オヤカク施策について
出典元『株式会社ネオキャリア』就職活動における「企業」と「親」に関する調査

企業が実施している「オヤカク」の施策例とは?

「オヤカク」として企業がよく実施している施策として、「企業情報資料を親へ配布・送付した」(18.4%)「企業からの電話による挨拶を実施した」(8.1%)「親向けの内定同意書を配布・送付した」(6.8%)という結果でした。

「オヤカク」として親が受けた対応は「企業情報資料を受け取った」(10.8 %)「親向けの内定同意書を受け取った」(6.1 %)「親向けの内定理由通知書を受け取った」(2.1%)となっています。

オヤカク施策について
出典元『株式会社ネオキャリア』就職活動における「企業」と「親」に関する調査

上記以外のオヤカク対策の例としては、親向けに手紙や会社資料、メーカーであれば自社製品の発送、中には「家庭訪問」「会社見学」といった対策を取っている企業もあると言われています。

最近では、ある著名人が、某大手テレビ局にアナウンサーとして入社する子供の入社式に同席したことが話題になったこともあります。この著名人のように、入社式に親が同席することは珍しくなくなっています。サッポロビールでは、入社式に同席する家族の交通費の一部を負担するだけでなく、式典の後には会社見学、さらにはビアレストランでの家族の懇親会まで開催しています。

  • 親への会社情報資料の送付
  • 会社DVDの配布
  • 採用ホームページに、親向けの情報を追加
  • 親向けに内定理由通知書と会社案内やパンフレットの送付
  • 親へのフォローの電話、手書きの挨拶状、自社の商品などの送付
  • 内定式の写真の送付
  • 入社同意書の送付
  • 経営者や採用担当がじかに採用者の実家訪問、または親の企業訪問

参考URL『東洋経済ONLINE』採用担当者を悩ます「オヤカク」対策って何?

親が期待していることと企業の施策にある「ギャップ」

何事もやり過ぎは良くないといいますが、過度なオヤカクはかえって、内定者に不信感を抱かせてしまいます。オヤカクの対象は内定者の親ですが、あくまで主役は内定者です。

オヤカクを行う前には内定者にオヤカクの目的や趣旨をきちんと説明する必要があります。過度なオヤカクは「オハワラ(就活終われハラスメント)」と受け取られる可能性もあるので、内定者・親ともにコミュニケーションを大切にする必要があります。

ネオキャリアの調査でも、「親が希望する施策」と「企業で必要だと考える施策」とでギャップが存在しています。ギャップが大きいものの順に「内定承諾にあたり、企業からの対応は特に必要ない」(26.2ポイント)「企業情報資料を親へ送付」(18.7ポイント)「企業からの電話による挨拶」(11.1ポイント)となっています。

オヤカク施策について
出典元『株式会社ネオキャリア』就職活動における「企業」と「親」に関する調査

「親が希望する・企業が必要だと考える」全ての項目において、企業側の数字が大きい結果になっており、企業側のオヤカクに対する考え方や対応が、実際の親よりセンシティブであることも浮き彫りになりました。

「オヤカク」では適度な距離感を大切にしよう

オヤカクに対して否定的な意見もある一方で、肯定的な意見も一定数存在します。

企業としては、どこまで、何をフォローするか、見極めることが大切です。企業が実施しているオヤカク施策と内定者の親が求めている施策が異なる現状もあることも踏まえ、基本的には親にはライトな接触を行い、必要に応じて、直接のやり取り(電話など)のフォローを行える体制を作っておくことを意識しておきましょう。

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