強い企業づくりに不可欠な「組織風土」
企業の体質や従業員の行動、価値観などのことを「組織風土」と言います。抽象的で曖昧になりがちな概念ではありますが、良くない組織風土が形成されてしまうと、組織内でのトラブルや業績悪化にも繋がってしまうことのあるものです。
組織風土が醸成されるには、いくつもの要素が関わっています。強い企業づくりをするために、不可欠な組織風土が醸成される要素についてわかりやすく解説したいと思います。
組織風土を醸成する要素は2種類ある
組織風土を醸成する要素として「ハード要素」と「ソフト要素」の2種類があります。「ハード要素」とは目に見える要素のこと、「ソフト要素」とは目に見えない要素のことです。それぞれの要素について、具体的にどのようなものがあるのかを説明します。
組織風土のハード要素とは
ハード要素とは、規則やルール、制度などの目に見える要素のことです。
例えば、下記のようなものが挙げられます。これらは明文化されていることで、従業員がそれに従って動くようなものです。
- 経営理念
- 就業規則
- 人事制度
- 業務のプロセス
- コンプライアンス規約
- 業務マニュアル
例えば株式会社サイバーエージェントの経営理念「21世紀を代表する会社を創る」(参考URL:https://www.cyberagent.co.jp/corporate/vision/)であれば、どのような事業展開をするのか具体的なイメージがわきにくいものの、インターネット産業の中で、積極的に挑戦していく姿勢や環境があることが、外部からでもイメージできます。従業員の方であれば、なおさらのことでしょう。
就業規則や人事制度も、会社が何を良しとしているのかが明文化されているものです。法律の上で成り立つ社内でのルールが、組織内の従業員の行動や価値観に影響を与えています。
組織風土のソフト要素とは
ソフト要素とは、個人の行動様式や暗黙のルール、従業員の価値観などの目には見えない要素のことです。
ソフト要素には下記のようなものがあります。
- 部署内でのローカルルール
- 暗黙のルール
- 信頼関係
- チームワーク力
- 責任の所在
- 判断基準
- コミュニケーション
例えば「会議の際、一般社員は時間の10分前に着席、経営者や管理者は15分後に来るのが暗黙のルール」「全員が会議開始時刻に集合時、提示から進行するのが当たり前のルール」、
「業務報告は行うが、困ったときの相談をしたり悩みを打ち明けたりできる雰囲気ではない」「仕事上の報告だけではなく、仕事の進め方など困ったときには気軽に相談できる」
「顧客情報や進捗が一括管理されておらず、個々で管理している」
「個々に習得した顧客情報を一括管理し、みんなで共有している」
「問題をみつけて指摘しると仕事が増えたり、責任を取らされたりするため、もし問題をみつけても余計なことを言わないようになった」
「問題を発見して指摘することで、褒められたり評価してもらえたりするので、積極的に問題点を指摘したり改善案を提案したりしている」
「指示されたことだけをこなしていけばよい」
「自ら考えて行動する」
組織内には暗黙のルールが多くあります。一つの会社内で統一されているルールもありますが、部署やチームごとのルールなどもあります。現場社員も「この場面ではどう行動するか」を理解していても、勤続年数が長い社員ほど「常識」であると考えているため、全てを「明文化」することが難しいです。
このような目に見えないルールや考え方、価値観などは、創立時の価値観や習慣などで固着化しているもので、顧客満足や生産性の向上につながるものもあれば、逆に非生産的で組織の停滞を招くようなもの、あってもなくてもどちらでもよいもの、などが含まれています。
ハード要素とソフト要素の関係性
ハード要素は戦略や仕組み、規約などの目に見えるもので、ソフト要素は従業員の意識や価値観など目に見えないものという風に分けられます。
ハード要素は規約・制度の変更、新しいシステムの導入などで容易に変更できますが、実際に従業員に浸透し、組織の価値観や従業員の考え方が変えることができなければ本当の組織改革とは言えません。新しいシステムを使おうとしない、新しい規則に従おうとしない、言われたこと以上の事をしない、やらされている感が強くなり従業員がやりがいを失ってしまう、などといったことになる可能性もあります。
ソフト要素の改革はとても重要でありますが、ソフト要素だけを改革していては業績の向上につながるまでに多くの時間が必要となります。改革がだらだらとマンネリ化していまい、結局改善できなかった、ということがおこってしまうこともあります。
組織風土を変えようとする際には、「ハード要素を変えることで、ソフト要素を変えるきっかけにする方法」と「ソフト要素にアプローチしながら少しずつ意識を変えていく方法」があります。どちらかの方法だけで変えようとするのではなく、二つのアプローチ方法を併用しながら同時に変えていくことが大切です。
よりよい組織風土へ変革するために
自社の組織風土について理解を深め、よりよい組織風土へと変革していくためには、組織風土を構成している各要素についても理解することが重要です。それらの各要素が「企業にどのような影響を与えているのか」ということも知る必要があるでしょう。
今後は組織風土の各要素が与える影響について詳しくご説明したいと思います。