くるみん認定の申請方法とは?取得までの流れやプロセスについて

くるみん認定とは?申請方法と申請までのプロセスとは?

「子育てサポート企業」であることを社内外にアピールする手段の一つである「くるみん認定」制度。育児だけでなく、広くワークスタイル全般に意識を高くありたいと努力している企業の方々にとっては、「くるみん認定」はあくまでも“目安”の一つではありますが、数値目標をもって、社員も一緒に取り組むことができるという意味合いもあります。「くるみん認定」は、多様な働き方を推進する活動の一つとしての、意味のある企業活動と言えます。

くるみん認定を受けるためにはプロセスを踏むことが必要です。短くない時間がかかることと、申請に関してはいくつかの書類を整理していく必要があります。スムーズに認定を受けるためにも、申請のポイントを押さえておく必要があります。

この記事では、これから「くるみん認定」を受けるための、特に申請までのプロセスについて、ポイントを分かりやすくご紹介します。

くるみん認定申請までのプロセス

「くるみん認定」ですが、申請に関連するステップの前に、まずはクリアするべき「認定基準」があります。認定基準を満たした上でないと、申請そのものもできません。これらを踏まえた上で、申請のプロセスを確認しましょう。

認定基準を満たしている場合は「一般事業主行動計画(以下「行動計画」)」を策定するところからスタートします。「行動計画」とは、次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)に基づいて、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たり、①計画期間②目標③目標達成のための対策およびその実施時期を定めるものです。

※従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられています。

くるみんマーク認定の流れ
出典元『神奈川労務安全衛生協会横浜西支部』次世代育成支援対策推進法に基づく 一般事業主行動計画を策定し、くるみんマーク認定を目指しましょう!!!

「行動計画」を策定し、それを実施、目標を達成した後に「くるみん認定」申請、というのが大まかなフローで、全部で7つのステップがあります。「プラチナくるみん認定」を申請する場合は追加で2つ、合わせて9つのステップになります。

  1. 自社の現状や従業員のニーズを把握する
  2. 現状やニーズを踏まえて行動計画を策定する
  3. 行動計画を公表して社内外への周知を図る
  4. 労働局への届け出を行う
  5. 行動計画を実施する
  6. 労働局へ認定の申請
  7. くるみん認定と認定マークの付与
  8. プラチナくるみん認定の申請
  9. プラチナくるみん認定と認定マークの付与

1.自社の現状や従業員のニーズを把握する

行動計画が自社の実情に合ったものにするためには、仕事と子育てを両立させるうえでの問題点など自社の現状や従業員のニーズなどを把握することが重要です。

たとえば、過去5年程度をさかのぼって、以下のような事項を調べてみるのも一つの手です。こういった活動を繰り返すことで、自社の課題が見えてきます。

  • 妊娠・出産を機に退職する従業員がどれくらいいるか。
  • 子育て中の従業員がどれくらいいるか。
  • 育児休業、子の看護休暇、育児のための柔軟な働き方などの、性別や年齢別の利用者数はどうなっているのか。平均的な利用期間はどのくらいか。休業者が行っていた業務は、どのように処理されているか。

また、自社の従業員のニーズを把握する場合は、以下のような項目を調べてみることをおすすめします。

  • ワーク・ライフ・バランス支援制度の認知度、利用意向
  • 現在の支援制度に対する満足度
  • 仕事と子育ての両立で苦労している点
  • 労働時間の短縮や年次有給休暇の取得への希望
  • 今後、会社で検討・実施してほしい支援制度

2.現状やニーズを踏まえて行動計画を策定する

1で把握した自社の課題や従業員のニーズを踏まえて、一般事業主行動計画を策定します。行動計画には、計画の期間や具体的な対策、目標の設定なども必要です。

課題の優先順位をつける

ある程度課題が見えてきたら、各課題に優先順位をつけます。雇用環境の改善には一定の期間を要します。経営層の判断も仰ぎながら、優先順位を決定することも必要となるでしょう。

計画期間を決める

計画の期間は、各企業の実情を踏まえて設定しましょう。現実的な、無理のない期間を定めましょう。

目標を決める

子育て支援のための行動計画として盛り込むのにふさわしい目標を決定します。目標は可能な限り、定量的な数値目標としましょう。(例:○年までに育児休業取得率を男性○%、女性△%とする)

「制度の導入」を目標とする場合は、関係法令で定めている最低基準を目標とするのではなく、上回る水準に設定しましょう。

目標を達成するための対策を立てる

計画期間終了後に、くるみん認定を希望される場合は、認定基準を踏まえて、行動計画を策定してください。くるみん認定を受けた企業で、計画期間終了後に、プラチナくるみん認定を希望される場合は、特例認定基準を踏まえて、行動計画を改めて策定してください。

「行動計画書」のひな形などは、厚生労働省のWebサイトからダウンロードできます。
参考URL『厚生労働省』一般事業主行動計画策定・変更届様式のダウンロード

3.行動計画を公表して社内外への周知を図る

公表や周知をする時期は、行動計画の策定日から約3か月以内です。

一般(社外)への公表

公表の方法には、厚生労働省が運営するWebサイト「両立支援のひろば」や、自社Webサイト、県の広報誌などへの掲載があります。

インターネットが使用できない企業では、事務所に備え付けるなどの方法により、一般の方からの求めに応じて公表できるようにする方法でも差し支えありません。

従業員(社内)への周知

周知の方法には、社内への掲示や備え付け、広報誌等でのPR、紙面での配布、メール、イントラネット(企業内ネットワーク)への掲載などがあります。

認定の申請または特例認定の申請を予定している場合は、申請の際に公表および従業員への周知をした日付が分かる書類が必要になるため、以下のような書類を保存しておきましょう。

  • 「両立支援のひろば」や自社ホームページで公表した日が分かる画面を印刷した書類
  • 社内イントラネットで従業員へ周知した日が分かる画面を印刷した書類

4.労働局への届け出を行う

行動計画策定から、おおむね3か月以内に行動計画を策定した旨を都道府県労働局に届け出をします。届け出の方法は「一般事業主行動計画策定・変更届」を郵送や持参、電子申請が可能です。

届け出先は、行動計画は、本社がある都道府県の労働局となります。行動計画自体の届け出は必要ありませんので、策定した旨を届け出ます。

5.行動計画を実施する

一般事業主行動計画に沿って実施します。『PDCA(Plan:計画 – Do:実行 – Check:評価 – Action:改善)サイクル』を確立することが重要といわれています。目標を達成するための【計画】立案、【実施】する中で成果を【評価】して、必要に応じて【改善】するといった一連のプロセスを繰り返すことで、よりよい流れへと改善させていく動きが必要なのです。

6.労働局へ認定を申請する

ここからが「くるみん認定」の申請です。「行動計画」期間の終了後に、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に認定申請を行います。

申請時期と申請してから認定されるまでの日数

計画期間が満了し、目標を達成するなど認定基準を満たしていれば、行動計画を策定・実施した都度申請を行うことにより、その行動計画ごとに厚生労働大臣(都道府県労働局長に委任)の認定を受けることができます。認定申請書は受理後、通常では約30日程度で認定決定が行われます。

広告、商品等につけることが可能な「くるみん認定」マークは、認定決定通知書と共に、電子媒体(CD-ROM)で送付されます。

認定は、行動計画ごとに認定が行われますので、第1期で認定を取得し、第2期目には認定を行わなかった場合でも、第1期目で取得した認定マークを引き続き使用することは可能です。

申請に必要な書類

認定を申請する際に必要な書類は、一般事業主行動型作策定・変更届と認定申請書の2種類です。ともに厚生労働省のWebサイトからダウンロードできますので、申請時の最新のものを利用しましょう。

7.くるみん認定と認定マークの付与

労働局に申請し、認定基準をすべて満たした企業は「子育てサポート企業」として認定され、くるみんマークが付与されます。

8.プラチナくるみん認定の申請

ここからは「プラチナくるみん認定」に申請する場合です。

「プラチナくるみん」の認定は、事前に「くるみん認定」を受けていることが必須です。「くるみん認定」後の行動計画期間が終了した段階で、都道府県労働局へ申請します。

9.プラチナくるみん認定と認定マークの付与

「プラチナくるみん」の認定基準(特例認定基準)を満たすと、優良な子育てサポート企業として認定され、プラチナくるみんマークが付与されます。

くるみん認定の申請には行動計画の設計・改善が重要!

「くるみん」や「プラチナくるみん」の認定を受けるための申請は、もちろんステップとして必須ですが、何より大切なのは、働きやすい環境作りを目的に、しっかりとした「行動計画」を立てることです。申請のための必要な書類や手続きの把握はもちろんですが、まずは「行動計画書」の組み立てと、実施していく中での改善、という現場の視点を持って取り組むようにしましょう。

あくまで目的は「家庭と仕事の両立を支援する」ことであり、「くるみん認定を受ける」ことではありません。この活動が結果として「くるみん認定マーク」の付与につながるはずです。

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