面接チェック項目テンプレート(評価シート)作成時の注意点について

面接チェック項目のテンプレート(評価シート)の重要性とは

面接は、99%の企業が実施するといわれる一般的な採用手法です。しかし、組織が大きくなればなるほど、採用面接における関係者は多くなり、一枚岩となった採用活動はなかなかできないものです。面接官や採用関係者における採用選考基準の統一や、面接官の教育・訓練に課題を抱える企業は、実に3割以上です。

採用活動プロセス毎の実施率
出典元『リクルートキャリア』就職白書2019

新卒採用における課題
出典元『リクルートキャリア』就職白書2019

面接チェック項目のテンプレート(評価シート)は、採用関係者間での評価のばらつき防止に役立ちます。結果として、人事担当者の負荷軽減および採用選考のスピードアップを図ることができる、非常に重要なツールです。

採用選考における企業の課題

前述の「就職白書2019」によると、企業の採用選考における最大の課題は「「採用に係るマンパワー不足」です。労働人口の減少、ビジネス環境の変化、HR Techの台頭、労働市場における人材の多様化など、人事業務はより煩雑になり業務量は右肩上がりに増えています。

採用選考においてほとんどの企業が実施している「面接」に焦点を当て、採用業務効率化を図ることで、採用に係るマンパワー不足を打破するできれば、激しさを増す人材獲得競争における競合優位性向上につながるのではないでしょうか。

面接で見極めるべきチェック項目には優先順位を付けよう

面接に焦点をあてて採用業務効率化を図るために、ポイントは2つあります。1つは、面接であれもこれも確認しようとせず、面接で見極めるべきチェック項目に絞り込み、その中でも優先順位を付けることです。

面接は限られた時間で行われるうえ、初対面の相手を見極めなければなりません。ほとんどの場合、複数の採用関係者で合否を決定していきます。人事担当者と社長、人事担当者と現場責任者と経営者など、面接担当者が誰かは企業によって異なりますが、面接実施回数は2〜3回が一般的。限られた面接回数の中で、複数人が目線を合わせて応募者を見極めることは、決して容易ではありません。

2つ目のポイントとしては、面接で見極めるべきチェック項目に優先順位をつけ、さらにその項目について客観的な評価基準を設定し、採用関係者全員で一貫した評価を行うことが重要になります。

面接でのチェック項目は「性格・価値観」に重点を置こう

採用選考における評価項目は、スキルや能力、性格や価値観など、多岐に渡ります。ここで留意すべきは、スキル・能力は可変性が高いということです。いまのスキル・能力が、自社の採用要件を満たしていなかったとしても、教育・研修によって向上できます。逆にいうと、スキル・能力の向上に対するチベーションアップや動機付けを、企業側が上手に行うことができれば、入社後に”変身”させることが可能なのです。

しかし性格や価値観は、生涯を通じて変わりにくいと言われています。就労環境に合わせて、将来の夢や希望する働き方を変えざるを得ない状況では、長期に渡ってモチベーション高く働くことは困難ですし、変化と安定のいずれを好むかなどの性格は、変えようと思って変えるには限界があるものです。

面接でチェックすべき項目は、「性格・価値観」などの人物特性に重点を置いたほうが、自社に合う人材を見抜きやすく、入社後早期にまた長期的に活躍しやすい人材を獲得できるというわけです。

面接チェック項目のテンプレート(評価シート)の例

面接チェック項目のテンプレート(評価シート)の例をご紹介します。

この例では、評価項目は大項目と小項目に分けて、大項目には何を評価したいのかという「意図」を明記しています。

初対面の相手への印象

  • 服装や髪型など身だしなみ
  • 挨拶や表情、姿勢
  • 礼儀マナー、言葉遣い
  • 時間の遵守

「面接開始時間を守れるよう、余裕を持って到着した」「面接を通して、適切な敬語を使用して話すことができた」など、具体例を交えながら評価基準を共有しておくとよいでしょう。

業務遂行における組織内コミュニケーション

  • チームワーク
  • 自責か他責か
  • 情報共有

組織内コミュニケーションを図るにあたり、自社で重要視している行動を評価項目に挙げます。評価基準としては、「意見の異なる相手の言い分を傾聴できる」「社内外の情報を収集して、自ら組織内で共有できる」など、コミュニケーションスキルを細分化すると客観性が高まります。

トラブル発生時のストレス耐性

  • トラブル時の心理状態
  • タフネス

最大の困難や、それをどのように克服したかを質問して、「トラブルが発生した時でもポジティブシンキングできる」「トラブル発生の経緯を速やかに把握し報告できる」など、行動に即した評価項目を設定することで、評価のばらつきを軽減できます。

過去の行動について掘り下げて質問をすることで、応募者の思考や行動のパターンを把握しやすくなり、入社後のパフォーマンス予測に役立つ「行動面接」を導入することもおすすめです。

面接チェック項目のテンプレート(評価シート)作成時の注意点

面接チェック項目のテンプレート(評価シート)を作成する際、注意すべき観点は2つあります。

1つ目は既述のとおり、「性格・価値観」など人物特性を掘り下げること。面接という対話を通してこそ、実現できることです。

2つ目は、書類選考やウェブ診断では測れない部分を、面接でじかに見るということ。具体的には、服装や身だしなみ、仕草や態度などのことで、営業や人事など社外折衝が多い職種の場合は重要になるでしょう。

面接チェック項目のテンプレートは、運用しながら更新を

面接で優先的にチェックすべき評価項目と評価基準を明文化しても、評価がばらつくようであれば、評価項目をさらに細分化し、より具体的な内容に更新することで、客観的かつ見極めしやすくなるでしょう。

「主体性がある」「前向きだ」など、人によって受け取り方が変わる評価項目については、その評価項目がどのような内容を指しているのかを明確にしたり、面接官研修などを実施して、認識の統一化を進めていくための地道な努力も必要になります。面接チェック項目のテンプレートは、一度作成して終わりではなく、適宜改善を行うことが大切なのです。

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