従業員エンゲージメントとは?向上させるメリットとは?
従業員エンゲージメントが高まると、労働生産性の向上や離職率の低下など、様々なメリットが得られます。
特に売り手市場が加速している日本では、新規人材の獲得がより難しくなるため、会社を成長させるためには、既存従業員の労働生産性を向上させながら長く活躍してもらうことが非常に重要です。
従業員エンゲージメント向上に関する関心は、世界的にも高まっています。一方で、日本では従業員のエンゲージメントは、139カ国中132位と非常に低いことが報告されています。
参考URL『日本経済新聞』「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査
従業員エンゲージメントが日本で低い理由とは?
従業員エンゲージメントが日本で低い理由として、従業員エンゲージメントをそもそも知らず向上させようとしていない、向上させようとしたが失敗した、などの原因が考えられます。
自社の従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員エンゲージメントを高めるメリットを知り、従業員エンゲージメントを高める要素を把握して、施策に落とし込んでいくことが大切です。
今回の記事では、従業員エンゲージメントを高めるメリットと向上させるための3つの要素、エンゲージメント低下につながる要因の対策方法についてご紹介します。
従業員エンゲージメントを高めることで得られるメリットとは?
従業員エンゲージメントを高めることで得られるメリットは、以下の3つです。
- 従業員満足度が上がることで離職率が下がる
(優秀な人材の流出が防げる) - 個人が評価されている実感を持ち、将来へ向かい邁進できる
(指示以上の行動ができる) - 社員が会社のビジョンに共感していて、主体的に行動できる
(労働生産性が上がる)
従業員エンゲージメントを高めると会社の業績がアップする!
従業員のエンゲージメントを高めることで、どの程度の影響が会社に表れるのでしょうか?
従業員エンゲージメントと会社の業績との関係について、世界中で多くの研究が行われています。過去の研究から、研究結果のみをご紹介します。
- 従業員エンゲージメントが高い従業員は低い従業員と比べ、87%離職率が低い。
(Driving performance and retention through employee engagement. Corporate Leadership Council) - 従業員のエンゲージメントが5%向上すると営業利益は7%増加する。
(Towers Perrin 2004 European Talent Survey: Reconnecting with Employees: Attracting, Retaining, and Engaging, Towers Perrin) - 従業員エンゲージメントの高い会社の利益率は低い会社に比べて12%高い。
(Gallup Q12 Meta-Analysis, Gallup)
過去の研究結果から、従業員エンゲージメントは会社の業績や離職率に大きく影響を与えていることが分かります。従業員エンゲージメントを高めることは、会社を成長させるために非常に重要な要素です。
従業員エンゲージメントを高める要素、エンゲージメントドライバーとは?
従業員エンゲージメントを向上させるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか?
従業員エンゲージメントについて行われている研究の中で「従業員エンゲージメントを高める要素」のことを「エンゲージメントドライバー」と呼びます。
エンゲージメントドライバーとは、従業員が仕事に対して当事者意識をもって取り組むようになる、誘導要因を指しています。エンゲージメントドライバーにどのような要素があるのかを理解することが、従業員エンゲージメントを高める施策のヒントになります。
従業員エンゲージメントを高めるための3つの要素(ドライバー)とは?
従業員エンゲージメントを高める要素であるエンゲージメントドライバーは、大きく分けて3種類に分けられます。
- 会社や上司のビジョンが明らかで、信頼できる
- 適切に評価されていて、自信を持てる
- 従業員同士のコミュニケーションが多く、仲間意識を持てる
1.会社や上司のビジョンが明らかで、信頼できる
従業員の上司への感情は、組織への感情と直結しています。部下が上司を信頼していれば、従業員エンゲージメントも高まります。
上司と部下の関係は、小さな組織として置き換えることができます。経営者と上司の関係も同様に、小さな組織として置き換えることができます。会社全体の従業員エンゲージメントを高めるためには、小さな組織内でエンゲージメントを高めることが重要です。
上司のリーダーシップだけでなく、会社の持つビジョンも影響を与えています。どのように社会に貢献する(ミッション)のか、どうなっていきたい(ビジョン)のかに対して従業員が共感できてこそ、エンゲージメントの向上につながります。
会社が小さな組織の集合体である以上、全ての組織でミッションやビジョンが統一されていることが大切です。
2.適切に評価されていて、自信を持てる
人には承認欲求があるため、従業員は自分のことを会社が理解し、必要としてくれていると感じると、エンゲージメントが高まります。従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員に対して正当かつ客観的な評価をすることが大切です。
離職理由の多くに「給与が低い」ことが挙げられるのは、従業員が「正しく評価してもらえていない」ことに対して、会社に必要とされていない、自分のことを適切に理解していないと感じることが理由です。
会社から評価され、必要とされている意識は自信につながり、従業員のモチベーションが高まり、従業員エンゲージメントの向上につながります。
3.従業員同士のコミュニケーションが多く、仲間意識を持てる
価値観の違う他人同士ですから、従業員同士の間で考え方のズレはあって当然です。日々の何気ない会話や、交流する時間がお互いの理解度を高めていきます。
些細なことでも口にできる環境を作ることで、従業員同士のコミュニケーションが円滑になり、仕事上のミスを軽減する効果があります。働きやすい職場づくりは、帰属欲求を満たす効果があり、従業員エンゲージメントの向上につながります。
従業員エンゲージメントが向上しない理由とは?
エンゲージメントドライバーは存在するのに、従業員エンゲージメントが向上しない時は、阻害要因があるのかもしれません。
従業員エンゲージメントが向上しない!よくある阻害要因とは?
従業員エンゲージメントが上がらない理由として、代表的な要素を3つご紹介します。
自社で従業員エンゲージメントを高める施策を行っても効果が出ない場合や、これから対策を行う際の参考になれば幸いです。
- キャリアアップや将来性の見通しが立たない
- 評価体制が不明瞭でやりがいがない
- そもそも社風に合っていない
1.キャリアアップや将来性の見通しが立たない
社員同士仲も良く、仕事自体にやりがいもあるけれど、このまま働いていても将来が見えないという場合、従業員エンゲージメントを高めることが難しくなります。
「人材育成の場がない」「成長を手助けする仕組みがない」などの要因は将来への不安を招き、従業員が自社で働き続けることのモチベーションを失うことにつながり、従業員エンゲージメントが下がる要因になります。
従業員エンゲージメントを高めるためには、従業員のキャリアアップをサポートする制度や、今の業務が将来にどうつながるかを明確にして動機付けを行うなどの施策が効果的です。
2.評価体制が不明瞭でやりがいがない
日々の成果が人材登用や給与に反映されなければ、高いエンゲージメントは保てません。「社長と仲が良い人だけ昇格していく」ように従業員が感じているのであれば、従業員一人ひとりが必要とされていないと捉えられても仕方がありません。
従業員エンゲージメントを高めるためには、社員の能力や成果が正当に評価されて反映されていくような、従業員全員が納得のいく評価制度が必要です。
3.そもそも社風に合っていない
従業員が会社のビジョンに共感できなければ、共通の目的意識を持つことすら難しくなります。
従業員エンゲージメントを高めるためには、組織が何を目指していて、何のために行動していくのか、会社と従業員お互いの行動理念や価値観のすり合わせを行うことが大切です。
弊社サービス「ミツカリ」では、AIによって会社全体や部署ごとの価値観と人材の価値観を可視化し、採用・配属におけるマッチ度を測りミスマッチを防ぐことができます。
従業員エンゲージメントを高める3つの要素を理解しよう!
従業員エンゲージメントを高めるためには、向上の要因となるエンゲージメントドライバーの理解が必要です。自社の従業員エンゲージメントを高めるためには、3つの要素がどの程度達成されているのかを確認してみましょう。
既に達成されている要素と課題がある要素を明確にして施策に落とし込み、結果を確認して改善するといったPDCAサイクルを回すことが、従業員エンゲージメントを高めるための近道になります。