コンピテンシーモデルの作り方とは?ハイパフォーマーを分析しよう

実務の中で活用していく「コンピテンシーモデル」

近年、企業の中で注目されているコンピテンシーですが、組織の中で有効に活用していくためには「コンピテンシーモデル」を自社の目的に沿った形で組み立てていくことが重要です。

そもそも、コンピテンシーとは「業務遂行能力の高い人物(ハイパフォーマー)に共通する行動特性」と理解されています。もともとはハーバード大学で研究が進められ、人材開発の領域で、すでに日本国内でも広く用いられている考え方です。「コンピテンシー」の特異な点は、コンピテンシーの高さが、そのまま学歴や専門性と必ずしも比例するわけではないというところでしょう。

「コンピテンシー(Competency)」という言葉を企業の人事やマネジメントの分野で聞く機会が多くなりました。コンピテンシーとは、成果につながる行動特性のことです。目先の営業成績などの短期的な人事評価ではなく、どうすれば営業成績が上がるのかといった行動特性から中長期的な人材育成を見据えた人事評価が可能になります。コン...

一般的に使われる「頭の良さ」を表す指標というよりはむしろ、他者とは異なる行動特性を持ち、これを活用することで高い業務遂行能力を発揮している点が注目される領域なのです。

このようなハイパフォーマーの行動特性=「コンピテンシー」ですが、「コンピテンシーモデル」は、これを実務で使用するためにモデル化したものです。

実際に組織の中で「コンピテンシー」を活かしていくためには、いかに自社ならではの「コンピテンシーモデル」を作成できるかにかかっています。では、実際に「コンピテンシーモデル」を作成するにあたって、どのような要素に着目し作成していけばよいのでしょうか。

コンピテンシーモデル作成の5ステップ

コンピテンシーモデル作成のためには5つのステップが必要です。それぞれのステップについて説明いたします。

1.どのような人物を目標としていくか、ハイパフォーマー(高業績)の人材の洗い出し・明確化

まずはどのような人物を目標とするのかを明確化する必要があります。「業績が非常に良い」「効率的に業務をこなす」「ミスが少ない」など、業種や職種により様々な目標が考えられます。今回は「業績が非常に良い(ハイパフォーマー)」を目標とすると仮定して、話を進めます。

採用活動を成功させるためには、自社で活躍する可能性の高い応募者を見極めることが大切です。一般的に優秀とされている人物が自社で活躍する保証はないため、自社で活躍している社員から特徴を抽出するためにハイパフォーマー分析を行うことが、採用要件定義や教育研修などに落とし込む上で大切です。採用選考では、育成しやすいスキルよりも変...

目標が決まれば、ハイパフォーマーの行動特性を把握するところがスタートラインとなります。行動特性の把握が明確にできていなければ、評価モデルを構築することができません。

コンピテンシーモデルを設計するためにはまず、ハイパフォーマーと面談してヒアリングする必要があります。場合によっては、複数のハイパフォーマーを中心としたチームを作る必要もあります。

いずれにしても、会社として目指したい目標を達成できる行動特性を把握することは、コンピテンシーモデルを設計する際の最重要課題になります。

コンピテンシーモデルに設定する3つのタイプ

コンピテンシーモデルを設計する場合には、一般的に3つのパターンをベースにすると言われています。

理想型モデル

理想型モデルとは、企業側が求める人材像に基づいて、評価モデルを設計していくタイプです。

このタイプは、理想とするモデルを想定した上で、細かい評価項目を設定していきます。このモデルを活用するケースでは、組織の中に、モデルとするべきハイパフォーマーがいないなどの場合に有効なパターンです。

注意点としては、理想を追求し過ぎることで、現実と乖離した評価モデルや項目を設計してしまう可能性がある点です。いかに、自社の状況にあった実務的なモデルを設計できるかがポイントとなります。

実在型モデル

実際に存在するハイパフォーマーをモデルにすることを「実在型モデル」と呼びます。コンピテンシーモデルを組織で活用していく場合、多くは、この実在型モデルを使うケースが大半です。

実在型モデルは、組織に実際に存在する人物をモデルにして設計できるので、「理想型モデル」と比べて、現実に即したモデルを設計することが可能になります。

ただし、ここで注意すべきことは、「ハイパフォーマーの行動特性をできる限り正確に把握できるか」という点です。ある行動特性が把握できたとしても、業績に関係のない行動特性であれば、モデルに組み込む必要性がありません。

さらには、ハイパフォーマーの行動特性が、他の社員にとって再現性に欠ける場合には、評価モデルに採用するか否かを検討する必要があります。

ハイブリッド型モデル

「理想型モデル」と「実在型モデル」の良い点を合わせたモデルを「ハイブリッド型」と総称します。

2つのモデルの良い点は活かし、足りない部分は補完する形で活用する点で、もっともすぐれたモデルケースと言えるでしょう。この「ハイブリッド型モデル」は、ハイパォーマーにとっても有益なものとなるとなります。

「実在型モデル」のみを採用して組み立てたコンピテンシーモデルは、ハイパフォーマーにとっては、すでにできていることにすぎず、学びが少ないためです。「ハイブリッド型モデル」は、すべての社員にとって、意味のあるモデルと言えるのです。

2.行動特性を把握し、コンピテンシーの項目を作成する

ハイパフォーマーによるチームを作り、どの領域のモデルを作成するかを確定後、「コンピテンシー・ディクショナリー」から、必要なコンピテンシーの項目・要素を作成します。

コンピテンシー・ディクショナリーとは、「必要なコンピテンシーをすべて洗い出し、体系的に整理したもの」と定義されており、現在コンピテンシーを扱う多くのコンサルティングファームや企業で活用されているグローバルでの指標の一つです

コンピテンシー・ディクショナリーには、「6領域・20項目」で分類された領域があり、これを参考にして、それぞれの要素を踏まえた、具体的な評価項目を作成していきます。

評価項目を作成する際のポイントは、自社の実態と項目内容をいかにリンクさせていくかという点です。「コンピテンシー・ディクショナリー」は、あくまでも1つの指標です。業種や職種によって内容はさまざまに変化させていくものだという観点をもっておくことが大切です。

評価モデルや項目が、実際の運用の中で適していない場合は、再度コンピテンシーの行動特性を把握するようにしましょう。

日本におけるコンピテンシー

出典元『日本におけるコンピテンシー ―モデリングと運用―』著者:井村直恵

3.ハイパフォーマーへのインタビュー

②で項目の選定完了後は、ハイパフォーマーへのヒアリングを実行します。普段の行動レベルから、業務上で重視している、業務達成のためのモチベーションに関してなどを、前回選定した項目に沿ってヒアリングします。

そして、この結果から、ハイパフォーマーと一般の社員の違いを検証します。どの部分が違うのか、なぜそれが業績につながるのかを検証し、モデル化していきます。

この時に注意すべきなのが、それぞれの項目で、「必要最低限のレベル」と「卓越したレベル」に選別し、レベル化することです。

4.組織の将来ビジョンとのすり合わせ

ハイパフォーマーへのヒアリングができ、コンピテンシーモデルがある程度固まった後は、経営層との考え方のすり合わせを行います。

③までで選択した内容と経営者のビジョンに相違があった場合は、コンピテンシーモデルを作成した目的や、会社として達成していくべきものを再度丁寧に確認します。

最終的に、コンピテンシーモデルと経営ビジョンに乖離が出ないよう、ここでチェックしておくステップが必要です。

5.全社周知と内容の共有

コンピテンシーモデルが完成したら、全社員に共有し、行動指針とするべく活動を展開します。全従業員が対象の「コア・コンピテンシー」などは特に、行動規範としての指針となるため、丁寧に周知徹底することが求められます。

コンピテンシーモデル作成は、自社ならではの目標設定から

コンピテンシーモデルを作るためにはさまざまなステップがありますが、一つひとつ丁寧にステップをたどっていくことで、必ず、自社独自のモデルを作成することができます。

有効なコンピテンシーモデルを策定するためにも、まずは、自社として何を目指していくか、人材のあるべき姿を棚卸するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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