キャリアアップ助成金の正社員化コースとは?金額や条件について

キャリアアップ助成金について

働き方改革や同一労働同一賃金など、非正規雇用(有期契約)労働者の問題は解決しなくてはならない、優先順位の高い課題となっています。

非正規社員として働いているが、正社員として働きたいと考えている「不本意非正規」労働者は、労働者全体の14.3%、25歳~34歳においては約57万人(22.4%)いるとの調査があります。比率は減少傾向にあるものの、年代別の割合でみても最も多く、未だに「正社員として働きたい」と考えている非正規労働者が多くいることを示唆しています。

不本意非正規の状況
出典元『厚生労働省』非正規雇用の現状と課題

2013年に誕生したキャリアアップ助成金のコースの一つに「正社員化コース」があります。雇用の安定化を目的としたものですが、非正規雇用を正規雇用に転換、または直接雇用した場合に助成金が受給できるコースです。今回は正社員化コースについて説明します。

キャリアアップ助成金~正社員化コース~とは

正社員化コースとは、非正規雇用労働者の雇用の安定を目的としたものです。非正規雇用労働者の離職率が高い、長く働いてほしい、また優秀な人材を確保したいという課題を満たすことができるでしょう。

働く従業員の意欲や能力向上、また事業の生産性を高めて優秀な人材を確保することを目的としています。安心して、長く自社に働いてもらうことができ、また自社内でのキャリアアップも期待できます。

受給できる金額について

有期雇用から正規雇用、有期雇用から無期雇用、無期雇用から正規雇用の内容によって受給金額が変わります。受給金額が最も大きいのは「有期雇用から正規雇用」で、中小企業かつ生産性の向上が認められた場合には1人あたり最大72万円が支給されます。生産性の向上が認められなかった場合でも1人あたり最大57万円が支給されます。

  1. 有期契約労働者から正規雇用労働者
    1人当たり57万円【72万円】(42万7,500円【54万円】)
  2. 有期契約労働者から無期雇用労働者
    1人当たり28万5,000円【36万円】(21万3,750円【27万円】)
  3. 無期雇用労働者から正規雇用労働者
    1人当たり28万5,000円【36万円】(21万3,750円【27万円】)

( )内は大企業の金額、それ以外は中小企業の金額となります。また【 】は生産性の向上が認められる場合の金額です。

中小企業事業主の範囲
出典元『厚生労働省』キャリアアップ助成金のご案内

無期雇用は雇用期間の定めがない社員で、有期雇用時の業務内容や待遇は以前の契約と変わりません。正規雇用はいわゆる正社員と同義で条件や仕事内容、責任度合いも変わってきます。

1年度1事業所あたり20人まで申請できるため、最大72万(母子家庭などの条件を除く)×20人の1,440万の支給が可能です。

受給要件(条件)について

受給要件は、キャリアアップ助成金で共通するものと正社員化コースのみに適用されるものとあります。それぞれ分けて説明致します。

キャリアアップ助成金で共通する事業所要件

  •  雇用保険適用事業所の事業主であること
  •  雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
  •  雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
    (キャリアアップ計画書は、コース実施日までに管轄労働局長に提出すること)
  •  該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主であること
  •  キャリアアップ計画期間内に、キャリアアップに取り組んだ事業主であること

「キャリアアップ計画」とは、非正規雇用労働者のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるために、今後のおおまかな取り組み(目標・期間・目標を達成するために事業主が行う取り組み)などイメージでいいのであらかじめ記入するものです。キャリアアップ計画は、あくまでも当初の計画を記入するため、変更届を提出すれば随時変更することも可能です。

「キャリアアップ管理者」とはこのキャリアアップ計画をすすめる人のことで、1事業所あたり1名配置します。キャリアアップに関して知識、経験のある人が望ましいですが、資格などは必要ありません。

正社員化コース特有の事業所要件

正社員化コース特有の要件は、「転換される労働者」「転換する事業主」の双方に条件があります。雇用して6ヶ月以上の労働者であること、正規雇用を前提とした有期雇用でないこと、事業主や取締役の3等親以内の親族でないことなど、不正受給を防ぐための要件が主となります。

事業主の要件の中でも、わかりづらい点について説明します。

当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者(以下「特定受給資格者」という)となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者(以下「特定受給資格離職者」という)として同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該転換を行った日における雇用保険被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者であること。

引用元『厚生労働省』キャリアアップ助成金のご案内

正社員の転換日
出典元『厚生労働省』キャリアアップ助成金のご案内

例えば正社員に転換される日が2018年10月1日の社員が、その転換される日の半年前から1年経過する日、要は2018年4月1日~1年後の2019年9月30日までの間に離職し、その離職した理由が「解雇(3年以上更新された非正規社員で雇止め通知なしを含む)」または「事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職」だったとします。

転換する社員だけでなく、他の従業員でも離職があったとした場合、その離職者の割合が社内の雇用保険者被保険者数(雇用保険に加入している社員数)の6%を超えている事業主は対象外となります。

細かい規定がいくつかありますので、自社が該当するかどうか確認してみましょう。

参考URL『厚生労働省』キャリアアップ助成金のご案内

申請手順や期間について

キャリアアップ助成金の受給までの流れ
参考URL『厚生労働省』キャリアアップ助成金のご案内

手続きの申請に関しては、キャリアアップ計画書の作成や、人事制度や就業規則の改定を経て、転換後、正規雇用労働者、または無期雇用労働者としての賃金を半年の支払いが必要となります。

支給申請はその後、賃金を半年分支給した日の翌日から起算して2か月以内に申請するフローとなります。

助成金申請における注意点について

支給申請において注意点があります。

キャリアアップ計画書を提出し、労働局の認定を受けていることが挙げられます。転換前に事前に申請をすることが必要で、計画書を提出せずに正社員へ転換してしまった場合助成を受けることはできません。

キャリアアップ助成金には目的に応じた7つのコースがあります。どのコースを申請するにしても、キャリアアップ計画書という書類の提出が必要です。キャリアアップ計画書は、会社情報などの一般的な項目だけでなく、誰を対象としたキャリアアップ計画を行うのか、目標や全体の流れはどのようなものかを記載しなければなりません。キャリアアップ計画書の概要と書き方や記入例、提出期限などについて説明します。

対象労働者の労働者名簿、賃金台帳や雇用契約書、就業規則等を提出するため、これらの書類はチェックされます。チェック項目は、それぞれの整合性、時間外、休日、深夜の手当が支給されているか、またその計算方法は正しいか、その他労働基準法に違反する事項はないか等、細かく見られますので労働法令等を遵守していることは大切です。

対象労働者を転換後6か月以上雇用し、6か月分の賃金を支払っていることが求められますが転換前6ヶ月の賃金と転換後6ヶ月の給与が5%以上アップしていることも条件となるので注意が必要です。

正社員化コースは最大年間1440万支給される!

非正規雇用労働者を正規労働者として雇用した場合には、対象となる労働者の元々の雇用形態に応じて助成金が支給されます。

1年度1事業所あたり20人まで申請できるため、最大72万(母子家庭などの条件を除く)×20人の1440万の支給が可能です。不正受給などの悪用は厳禁ですが、非正規雇用の社員を正規社員に雇用する制度作りを始めるきっかけとして、決して少なくない金額を受給できる良い機会ではないでしょうか。

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