キャリアアップ助成金とは?非正規雇用労働者の問題を解決しよう!

正規・非正規、無期・有期の差を埋めるキャリアアップ助成金とは

政府が推進する「働き方改革」で取り組む課題として、労働人口の増加があります。少子化に伴い、労働人口が減少することで、国全体の生産力の低下・国力の低下は免れないとして危惧されています。

労働力人口の推移
出典元『厚生労働省』労働力人口の推移

労働人口を増加させるために、外国人採用などの国外からの労働者確保だけでなく、国内での労働者確保にも焦点が当たっています。定年後の再雇用はもちろんのこと、家庭などの都合で仕事から離れた人材をパートタイマーやアルバイトとして雇用するなども施策の一つです。

パート労働者は年々増加傾向にあります。労働者視点からだと「自分の時間の都合にあった働き方ができる」「採用されやすく辞めやすい」などの理由が挙げられます。企業の視点だと「常には必要ないが、繁忙期などに必要となる人材を確保できる」「高度な知識を必要としない業務を任せられるため、正規よりも人件費が安くなる」などがあります。

正規雇用と非正規雇用労働者の推移
出典元『厚生労働省』非正規雇用の現状と課題

パートタイマーやアルバイトなどにおける日本の課題として、正規・非正規間の格差が挙げられます。パートタイマーで正規労働者と同じ業務を行っているのに給与が低い、福利厚生なども正規労働者と比べて十分でない、などの課題が発生しています。同一労働同一賃金制度に挙げられるような、そもそもの格差をなくす動きだけでなく、非正規労働者を正規労働者として雇用する、有期労働者を無期労働者として雇用することも施策として挙げられています。

正社員として働きたいと考えているものの、正社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている人は、非正規雇用労働者の14.3%との調査結果もあります。25歳~34歳の若手となる年齢層だけでも、約57万人もの人が正社員として働きたいと考えている現状があります。

不本意非正規の状況
出典元『厚生労働省』非正規雇用の現状と課題

キャリアアップ助成金は、正規・非正規などの問題を解決するために生まれた助成金です。非正規社員を正規社員として雇用する、非正規社員の待遇を向上するなどで助成金が得られる助成金です。キャリアアップ助成金の中にも、何を目的とするかで7つのコースに分かれ、各コースで助成金額や受給条件が変わってきます。今回はキャリアアップ助成金の概要について説明致します。

キャリアアップ助成金の目的と各コースとは

キャリアアップ助成金は2013年春に誕生しました。

キャリアアップ助成金の目的は、非正規雇用労働者の支援です。正社員への転換や賃金規定の改定、健康診断制度の導入などに取り組むこと、そして非正規雇用労働者の地位、処遇の向上などを行った事業主に対して、一定の額の助成金が支給されるものです。労働者の意欲や、能力を向上させ、また事業の生産性を高め、優秀な人材を確保していくために作られました。

キャリアアップ助成金の各コースの紹介と概要の説明

キャリアアップ助成金には次の7つのコースにわかれています。

正社員化コース

非正規雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成される制度で、非正規労働者の雇用の安定とキャリア向上を目的としています。

助成金額は最大1人あたり72万円となります。

非正規労働者として働いているが、正社員として働きたい人は273万人、25歳~34歳の世代でも57万人がいるとされています。非正規雇用から正規雇用だけでなく、有期雇用を無期雇用、無期雇用を正規雇用とすると受給できる助成金がキャリアアップ助成金の正社員化コースです。正社員化コースでは、1人あたり最大72万円、1年度あたり最大1440万円が支給される助成金です。正社員化コースの概要や受給要件、申請の流れについて説明します。

賃金規定等改定コース

こちらは、非正規雇用労働者の給与や条件アップを目的とした制度で、基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成される制度です。

すべての非正規労働者の賃金を2%以上改定した場合最大1人当たり36,000円助成されるので100人対象者がいた場合3,600,000円も助成されるのです。

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースとは、正規・非正規間の賃金格差をなくすことを目的とした助成金です。賃金規定等改定コースでは、有期契約労働者の賃金規定を、従来のものから増額改定した場合に受給される助成金です。正規・非正規間の賃金格差は日本が抱える問題の一つです。日本でも徐々に改善されている傾向にあり、約3割ほどの違いとなっていますが、ヨーロッパ諸国では2割程度であるため、まだ格差があるのが現状です。今回は賃金規定等改定コースの受給金額や受給要件、申請の流れについて説明します。

健康診断制度コース

法定外の健康診断を新設・導入した事業主が受給できる助成事業です。従業員の健康管理の強化を通じて、キャリアアップに繋げることを目的しています。

1週間の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以下のアルバイトやパートは健康診断が義務ではないですが、義務ではない労働者に対して行う人間ドックや生活習慣病予防検診(ガン検診や歯周病等の健診等)や健康診断のことが法定外の健康診断とみなされます。導入した事業所には1事業所あたり最大48万支給されます。

キャリアアップ助成金の健康診断導入コースとは、企業に対して、非正規労働者に対する健康診断制度の導入を促進するために作られた助成金です。正規・非正規間の格差は賃金や福利厚生などの待遇だけでなく、健康面でも格差があります。正社員には受診が義務付けられている健康診断は、パートタイマー・アルバイトであっても所定労働時間の3/4以上働いているのであれば受診義務が発生します。しかしながら、実際の受診率は91%と、まだ100%でないのが現状です。3/4未満、1/2以上働く労働者に対しては努力義務とされていますが、受診率は72.1%と改善の余地が残されています。健康診断導入コースの受給要件や受給金額、申請の流れについて説明します。

賃金規定等共通化コース

非正規雇用労働者と正規雇用労働者が同じ内容の業務を行った場合に同一の賃金を支払うなど、正規雇用労働者と同様の賃金規定等を非正規雇用労働者に対して適用した事業主が受給できる助成金です。

賃金規定等共通化コースは、非正規雇用労働者の賃金規定を改定することで、業務に対するモチベーション向上を図り従業員のキャリアアップを目指すことが目的です。同一労働同一賃金の考えも多く影響しているでしょう。助成額は1事業所あたり最大72万です。

キャリアアップ助成金の賃金規定等共通化コースとは、正規・非正規間の賃金格差を是正する制度導入のために設けられた助成金です。同一労働同一賃金制度が大手企業は2020年4月から、中小企業は2021年4月からの運用が求められている中で、正規・非正規間の賃金規定を早い段階から整備することは非常に重要です。賃金規定等共通化コースの受給金額や受給要件、申請期間などについて説明します。

諸手当制度共通化コース

非正規雇用労働者に対して、正規雇用労働者と共通する諸手当(家族手当や住宅手当など)制度を新たに導入した場合に助成金が受給できます。最大1事業所あたり48万支給されます。

諸手当制度共通化コースでも非正規雇用労働者のモチベーションアップを図ることで生産性アップや個人のキャリアアップを支援するためにうまれました。モチベーションアップにより離職率の低下も期待できる制度でしょう。

キャリアアップ助成金の諸手当制度共通化コースとは、正規・非正規間の格差是正のため、賞与や食事手当などを正規・非正規で共通化することで受給できる助成金です。ハマキョウレックス事件において、2018年6月1日の最高裁は「有期・無期」などの雇用形態に関わらず支給要件を満たしているかの観点で判決を下しました。同一労働同一賃金のガイドライン案にも賞与や手当の記載があり、諸手当の共通化はゆくゆく対応しなければならない課題です。キャリアアップ助成金の諸手当制度共通化コースの受給要件や受給金額、どんな手当を導入すべきかなどについて説明します。

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、より手厚い年金や保険制度などの適用拡大をする労使合意に沿って、非正規雇用労働者の社会保険の適用拡大措置を実施し、基本給をアップした場合に助成されます。

1人あたり最大12万円助成金が受給できます。社会保険に加入し、さらに基本給が上がるのですから非正規雇用労働者の就労意欲のアップや生産性向上に繋がるでしょう。

キャリアアップ助成金の選択的適用拡大導入時処遇改善コースとは、社会保険加入義務のない非正規労働者に社会保険適用の措置を行い、給与が減らないように基本給を上げた場合に受給できる助成金です。非正規雇用労働者の多くは将来への不安を抱えているが、低給与で社会保険加入をためらい、厚生年金ではなく国民年金のみの加入をしているなどの現状があります。選択的適用拡大導入時処遇改善コースの受給要件や受給金額、どんな手当を導入すべきかなどについて説明します。

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成されます。どこまで行ったかによって助成金は変わりますが、1人あたり最大192,000円助成されます。

長く働きたいけれど、社会保険の兼ね合いや手取りが下がってしまうことで長く働くことができないと考えている人には有難い制度です。

キャリアアップ助成金の短時間労働者労働時間延長コースとは、社会保険加入義務のない短時間労働者に対して、手取り金額が減らないように労働時間を延長し、社会保険の加入義務が生じた場合に受給できる助成金です。短時間労働者が、社会保険の天引きなどで給与が減少することを懸念してフルタイム労働者などにならない場合に有効な助成金です。短時間労働者労働時間延長コースの受給要件や受給金額、どんな手当を導入すべきかなどについて説明します。

どのような企業がキャリアアップ助成金を申請・検討するべきなのか

非正規雇用労働者が社内に多くいて、その方たちのキャリアアップやモチベーションアップについて検討している企業や、同一労働同一賃金について対策を検討している企業など非正規雇用労働者について何かしら課題を感じている企業はキャリアアップ助成金制度は有効に働くでしょう。

自社で抱える課題があえば申請の検討の価値あり

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の待遇改善などを目的とした助成金です。非正規社員を正規社員として雇用する、賃金を上げるなどだけでなく、健康診断制度の導入や家族手当などの福利厚生に関する制度の導入も対象となります。

自社の非正規雇用労働者が抱える課題や、改善してほしい課題などを調査し、優先順位を付けて解消してくことが求められます。その際に、助成金が活用できそうであれば、是非検討してみてはいかがでしょうか?

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