キャリアアンカーの診断方法とは?企業での診断結果の活用例について

キャリアアンカーとは?社員の性格や価値観を見極めよう!

キャリアアンカーとは、仕事の経験を意味する「キャリア(career)」と船の錨を意味する「アンカー(anchor)」を組み合わせた言葉です。

キャリアアンカーは「仕事の条件でこれだけは譲れない」「家庭のためでもこれだけは犠牲にしたくない」といったような、個人がキャリアを選択する際に最も大切にする欲求や価値観を意味します。

キャリアアンカーという概念が生まれた背景には、市場のグローバル化や人工知能の発展などによって業務内容に大きな変化を求められるようになったことから、社員一人ひとりが何を大切にしてどのように働きたいかを把握しようという目的があります。

従来の人材市場では「企業が求める人物像に人材が合わせる」という関係が一般的でしたが、人手不足や市場の変化の影響で人材の能力や個性の重要性が見直され、人材のキャリアアンカーと企業の求める人物像のマッチングが求められるようになりました。

今回の記事では、社員のキャリアアンカーの診断方法や活用方法の例をご紹介します。

キャリアアンカーの診断方法とは?

キャリアアンカーを診断する際は、仕事の内容を考えるのではなく、仕事に取り組む上で何を最も大切にしたいのかを考えることが大切です。

キャリアアンカーは、個人の考え方や価値観、希望する働き方などを知る上で重要な参考になります。社員のキャリアアンカーを知ることができれば、適材適所の人員配置や効果的な研修体系の構築に活かすことができるため、様々な人事業務に役立ちます。

キャリアアンカーを診断する方法はいくつもありますが、手軽で実施しやすい例として3種類の方法をご紹介します。

  1. サイト診断
  2. チェックシート
  3. 自己分析

1.サイト診断

キャリアアンカーを診断する1つ目の方法は、インターネット上で公開されているサイト診断を利用する方法です。

キャリアアンカー診断サイトはいくつかあり、ほとんどが無料で公開されています。一例として、40問の質問に答えるだけでキャリアアンカーを探ることができるという無料サイトをご紹介します。

『近くナビ』キャリア・アンカー診断

無料のサイト診断を利用する場合は、診断結果をどこまで信用するかという判断が必要になりますが、診断が簡単かつ無料であることから導入のハードルが低いというメリットがあります。

2.チェックシート

キャリアアンカーを診断する2つ目の方法は、チェックシートを利用する方法です。

キャリアアンカー診断用のチェックシートは、様々なサイトで無料公開されています。一例として、8つのキャリアアンカーの重要度を比べて点数を付け、点数の高低からキャリア指向性を見極めるチェックシートをご紹介します。

『ライフデザイン研究所』キャリア・アンカー調査票

チェックシートを利用する場合は、診断結果を自力で分析・評価する必要がありますが、根拠がハッキリしているため信ぴょう性が高く応用が利くというメリットがあります。

3.自己分析

キャリアアンカーを診断する3つ目の方法は、ツールに頼らず自己分析を行う方法です。

自己分析でキャリアアンカーを診断するもっとも簡単な方法は、尊敬している人を思い浮かべて、どんなところを尊敬しているかを具体的に書きだす方法です。尊敬している人の「どんな能力を持っているか」「日頃どんな姿勢で仕事に取り組んでいるか」といった特徴は、そのまま「自分もそうありたい」という憧れであると言えるため、自身のキャリアアンカーを知る上で重要な参考になります。

自己分析でキャリアアンカーを診断する他の方法としては、過去の自分を振り返る方法があります。進学や就職など、人生の大きな分岐を選択したときのことを思い出し、決断に至った理由を振り返ります。決断の理由には「自分が大切にしていること」や「譲れないこと条件」など、キャリアアンカーを特定する上で重要な情報が含まれているはずです。

キャリアアンカーの種類と診断結果の活用例とは?

キャリアアンカーの8つの種類とは?

キャリアアンカーという概念は、マサチューセッツ工科大学の組織心理学者であるエドガー・シャイン博士が提唱しました。エドガー・シャイン博士が提示したキャリアアンカーは、以下の8種類に分類されます。

  1. 専門・職能別
    特定の分野で能力を発揮し、自分の専門性や技術が高まることに幸せを感じる。
  2. 全般管理
    集団を統率し、権限を行使して、組織の中で責任ある役割を担うことに幸せを感じる。
  3. 保障・安定
    一つの組織に忠誠を尽くし、社会的・経済的な安定を得ることを望む。
  4. 起業家的創造性
    リスクを恐れず、クリエイティブに新しいものを創り出すことを望む。
  5. 自律と独立
    組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めていくことを望む。
  6. 社会への貢献
    社会的に意義のあることを成し遂げる機会を、転職してでも求めようとする。
  7. ワーク・ライフ・バランス
    個人的な欲求や家族の願望、自分の仕事などのバランスや調整に力をいれる。
  8. 純粋なチャレンジ
    解決困難に見える問題の解決や、手ごわいライバルとの競争にやりがいを感じる。

キャリアアンカーは個人にとってのキャリアデザインに役立つだけでなく、企業にとっても社員一人ひとりのキャリアアンカーを見極めることで、適材適所の人員配置や組織全体の活性化に役立ちます。

キャリアアンカーの8つの分類については「キャリアアンカーの8つの種類とは?それぞれの特徴や適職について」の記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

キャリアアンカーの診断結果の活用例とは?

キャリアアンカーの診断結果は、主に人事配属や教育研修などに活用できます。

人事配属での活用例を挙げると、専門・職能別タイプは専門性を活かしてエキスパートになりたいと考える傾向が強いため、職種が変わるような大きな異動はモチベーション低下や離職につながる危険があることを事前に知ることができます。

職種や環境が変わっても、キャリアアンカーに合致する部分があれば、今までとは違うやりがいを見出せる可能性があります。どうしても異動が必要な場合は、キャリアアンカーに対するフォローや気付きを与えることで、社員のモチベーションアップや離職防止を図ることができます。

教育研修での活用例では、入社5年目程度の社員に対して「どんな仕事がしたいか」だけでなく、長いキャリアの中で「どのように働いていきたいか」という視点に気付かせることができます。入社5年目くらいになると、現在の仕事に慣れてもっと色々やってみたくなったり、今の仕事よりもっと面白い仕事があるのではないかと社外に目を向けたくなる時期です。

「どんな仕事がしたいか」ではなく「どう働いていきたいか」というキャリアアンカーを確立させてあげることで、社員のキャリアビジョンと組織のニーズとの擦り合わせが行えるようになります。

キャリアアンカーの診断は定期的に行おう!

キャリアアンカーとは「仕事の条件でこれだけは譲れない」「家庭のためでもこれだけは犠牲にしたくない」といったような、個人がキャリアを選択する際に最も大切にする欲求や価値観を意味する言葉です。

社員のキャリアアンカーを見極め、採用や配置などの人事業務で活用すれば、会社と社員のミスマッチを防ぎ、社員のやる気やモチベーションの向上につながります。

社会人経験の少ない新入社員や若手社員は、キャリアアンカーが形成できていなかったり、形成できていても無自覚だったりすることがよくあります。キャリアアンカーを見誤って異動や配置をしてしまうとモチベーション低下や離職につながるため、新入社員や若手社員に対するキャリアアンカー診断は定期的に実施するようにしましょう。

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