中長期的なキャリアプランで必須の「マネジメントスキル」
転職するかしないかは、20代後半から30代前半にかけての大きな分岐点です。近年では求人倍率の増加に象徴されるよう、多くの企業で人材不足が深刻化しており、また人の入れ替わりも激しくなっていますので「中長期的にみて会社にメリットをもたらす人材」の需要が特に高まっています。一言で言えば「将来的にリーダーや管理職を任せられる人材」が求められていて、それゆえに「マネジメントスキル」が中途採用における判断ポイントになっているのです。
HR proによる調査では、中途採用において求められているものの1位は「職務経験」と、キャリアを問うものです。そして2位にランクインしているのが「スキル」です。
出典元『HR Pro』「中途採用に関するアンケート調査」結果報告
日本能率協会の調査を見てみると、「組織・人事領域で重視する課題」として最も重視する課題として「管理職層(ミドル)のマネジメント能力向上」が2016年から数値を落としながらも2年連続の1位となっています。また、2位も2016年と変わらず「次世代経営層の発掘・育成」となっており、このことから人事課題として中長期的な問題意識が広く共有されていることがわかります。
中途採用では職務経験や専門性はもちろんのこと、職種にとらわれず重要なものとして「マネジメントスキル」が人材採用におけるキーワードであることがわかります。
転職を考える上で重要な「年収」についても、マネジメントスキルは影響を及ぼしています。DODAの調査では、マネージャーと一般社員の平均年収は90万円の差があることが報告されており、キャリアにおいても収入においても「マネジメントスキル」を身に着けることは重要であると言えます。
この記事ではキャリアアップのために知っておきたい「マネジメントスキル」についてを紹介します。
マネジメントスキルの意味と対象になるもの
マネジメントスキルとは、ある対象を管理するスキルを指します。対象はモノや時間も含まれ、通常業務におけるタスクや情報の管理も対象となります。教育・人材分野では「人」もマネジメント対象となります。
管理職や経営層では特に「事業全体」がマネジメント対象にもなり、いかに利益を最大化するかが、こうしたポジションにとっての課題となります。
ビジネスシーンで想定されるマネジメントスキル
マネジメントスキルは、役職により求められるものが異なります。非管理職の場合は、時間やタスクなどを適切に管理し、業務を最適化するスキルが重要になります。
管理職に求められるマネジメントスキルは、その対象をチームや事業などに規模を大きくしたものです。
最適なマネジメントとは、業務時間の最小化という個人課題でも、会社利益の最大化という大きな対象でも「ある評価軸を設定し、その最大化/最小化をゴールとした取り組み」と考えることができます。
具体的にマネジメントスキルにはどんなものがあるかを見ていきましょう。
戦略や課題を捉え、目標を設定するスキル
「ある評価軸を設定し、その最大化/最小化をゴールとした取り組み」における、評価軸の設定にあたるものです。抽象概念を具体的な事象に落とし込む技術が必要です。
雑然とした情報の共通項を見つけ、その核となっている問題を発見する抽象思考力が求められるスキルです。
目標に向かって進捗を管理するスキル
非管理職にも求められる「業務遂行能力」に該当するスキルです。効率的に業務を行うため、PDCAサイクルをきちんと回すことが大切です。
いわゆる「当たり前のことを当たり前にこなせる」という社会人として基本的なスキルでもありますが、基本的なことほどおろそかになりがちです。「足元を固める」という意味でもまず見直しておきたいスキルと言えるでしょう。
アセスメントスキル
部下の特徴を正しく把握する能力です。技術的な特徴だけでなく、性格や個性も含めて理解することがポイントです。
ある意味でコミュニケーション能力にも関係するスキルで、相手を否定せずにまずは受け入れる姿勢が大切です。
コーチングスキル
アセスメントスキルを前提として、部下の能力を最大限に引き出すスキルです。部下の自発性を尊重し、考え方や性格に合わせて問いを投げかける技術がポイントとなります。自分自身での目標設定を促し、一人立ちへ導きます。
社内教育で特に重要となるスキルです。「どうすればいうことを聞いてくれるか」ではなく、「どうすればやりたくなるか」を考えることがポイントです。
マネジメントスキルはキャリアアップに必須
将来のキャリアプランにおいて管理職(マネージャー)への昇進を目指すのであればマネジメントスキルの習得は欠かせません。中途採用、特にミドル層で転職を行う場合にもマネジメントスキルのアピールは非常に有効です。
一方で、マネジメントスキルと言っても抽象的であるため、この言葉だけではその認識の細部は人や企業によって異なっていることがあります。
だからこそ「マネジメントスキル」を高い解像度で理解することが大切です。スキルを細分化して、自分の長けているスキル・伸ばしたいスキルなどを明確にすることが、マネジメントスキルを有効活用するために必要なのです。