求人票の雇用形態をの見方とは?正規・非正規のメリットやデメリット

増える非正規労働者

売り手市場と言われる中で、非正規労働者も増加しています。総務省の調査によると、働き方改革や女性の活躍推進などの影響により、少子化による影響があるのに関わらず労働人口は増加しています。2012年に6,326万人であった就業者は、2018年には6,664万人と300万人以上の就業者が増加しています。

年齢階級別就業者の推移
出典元『総務省統計局』労働力調査(基本集計)平成30年(2018年)平均(速報)結果の要約

非正規労働者の人口や割合も増加しています。総務省の調査によると、2008年に1765万人だった非正規労働者は、2018年では2120万人と350万人以上が増加しています。2008年の非正規労働者の割合は34%だったのに対し、2018年では37%と増加しています。

正規、非正規の職員・従業員の推移
出典元『総務省統計局』労働力調査(詳細集計)平成30年(2018年)平均(速報)

正規社員として働きたいが非正規社員として働いている「不本意非正規」の割合は減少傾向にあります。これらのデータから、意図的に「非正規社員として働きたい」人が増加していることが読み取れます。

不本意非正規雇用労働者の割合・人数の推移
出典元『厚生労働省』不本意非正規雇用労働者の割合・人数の推移

求人票にも雇用形態の項目が記載されています。今回は求人票における雇用形態の見方について説明します。

正規社員と非正規社員の定義や違いとは

政府も正規・非正規という使い分けをしますが、法的な定義はなく、一般的には期間の定めのない雇用契約で働いている社員を「正社員」とし、期間を定めた雇用契約によって「正社員」と比べて短い時間で働く社員を「非正規社員」と荒れることが多いです。

非正規雇用を選択する労働者が増加している中、政府はいわゆる働き方改革のひとつとして、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消し、多様な働き方を選択できる社会にすることを目指し、2020年4月から同一労働同一賃金制度をさらに徹底していきます。

同一労働同一賃金とは、同じ仕事に就いている限り、正規雇用労働者であるか、非正規雇用労働者であるかを問わず、同一の賃金を支給するという考え方です。

直接雇用と間接雇用の定義や違いについて

「直接雇用」とは、使用者と労働者の間に直接的な雇用関係がある雇用形態のことです。

「間接雇用」とは、労働者を指揮命令して就業させる使用者と労働者の間に第三者が介在することで、使用者と労働者の間に直接的な雇用関係がない雇用形態のこと。「間接雇用」の代表なものには、派遣労働や業務請負が挙げられます。

求人票で記載される雇用形態ついて

正社員

正社員は、他の雇用形態とちがって雇用期限が決められていません。パート・アルバイトとは異なり、基本的にフルタイムで働き、労働基準法36条(36協定)に基づき残業することも義務になっています。

正社員の場合、パート・アルバイトなどと比較すると会社側から雇用の契約を切ることは難しくなっているのも特徴です。

契約社員

労働契約にあらかじめ雇用期間が定められている雇用形態です。

期間の定めのある労働契約は、労働者と使用者の合意により契約期間を定めたものであり、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了することとなります。

嘱託社員

「嘱託社員」という雇用形態自体は法律で定められているわけではありません。嘱託社員は、一般的には契約社員のうちの一部の人のことを指します。

実際、嘱託社員の扱いは企業によってまちまちであり、正社員に近い準社員としてみなされているところもあれば、定年退職後に再雇用する人のことを示すことも、「医師」や「弁護士」といった高い専門性を要する仕事に就く人を指すこともあります。

求人票で「嘱託社員」と記載のある場合には、契約社員である前提を踏まえた上で、企業に直接確認するほうがよいでしょう。

パート・アルバイト

パートタイム労働者とは、1週間の所定労働時間が、同じ事業所に雇用されている正社員と比べて短い労働者をいいます。

「パートタイマー」や「アルバイト」など、呼び方は異なっても、この条件を満たせばパートタイム労働法上のパートタイム労働者となります。

常用型派遣労働者

1年以上引き続いて雇用される(又はされることが見込まれる)労働者として、派遣元事業主に雇用され、派遣就業することをいいます。

雇用されるのは派遣元会社であり、勤務先は派遣先会社となります。就業規則等は原則派遣元会社に則り、派遣先会社で守るべきルールなどは別途契約が交わされる(派遣元と派遣先で交わされていることもあります。)ことが多いです。

登録型派遣労働者

派遣就業を希望する方が派遣会社に登録しておき、派遣先が見つかったときに派遣元事業主に期間を定めて雇用され派遣就業することをいいます。

常用型と比べて、短期間で複数の勤務先に変わることが多いです。教育研修などが不要な単純作業や、高度な専門知識が必要とされる士業などがあり、求められる業務スキルが極端に異なる雇用形態です。

正規社員のメリット・デメリットについて

正規社員のメリットとして、安定した雇用が見込まれることが挙げられます。っ正規社員を一方的に解雇するのは法的に難しいため、希望すれば同じ会社で働き続けることができます。

賞与や退職金がもらえることもメリットです。同一労働同一賃金が適用され次第、非正規雇用であっても賞与を受け取れますが、会社からの責任追及などの権限の違いから、非正規で賞与を満額受け取ることは難しいと考えられます。正規社員であれば、通常業務の責任の大きさはあれど、非正規雇用よりも多い賞与を受け取れる可能性があります。

昇進昇格が見込めることも正規社員のメリットです。非正規社員でも昇進昇格はありますが、正規社員ほどの向上を見込むのは難しいでしょう。

正規社員のデメリットとして、フルタイム勤務であることや、残業が必要なときもあることが挙げられます。フレックス制度やテレワークなどを導入する企業が増えているとはいえ、多くの企業では出勤時間や退勤時間が決まっています。子供の保育園の送迎や行事など、非正規社員に比べて融通が効きづらい点があります。

転勤や業務変更(ジョブローテーション)があることも特徴です。会社が定めたキャリアアッププランに従い、様々な地域で様々な業務を経験させるために、転勤やジョブローテーションが就業規則や労働契約書に組み込まれている可能性があります。転勤したくないなど譲れない条件がある場合には、退職せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。

兼業がしづらいこともデメリットです。厚生労働省のモデル就業規則では、副業・兼業を原則認めることを提示していますが、多くの企業では許可制や原則不可としているところが多くあります。そのため、収入は本業のみとなりがちです。

非正規社員のメリット・デメリットについて

非正規社員のメリット・デメリットは、正規社員の裏返しのことが多くあります。

非正規社員のメリットとして、自分の希望する働き方が可能であることが挙げられます。勤務日数や勤務時間の調整がしやすいため、自分自身のライフワークにあわせた働き方ができます。兼業も可能であるため、様々なスキルアップをしたいなどの場合には有効です。

転勤や異動がなく、業務範囲が一定であることもメリットです。将来のライフワークが決まっている、将来やりたいことが決まっている場合には、プランに則った働き方が可能になります。

非正規社員のデメリットとして、不安定な雇用であることが挙げられます。契約更新が確約されていないため、将来のライフプランやキャリアについて不確定な状態になりやすいことが挙げられます。

給与が時給制・日給制のことが多いため、休日の多い月は給与が減ってしまうこともデメリットです。土日祝が休業日の企業の場合、ゴールデンウィークなどの祝日が多い月の給与が下がってしまうことがあります。また年末年始やお盆休暇などでも給与が下がる可能性があるため、休める日の確認だけでなく働ける日の確認も必要となります。

また非正規社員は即戦力や単純作業を任せられることが多いため、中長期的なスキルアップを行う教育研修が受けられない可能性があることも考慮しましょう。中長期的なキャリアプランを考える際には、自学自習などをしなければなりません。

退職金制度などの福利厚生面での差もあります。長期間に渡って働く前提である正規社員では、長く働き続けてもらうインセンティブとして、退職金制度を設けていることもあります。非正規社員では、退職金制度がないことが多いため、転職活動時には予め転職活動費を貯蓄しておくことが大切です。

正規雇用・非正規雇用の格差を埋めるため、政府も法改正などの制度を順次整えている段階ではあります。

雇用形態の違いを認識して労働契約書を再確認することが大切

政府が推進する正規・非正規間の格差是正として「同一労働同一賃金」や「派遣労働法」などの改正、女性の活躍推進を行うために育児休暇を取りやすくしたりキャリアを諦めなくてもよい「女性活躍推進法」などの影響で、自分自身の働き方にあわせた雇用形態が選びやすくなっています。

それぞれの雇用形態のメリットやデメリットを再認識して、求人票の記載内容だけでなく、労働契約書の内容も再確認することが必要でしょう。

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