社会保険未加入である事業所が全体の約4割。
求人票などに記載のある「社会保険」ですが、従業員数5人未満の個人事業などでない限りは加入が必須です。また条件を満たせば、アルバイトやパートなども加入義務が生まれます。
厚生労働省の調査では、社会保険未加入である事業所が約13.5万事業所(ペーパーカンパニーや休業中の事業所も含まれる)あり、約48%の約6万5千もの事業所が加入手続きを行っていないとの調べもあります。転職活動中には、身近に存在する可能性があります。
加入していない理由としては①保険料の負担が困難②加入要件を知らなかった③加入にメリットを感じないなどの理由が主に挙げられていますが、法的に加入しなければならないのに関わらず加入していない企業で働くことは、自らの身を守るという意味でも、求人票の段階で見極めが必要でしょう。
社会保険とはそもそも何か
社会保険を細分化すると、「雇用保険」と「労災保険」、「厚生年金保険」「健康保険」の4つがあります。
雇用保険とは
失業したときに一定条件のもと、失業給付を受給できます。
労災保険
業務中や通勤途中にケガをしたり、病気にかかったり、一定の基準以上の障害者になったときや、死亡した場合、労働者や遺族に支払われます。
厚生年金保険
一定の基準以上の障害者になったときや、労働者が亡くなったときに労働者や遺族に対して支払われます。
60歳~65歳(生年月日により異なる)に到達すると、老齢年金が支給されます。
健康保険
病気やケガをしたときに保障され、会社員の場合、医療費負担は3割となります。会社員でない場合は、国民健康保険への加入義務があります。
社会保険に加入しなければならない事業所の定義
株式会社などの法人であれば必ず加入する義務があります。個人事業主においては、5名以上の従業員を雇うことが社会保険の加入義務条件です。(農林水産業などの業種によって支払い義務がない場合もあります。)
株式会社なのに社会保険を支払っていない場合には、法令違反の可能性があります。保険料負担が困難や加入要件を知らないなどの理由が挙げられますが、法的な義務を怠っている場合は、その他労働基準法などのコンプライアンスも低い可能性があるため、注意が必要です。
社会保険に加入させなければならない労働者の定義
正社員(役員を含め、常勤社員)以外でも、一定の条件を満たせば加入対象となります。
契約社員
雇用契約期間が2ヶ月を超える人は、社会保険の対象となります。当初2ヶ月契約だったとしても、契約が更新されたら3ヶ月目から加入となります。
アルバイト、パートタイマー
正社員の3/4以上の勤務時間・勤務日数を働いている人は対象となります。常勤社員が週5日、1日8時間勤務の場合は、週4日以上かつ1日6時間以上で加入対象となります。
何故社会保険に加入しない企業(事業所)がいるのか
社会保険の会社負担が重いからと考えられます。労災保険は会社が全額負担、厚生年金と健康保険は会社が半額負担、雇用保険は会社が一部負担となっています。厚生年金の保険料が引き上げられ、会社の負担も増加しています。
年齢30歳、月給30万円の場合に会社が負担する金額は月額40,635円となります。年額は493,020円となり、1人あたり50万円の支払いが発生します。10人の従業員がいる場合でも、年額500万円もの負担が必要です。
加入義務があるのに加入していない企業で働くリスク
業績が上がっていないため、倒産などで職を失う可能性があったり、長時間労働や残業代の支払いなどの労働基準法なども守られない可能性もあるでしょう。
会社が社会保険に加入しているか日本年金機構で調べてみよう。
株式会社や有限会社などの法人であれば、中小企業であっても社会保険の加入義務が発生しますが、一方で加入していない企業も未だに存在します。
求人票では社会保険の有無は記載しなければならない項目です。「社会保険完備」となっていても、当然のことながら未加入を隠したい企業は伝えないこともあります。日本年金機構の適用事業所検索システムなどでも確認できるので、求人票を見て気になった企業があれば、一度検索してみることをおすすめします。
仮に未加入企業に就業してしまった場合は、年金事務局などに相談することで改善させる可能性もなくはないですが、コンプライアンスなどに対する意識が低い会社であることは念頭に置く必要があるでしょう。