企業選びは理想に注目し過ぎると失敗する。
就職活動や転職活動の中で、自分の企業選びの軸や基準を持っている人も多いでしょう。当然、入社する企業選びで失敗したくはないものです。
企業選びの軸や基準の項目が現実から離れた理想論になってはいないでしょうか。もし、理想に注目し過ぎていると入社後に「こんなはずじゃなかった・・・」と失敗してしまうかもしれません。理想に目を向けるばかりに本来重視すべきポイントが抜け落ちている可能性があるからです。
今回は、企業選びの注意点について説明していきます。企業を選ぶ際の参考にしてください。
自分が耐えられないネガティブ面を把握することが大切です
あなたの企業選びの軸や基準を一度見直してください。それらの項目は今後も変わらない軸や基準でしょうか。理想的な項目に絞ってしまい、自分にとって避けなければならないネガティブ面についての検討が抜け落ちていないでしょうか。
理想を追い求めることは大切です。あたらしい会社で一定期間は働き続けて、キャリアを高めることも重要です。その際に理想の仕事には就けたが、実は職場に耐えられない苦手なことや不満の種があったらどうでしょうか。理想の仕事ではあるものの、働き続けることが困難になってしまうかもしれません。結果として、すぐに転職活動を再開・・・という人も実際少なくありません。この原因は、企業選びの軸や基準の情報整理不足にあります。
あなたが仕事で不満足を感じるネガティブ項目の検討が必要
あなたには満足を感じる仕事や不満足を感じる仕事はありますか?
例えば、どんなに満足を感じる仕事をしていても、たった一つ不満足なことがあるだけで転職を考える人もいます。不満足に感じることがその人にとって影響が大きいネガティブ項目になっているからです。ネガティブ項目は企業選びの軸から抜け落ちやすいものです。何故なら、理想を追い求めてしまうからです。
例えば、どんどん出世できるような企業であっても、朝から深夜まで働くようなブラック企業だったとしたらいかがでしょうか。ワークライフバランスが取りやすい企業だったとしても、なかなか出世できない企業だったとしたらいかがでしょうか。あらためて企業選びの軸の情報を整理してみてください。きっと、ネガティブ項目の検討も重要だと気付くはずです。
どのようなものがネガティブ項目に挙がりやすいのでしょうか。参考としてアメリカの臨床心理学者ハーズバーグが提唱した二要因理論を紹介します。
二要因理論は動機付け要因と衛生要因で構成されています。動機付け要因は、モチベーションにつながる仕事の満足感に関わるものです。例えば、「仕事で達成すること」「承認されること」「昇進すること」「責任」「仕事それ自体」が挙げられます。これらが満たされると満足感を得られます。ただ、欠けていても不満足に必ずしもつながるものではないと定義しています。
例えば、仕事で大きな目標達成ができれば、大きな満足感を得られると思います。達成できなかったからといって、すぐ会社を辞めるほどの不満感は持たないのではないでしょうか。このような満足感につながる要因が動機づけ要因です。
衛生要因は、仕事の不満足に関わるものです。「会社の経営方針」「給与」「作業条件」「対人関係」など、労働条件や職場の環境が挙げられます。これらが満たされないと仕事へ不満足を持ちやすくなります。これらが満たされても満足感は得にくいものと定義しています。例えば、生活ができないような最低限以下の給与であれば、現実的に耐えることができずに不満に感じます。ただ、給与金額が高くなっても、もっと欲しいと感じるので満足はしないと思います。
最低限の基準が満たされないと不満足につながる要素が衛生要因になります。
ネガティブ項目は安定を感じる働き方ができなくなる項目
企業選びの軸におけるネガティブ項目で参考すべきは衛生要因です。動機づけ要因はモチベーションにつながるかもしれませんが、衛生要因が満たされなければ、安定を感じる働き方ができなくなる可能性が高いからです。例えば、以下のような企業選びの軸を見落としていないでしょうか。
重要視していなかった軸:会社の経営方針
自分の営業方法はじっくりと顧客を新規開拓するものだったが、会社の経営方針はスピード重視のため、ミスマッチを感じてしまった。会社制度も経営方針に従っているため、休みにくい状況だったと入社して知った。
経営方針のように自分には関係無いと思っていたものが、実はもっと検討が必要だったケースになります。他にこのような重要視すべき企業選びの軸が漏れていないか再確認しましょう。
変化の有り無しに関わる軸:給与
入社時は基本給が高いと思っていたが、何年経っても昇給しない。さらに一部上場であったが今後上場廃止の恐れがあり、さらに給与が下がる可能性もでてきた。
企業には時間が経っても変化しにくいものや予想外に変化するものがあります。企業選びの軸の中で、変化しにくいものや変化しやすいものを確認して、許容できる最低限度を再確認しましょう。
実際の状況と異なりやすい軸:作業条件
働きやすい作業条件だと聞いていたが、職場は狭く、人も通りにくい環境だった。パソコン設備も古く、作業がしにくい。企業説明会では業績が伸びているという話を聞いていたが、業界全体でみるとあまり伸びていないため、今後も作業条件が良くなることを期待できない。
事前に聞いていた情報と実際の状況が異なるケースになります。企業説明会は応募者に良いことしか言わないかもしれません。重要な企業選びの軸は選考が進む中で採用担当者や面接官にも確認してみましょう。
感覚的な軸:対人関係
面接で会った社員に癖がありそうという違和感を持ったがそのまま入社。ただ、入社してから癖がありそうと思っていた違和感が社風であったことに気付き、ミスマッチを感じてしまう。
社風や対人関係などの感覚的なものは、相性の部分もあります。ただ、感覚的に違和感を持ったならば、少し立ち止まることをおススメします。例えば、チームで働くことを重んじる企業と個人の成果を重んじる会社では社風も対人関係も変わってきます。自分の相性という観点でも再確認してみましょう。
企業選びの軸は柔軟的に考えて軌道修正することが必要
今のあなたの企業選びの軸はもちろん重要です。ただ、優先順位が低いと思っていた軸であっても、最低限の満足レベルに達していないと一気に許容できなくなるようなものもあると思います。
状況変化を期待できるものやできないような軸もあるでしょう。事前に聞いた話と実際の状況が異なることや企業に訪問して感覚的に違和感を持つ軸もあるでしょう。
繰り返しになりますが企業選びの軸を持つことは重要です。志望する企業を知っていく中で気付くことも多いはずです。企業選びの軸は柔軟的に考えて軌道修正することが最も重要です。
企業選びの軸の情報整理が不足し、あとから「早く気付けば良かった・・・」と後悔する事態は避けるよう注意しましょう。それがあなたと企業とのミスマッチを防ぐ企業選びの注意点です。