採用面接でアピールできるコミュニケーションスキルとは?
「私の長所はコミュニケーション能力の高さです」というアピールは採用面接で定番となっています。仕事は一人ではなく、ほとんどがチームで行われるものですので、コミュニケーションスキルは採用で重視されているのも事実です。
実際に経団連が行なった新卒採用についての調査を見てみると「選考にあたって特に重視した点」を企業に対してアンケートを行なった結果、16年連続で「コミュニケーション能力」が1位となりました。
出典元『一般社団法人 日本経済団体連合会』2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果
コミュニケーション能力を重視しているのは、なにも新卒採用だけではありません。マイナビの調査では、正社員の中途採用でも約半数の企業が「対業務スキル」よりも「対人スキル」を重視しているという結果が公開されており、コミュニケーションスキルは中途採用でもかなり重視されていることがわかります。
企業に重宝される「コミュニケーションスキル」ですが、細分化すると膨大な量になります。コミュニケーションスキルと一言でいってもその内容は煩雑で、そのなかにも細かな得意・不得意が誰にでもでてくるでしょう。
採用面接で大切なのは、具体的にどんなコミュニケーションスキルが得意かを明示してアピールすることです。今回は、コミュニケーションスキルにはどんなものがあるかを紹介し、ビジネスでのコミュニケーションスキルとはなにかというものを考えていきます。
おさえておきたい3つのアピールポイント
コミュニケーションの目的は意思疎通です。頭に「ビジネスの」とつくと「業務を進展させるための」という目的も備わります。
言い換えれば、ビジネスのコミュニケーションには「相手の意見を聞く」「相手に意見を伝える」「双方の意見を検討したのち具体的なアクションを起こす」という3つのステップがあるということになり、以下の3つのスキルに落とし込むことができます。
- 傾聴
- アサーション
- コーチング
面接時にビジネスでのコミュニケーション能力の高さをアピールするためには、この3つのスキルがどの程度できているかを自己分析してみましょう。
傾聴
まず大切なのが「相手の意見をしっかり聞く」ことです。
傾聴とは「聞く」よりもさらに相手の言葉に耳を傾ける「聴く」という意味です。「聴」という漢字は「十四の心」に「耳」をすませて成り立つ漢字ですので、このことを思い出すとどういう行為かを理解しやすいのではないでしょうか?
「聴く」ことによりもたらされるのは「相手の意見の理解」だけではありません。相手の意見だけでなく、相手の性格や思考をも理解でき、あなたへの信頼にも繋がります。
ビジネスシーンでは、クレーム対応など相手の言い分をしっかりと受け止めることが大切な場面で重要になるスキルです。ただ理解するだけでなく、相手に対しての真摯さを伝える意味でも「傾聴」は大切なスキルです。
アサーション
「相手に意見を伝える」というステップで重要になるのが「アサーション」です。これは「傾聴」を前提としながら適切な自己主張ができるスキルのことを指します。
自己主張は大切です。しかし注意しなければならないのが、独りよがりにならないことです。ビジネスにおける議論を進展させるために大切なのは「相手の考えを尊重しながら、新たな発想を見つけ出すこと」です。この他者とのコラボレーションを大切にした立ち居振る舞いをすることで、コミュニケーションがあるからこそのアイデアの発見に繋がります。
ビジネスシーンでは、特に会議や商談などの場で重要になるスキルです。ただ相手の意見を聴くだけに留めず、そこに自らの意見を盛り込むことで新しい価値を創出していく過程で、アサーションは大切です。
コーチング
コミュニケーションだけで終わってはならないのがビジネスです。重要なのはその後に「何を行うか」であり、次なるアクションを促すためのコミュニケーションスキルが「コーチング」です。
コーチングスキルは、問題に対して「答え」を与えるものではなく、問題に対して自発的な振る舞いを推進するスキルです。水飲み場に馬を連れて行ったとしても、馬自身が行動を起こさなければ水は飲みません。コーチングは馬を水飲み場に連れて行くスキルではなく、どうしたら馬が水を飲みたくなるのかを考えて実践できるスキルなのです。
相手に対して行動を促す教育的なスキルですので、主に指導や教育、人材開発、コンサルティングなどの現場で重宝されます。管理職やチームリーダーなど、組織を牽引する立場にある人材には不可欠な能力でもあり、人望の厚さにも繋がるスキルです。
コミュニケーションスキルは広い意味をもつ言葉だからこそ注意
コミュニケーションスキルといっても様々なスキルに細分化できます。コミュニケーションのなかでもそれぞれに細かな得意・不得意が生じてくるのは当然のことです。得手不得手を自分で理解することがコミュニケーションスキルの向上に繋がり、採用面接でのアピールにも使えるようになります。
人事担当者もコミュニケーションスキルを細分化できていないことも珍しくありません。
たとえば「コミュニケーションスキル」があると採用されたけれど、実際は「傾聴力」があるが「コーチング」は経験が足りずに未熟だった、というケースはありがちなミスマッチです。ミスマッチを防ぐためにも自分がどんなスキルを持っているかを具体的に説明することに意味があります。