ブラザーシスター制度のメリットやデメリット、対策とは?

人材育成制度の1つ ブラザーシスター制度とは

自社の従業員の定着は、多くの企業における課題となっています。新規学卒者の3年以内の離職率はリーマンショックが起きた翌年である平成21年の卒業者のみ30%未満ですが、約20年以上30%の離職率で推移しています。昭和62年からの約30年間、入社1年以内の離職率も10%以上と報告されています。

大学卒の3年以内離職率
出典元『厚生労働省』学歴別就職後3年以内離職率の推移

多くの企業において、正社員人材が不足していると考えられています。帝国データバンクの2018年1月に行った調査では、正社員が不足していると回答した企業の割合が51.1%と、過半数に達したことを報告しています。情報サービス業においては、4社に3社が正社員不足であると回答しています。

従業員が不足している企業の割合
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2018年1月)

少子化に伴う労働人口の減少も原因の一つとなっています。政府もこの問題を危惧し、働き方改革によって生産性向上や就業機会の拡大、意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることを目的としています。

参考URL『厚生労働省』「働き方改革」の実現に向けて

労働人口が減少し、多くの企業が人材不足を解消しようと人材獲得競争が激化する中、新規人材の採用はもちろんのこと、入社した人材が定着し活躍してくれる制度づくりの重要性も高まっています。

退職に至るまでには、業務内容や企業文化とのミスマッチを感じたり、職場の人間関係に問題を抱える、キャリアに行き詰まるなどの問題を抱えるなど、複数の要因が影響していると考えられています。しかし、何かしらのアクションを起こしていれば防げた退職もあると考えられます。早い段階で従業員の悩みをキャッチするためにも、人材育成制度は非常に有効です。

従業員の悩みを解決する人材育成制度としては「メンター制度」や「ブラザーシスター制度」などがあります。

全従業員が対象となる「メンター制度」と違い、「ブラザーシスター制度」は新入社員を対象とした制度です。比較的年齢の近い先輩社員をブラザー(兄)シスター(姉)として指導役になってもらうことで、新入社員をサポートしながら教育研修を行う制度が「ブラザーシスター制度」です。

ブラザーシスター制度のメリット・デメリットとは

ブラザーシスター制度の目的は、新入社員の会社への定着率を上げることです。新しい環境(職場)の中で、業務や職場の人と上手く馴染むようにサポートを行いながら定着を促します。

ブラザーシスター制度のメリットとは

ブラザーシスター制度導入のメリットとして挙げられるのが新入社員の早期離職防止です。新入社員の段階から、若手の先輩社員がブラザー(兄)・シスター(姉)としてサポートすることにより、業務や職場の人間関係における悩みを解消するだけでなく、愛着が生まれることで、早期離職を防ぐことに繋がります。

新入社員だけでなく、ブラザー・シスターとして指導を行う先輩社員に対しても早期離職の防止効果が期待できます。指導する立場になることで、指導力の向上が見込めることはもちろんのこと、新入社員に対する責任感、ひいては会社に対しての責任感も芽生え、先輩社員の離職を防ぐことが期待できます。ブラザーシスター役の社員も入社2年〜5年目の若手社員であることが多く、彼らの離職を防ぐこともまた、企業にとって重要テーマの1つです。

人事担当者、経営者側から見ると、ブラザーシスター制度は、指導をする側・指導を受ける側双方に対するアプローチが可能な制度であり、導入メリットは大きいと言えます。

ブラザーシスター制度のデメリットと対策とは

逆にブラザーシスター制度のデメリットは、指導役となるブラザーシスター役社員の負荷増大が挙げられます。基本的に業務内に後輩指導を行うため、先輩社員にとっては、自身の業務にプラスアルファで時間を割かざるを得ません。受け入れる事業部全体が制度導入の背景を理解し、新入社員・ブラザーシスター役の双方をサポートする姿勢や雰囲気を有することが重要となるでしょう。

より気軽にコミュニケーションを取ってもらうため、先輩社員の業務時間中の負担軽減に取り組んでいる企業もあります。具体的には、ブラザーシスターと新入社員の1対1のランチには、飲食代を会社が負担するというものです。業務時間以外でコミュニケーションを取ることで、より人間関係が深まり、信頼関係の醸成に繋がるでしょう。

新入社員とブラザーシスターの信頼関係が重要

全従業員を対象とするメンター制度と異なり、ブラザーシスター制度は新入社員、多くの場合は新社会人という社会で働いた経験のない人を対象としている制度です。学生から社会人に変わる人生の中でも大きな節目であり、彼らは特有の悩みを抱えがちです。悩みを誰に打ち明けたら良いのか、相談相手を探すこと自体も彼らの悩みの1つです。

新入社員が抱える悩みを本音で打ち明けてくれる関係性を構築することが、ブラザーシスター制度を運用する上で最も重要なポイントです。ブラザーシスターが彼らの悩みに理解し、共感し、寄り添った結果、悩みが解決できると、新入社員の会社への信頼度は大幅に増すことでしょう。

逆に、会社のスタンスを押し付け、悩みの解決に繋がらなかった場合は、彼らの不信感を募らせることになってしまいます。

ブラザーシスター制度の導入の際には、指導役の先輩社員に任せっきりにするのではなく、人事部主導で事前研修を行うなど、指導者としての心構えを教えていく必要があるでしょう。

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