アファーマティブアクションの現状とは?日本が遅れている理由

アファーマティブアクションの日本の現状とは?

アファーマティブアクションとは、差別是正措置のことを意味しており、日本ではポジティブアクションと呼ばれ「男女格差の是正」として主に女性の活躍推進の取り組みを意味しています。

アファーマティブアクションは、もともとは社会的なマイノリティである人種や性別、障がい者などの格差是正を意味する言葉として誕生しました。様々な格差の中でも日本では「固定的な男女の役割分担意識」が根強く残っており、女性の活躍推進を行う上で大きな妨げとなっています。

今回の記事では、日本のアファーマティブアクションが遅れている原因を、世界の指標と比べながらご説明します。

日本のアファーマティブアクションが世界的に遅れている理由とは?

日本におけるアファーマティブアクションの現状を世界と比較して、日本で女性の活躍推進が遅れている原因を探っていきます。

世界から見た日本のアファーマティブアクションの現状とは?

世界から見た日本のアファーマティブアクションがいかに遅れているかが分かる資料として、世界経済フォーラム(WEF)において「ジェンダー・ギャップ指数2018(The Global Gender Gap Report 2018)」が発表されています。

ジェンダー・ギャップ指数とは、世界各国での男女格差を「健康」「教育」「経済」「政治」の4つの分野で数値化したものです。0が完全不平等、1が完全平等として数値化されています。

日本はジェンダー・ギャップ指数の調査対象144カ国の中で、2015年で101位、2016年で111位、2017年で114位と、かなり低いランクに位置するだけでなく、毎年ランクが下がっていました。2018年の調査では110位とやや改善されましたが、先進7ヵ国の中では依然最下位のままです。

日本のジェンダー・ギャップ指数ランクの低さは「経済」と「政治」の分野が低いことが主な原因です。「経済」と「政治」に共通する課題として、方針決定に関わるポジションの女性比率が著しく低いことがあり、特に「経済」では男女間の賃金格差の大きさが問題になっています。

CGI(2018)各分野の比較
出典元『内閣府男女共同参画局』「共同参画」2019年1月号

日本のジェンダー・ギャップ指数のランクが低い原因とは?

日本のジェンダー・ギャップ指数のランクが低い原因は主に「経済」と「政治」の指標の悪さですが、今回の記事では「経済」の指標について扱います。

日本のジェンダー・ギャップ指数で「経済」が低い原因として、大きな問題が3つ考えられます。

  1. 固定的な男女の役割分担意識が根強く残っている
  2. 子育てが女性の担当とされ、働く環境やキャリアの道が制限されている
  3. 男女間の同一職種の割合が少ない

1.固定的な男女の役割分担意識が根強く残っている

ジェンダーギャップ指数の経済指数が低い1つ目の原因として、男女の役割分担意識によって、女性が経済活動に参加する機会が少ないことが挙げられます。

日本では昔から旦那のことを主人、妻のことを家内と呼ぶように、男性が外でお金を稼ぎ(経済力)、女性が家事や子育てをする(非経済力)という役割分担意識が強く根付いています。

男女の役割分担意識は家庭内に限った話ではなく、仕事においても生産性の高い(=報酬の多い)業種は男性ばかりが配属され、女性は事務や接客といった生産性の低い(=報酬の少ない)業種にしか配属されないといった男女格差が、多くの企業で見られます。

平成27年の自殺者データを見ると、自殺の動機で男女に大きな開きが出た理由として「経済・生活問題」で男性が女性の8.6倍の割合で自殺者が多く、また「勤務問題」も7.5倍の割合で男性の自殺者が多くなっています。

「男は稼いで家族を養うことが当たり前」という役割分担意識が「甲斐性」という言葉で今も当然のように使われていることからも、日本における男女の役割分担意識の根強さが推し量れます。

年齢階級別、原因・動機別自殺者数
出典元『警察庁』平成27年中における自殺の状況

男性が1人で稼ぎ家庭を支えて女性が家を守るという図式は、男女共に大きなストレスになっており、固定的な男女の役割分担意識が「男は・女はこうあるべき」と縛りつけてしまっている状況があるといえます。

女性の就業率は徐々に上がってきていますが、男女間の役割意識が改善しない限り、ジェンダー・ギャップ指数のランクは上がらず、アファーマティブアクションの取り組みが日本全体で急務とされる状況は変わらないでしょう。

2.子育てが女性の担当とされ、働く環境やキャリアの道が制限されている

日本のジェンダー・ギャップ指数の経済指数が低い2つ目の原因として、1つ目の原因と重なる点がありますが、子育てを女性が行う家庭が多いことが挙げられます。

子育てのために就職していた会社を退職したり、パートや非正規社員としての勤務を選ぶことで賃金格差が生まれるなど、女性は時間やキャリアの面で制約を受けていることが多くあります。

総務省統計局の「労働力調査」(2010年)によると、就業を希望しながらも求職活動を行っていない女性のうち「家事・育児のため仕事が続けられそうにない」という割合が、30~34歳で65.3%、25~29歳で56.7%、35~39歳で55.9%と、原因の多数を占めています。

子育てを女性が行うことが多く、企業や社会のサポートが行き届いてないと感じ、就職に踏み切れない女性が多くいるのが現状です。

就業を希望しながらも求職活動をしていない理由(女性)
出典元『総務省統計局』平成22年 労働力調査年報

アファーマティブアクションに取り組んでいる企業は多く、産休や育休などの制度を導入し、子育てを原因とした離職や就職の断念をなくそうという機運が高まっています。

仕事と家事・育児を両立できる制度や環境を整備するために、企業には労働時間の問題だけでなく、やりがいが感じられる仕事内容や男女で平等な人事評価が求められます。

3.男女間の同一職種の割合が少ない

日本のジェンダー・ギャップ指数の経済指数が低い3つ目の原因として、日本では女性の男女間の賃金の格差の改善が全く進んでいないことが挙げられます。

アメリカでは女性の収入が男性の8割ほどであるにも関わらず、日本では女性の収入は男性のおよそ5割しかありません。

日米の男女賃金格差の推移
出典元『東洋経済オンライン』なぜ日本は「女性の生産性」が極端に低いのか

日本の女性の就業率は25~54歳で71.8%となっており、多くの女性の社会進出が進んできているにも関わらず男女間で賃金の差が出る問題は、男女で就ける仕事に事実上の差があることが原因です。

男女で就ける仕事に差がある問題は、1つ目の原因として挙げた男女の役割分担意識の影響が大きく、生産性の高い仕事や専門職は男性の割合が高く、女性はサービス業や機械化されるルーチン作業や事務職などの割合が多いため、そもそも賃金レベルが大きく異なっていることが大きな要因となっています。

近年まで女性の潜在能力は過小評価され、労働力として有効活用されてきませんでした。男女の役割分担意識から、女性は外で働くには能力が及ばないと思われてきた時代の考えが、日本人の意識に強く残っているのです。

女性の能力を男性と同様に評価し、女性だから・男性だからと職種を限定せず「一個人」として認め合う社会の実現のために、アファーマティブアクションが重要になっています。

男女格差の是正を目指してアファーマティブアクションに取り組もう!

日本のアファーマティブアクションは、世界から見て非常に遅れています。2018年の調査ではやや改善されましたが、世界で見ると日本のジェンダー・ギャップ(男女格差)指数は未だ非常に低いランクに留まっており、先進7ヵ国の中では最下位です。

日本の経済活動における男女格差を是正するためには、女性の能力を男性と同様に評価し、女性だから・男性だからと職種を限定せず「一個人」として認め合う社会にしなければなりません。

キャリア面の男女格差の是正や平等な評価制度、結婚や子育てのタイミングでのサポート体制、男女間の役割意識の改善など、多くの課題を解決するために、企業単位でのアファーマティブアクションが求められています。

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