求人票の就業時間の見方とは?変形労働時間制やみなし労働時間制とは

残業してもきちんと残業代が支払われていないことは問題。

求人票の就業時間では「9:00~18:00(休憩1時間含む)」などはもちろんのこと、「シフト制」や「裁量労働制」、「変形労働時間制」など時間が明記されていない場合があります。「みなし残業」などで「固定残業代」が含まれている場合には、必ず「○時間分の固定残業代○万円」などの記載が必須となっています。

働き方改革で是正しようとしている問題として「長時間労働」すなわち「残業」の是正も行われています。

東京都産業労働局の調査によると、平均残業時間は22.3時間であるものの、45時間以上の労働者は38.4%も存在します。多くの労働者が36協定の45時間を超えている実態が明らかとなっています。

時間外労働
出典元『東京都産業労働局』労働時間管理に関する実態調査

残業しているのに残業代が支給されていない労働者は16.6%います。支給されていても全額支給されていない割合は24.3%と、満額もらえている労働者は80.6%×73.4%の約59%の労働者に留まっています。

時間外支給の有無
出典元『東京都産業労働局』労働時間管理に関する実態調査

残業代は全額支給されているか
出典元『東京都産業労働局』労働時間管理に関する実態調査

所定の労働時間について

労働基準法では労働時間を1日8時間、週40時間以内としています。休憩時間は8時間以上働く場合は1時間以上、6時間以上働く場合は45分以上与えるよう定められています。

所定の休憩時間を与え、所定の労働時間を超えた労働時間が時間外労働とみなされます。

就業時間に記載のある用語について

定時が決まっている会社であれば時間の記載を確認すれば良いだけですが、サービス業などの勤務時間が不定になりやすい職種や、働きやすい職場を目指している企業などでは、定時が決まっていない場合もあります。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、1日8時間、週40時間と定められた労働時間の例外処置です。1ヶ月あるいは1年の一定の期間の労働時間を平均して週40時間を超えなければ、特定の日や週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

変形労働時間制のメリットとして、労働時間に合わせたスケジュールを立てやすいことが挙げられます。仕事が少ない閑散期に定時まで働くのではなく早期代謝することが可能です。繁忙期にガッツリ働き、閑散期には早く切り上げるなど、メリハリのある就業時間制度です。

変形労働時間制のデメリットとしては、閑散期であっても早く退社できるかは企業次第であり、時間外労働が発生する可能性もあることが挙げられます。また繁忙期に長時間労働しても、法定時間内であれば時間外手当がつかないことも挙げられます。

フレックスタイム制

変形労働時間制の1つで、その日の始業時間や終業時間を自分で決められる制度です。1ヶ月以内の一定期間における総労働時間はあらかじめ定められており、その枠内であれば自由な時間に出勤することができます。

フレックスタイム制のメリットとして、ライフワークにあわせた働き方ができることが挙げられます。子供も見送ってから出社する、通勤ラッシュを避けて出社する、早めに出社して夕方からのライフワークを楽しむなど、自分自身の都合にあわせて働くことができます。

効率的な時間配分を行えることで、残業が少なくなることもメリットです。体や頭が冴えている時間帯に出社し、集中的に業務に取り組むことで生産性の向上も期待されています。

フレックスタイム制のデメリットとして、取引会社や他部門の連携が難しくなることが挙げられます。朝10時からアポイントメントがあるのであれば、それに合わせて出社しなければなりません。また他部門との打ち合わせ時間を決める際にも、他部門の人の働き方を知った上でセッティングしなければなりません。

自分で労働時間を管理しなければならない負担もデメリットです。定められた総労働時間に達するよう、月間のスケジュールを立てなければなりません。

みなし労働時間制

実労働時間の把握が難しいか、時間で賃金を決めることがなじまない労働者(コンサルタント、研究者、システムエンジニアなど)に対し、「労使協定を結んで、労使で合意した時間を1日の労働時間とする(みなす)」制度です。何時間働いたとしても、所定の労働時間働いたものとみなされます。

労使協定で合意した労働時間が8時間以内の場合は、何時間働いても時間外手当は出ません。(深夜手当は支払われなければなりません。)合意した時間が8時間以上となる場合は、8時間を超えた分の時間はみなし残業となります。

みなし労働時間制のメリットとして、仕事や業務のやり方や時間に対する自由度が高いことが挙げられます。打ち合わせ前や納期前には多忙になりがちですが、それ以外の時期であれば、自由な時間調整が可能です。定時という考え方もないので、誰も帰らないから気まずくて帰れないことが起きません。

デメリットとして、仕事をこなすのに時間がかかってしまう人に対しては負担になる点です。多くの人が8時間で終わる作業が16時間かかってしまった場合でも、8時間分の成果としてみなされます。不得意な業務を充てがわれるだけでなく、新しい業務を充てがわれた場合にも同様の問題が発生してしまいます。

労働契約書の内容と求人票や面接での内容を確認しよう

基本的に正社員などであれば、変形労働時間制などにしろ、8時間の労働になることが多いです。繁忙期などのタイミングや自由な働き方を推奨(仕事と育児などとの両立)している企業であれば、裁量労働制やフレックスタイム制度などが採用されやすいです。

「みなし残業」などで「サービス残業」なども日本企業における大きな社会問題となっています。正しく運用されているのかの確認は事前に行った方が良いでしょう。

求人票では「裁量労働制」などの記載がなかったのにも関わらず、労働契約書などで記載があり、契約書にサインをしてしまうと、法的には契約書の内容に準拠せざるを得ないため、労働契約を結ぶ際には今一度確認し、求人票や面接などとの相違があれば、事前に確認すべきです。

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