コミュニケーションスキルはなぜ大切?
採用では「コミュニケーションスキル」が重視されるという話を、どこかで聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?ビジネススキルとしての「コミュニケーション」とはどのように扱われているかを整理してみましょう。
ビジネススキルについて、ハーバード大学の経営学者ロバート・カッツが大きく3つに分けられることを提唱しました。その内訳は、
- テクニカルスキル(業務遂行能力)
- ヒューマンスキル(対人間関係能力)
- コンセプチュアルスキル(概念化能力)
となっており、ビジネススキルを支える三本柱のひとつであるヒューマンスキルに、コミュニケーションスキルは含まれます。そして下図が示すように、ヒューマンスキルは組織内のどのレベルの人材にとっても重要度が高いため、のびしろがあって対応力の高い人材を探すための主要な評価軸になるのです。
出典元『日本の人事部』マネジメント・管理職に求められるスキル
実際に経団連が行なった新卒採用についての調査を見てみると、「選考にあたって特に重視した点」を企業に対してアンケートを行なった結果、16年連続で「コミュニケーション能力」が1位となりました。
出典元『一般社団法人 日本経済団体連合会』2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果
コミュニケーション能力を重視しているのは、なにも新卒採用だけではありません。
マイナビの調査では、正社員の中途採用でも約半数の企業が「対業務スキル」よりも「対人スキル」を重視しているという結果が公開されており、コミュニケーションスキルは中途採用でもかなり重視されていることがわかります。
この記事では、ビジネスで求められる「コミュニケーションスキル」について、その特徴と具体例を紹介します。
コミュニケーションスキルとは何か?
対人関係を健全に保つために必要不可欠なのがコミュニケーションスキルです。一言でいうならば、「他人との十分な意思疎通を行う技術」といったものになります。
企業がコミュニケーションスキルを重視する理由
企業を構成するのはいうまでもなく「人」です。組織を維持するために必要なのは「人」であり、組織力はその結束の強さとして現れます。企業がコミュニケーションスキルの高い人材を求める大きな理由のひとつに、「人が離れていくことを防ぐため」というものがります。
コミュニケーション不足のために社内での連携が弱くなると、離職者が増加します。すると会社としての体力が落ち、規模の縮小を余儀無くされるケースもあります。
会社外でもコミュニケーションが不足すると取引先との認識の齟齬が表面化し、プロジェクトの失敗や取引の打ち切りなどに発展する可能性があります。
仕事は一人でするものではないからこそ、コミュニケーションスキルが重視されるのです。
プライベートとは違う「ビジネスのコミュニケーション」とは
面接で「コミュニケーション能力の高さ」をアピールする求職者は多いですが、最も注意すべきことは「プライベートとビジネスのコミュニケーションは別物である」という認識です。
プライベートでのコミュニケーションでは「一緒にいて楽しいか」が重視されますが、ビジネスで重視されるのは「仕事を滞りなくスムーズに行える」というポイントです。必要な情報を素早く的確に返答すること、相手に余計な手間をかけさせない配慮などがビジネスで重宝されるコミュニケーションスキルなのです。
採用面接でアピールする際は、社内・社外のそれぞれのビジネスシチュエーションでどのような働きをしたかを端的に話すように心がけましょう。
コミュニケーションスキルにはどんなものがある?
コミュニケーションスキルは大きく分けて以下の2つあります。
- バーバルコミュニケーション(言語コミュニケーション)
- ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)
字のごとくのスキルにはなりますが、前者は言語を介したコミュニケーション全般を指します。「聞く」と「話す」に分類されますが、ポイントは「相手が伝えたいことを正しく把握する」ことと「こちらが伝えたいことを正しく伝える」ことです。
後者は言語を使わないコミュニケーションで、わかりやすいものでいえば身振り手振りなどのジェスチャーが挙げられます。相手の視線の動きや表情、声色などの非言語的な情報から「相手の気持ち」を察する能力、つまり「空気を読む」スキルと考えることもできます。
すぐに実践できるコミュニケーションスキル
比較的すぐに実践できるコミュニケーションについてどんなスキルがあるかを紹介します。
「聞く」について、最初に身につけておきたいのが「傾聴」です。相手の話をまずはしっかり聞くことがコミュニケーションの基本です。わからないことが出てきたら「質問」をすることも大切です。これも立派なスキルで「どこが理解でき、どこが理解できなかったか」という会話の現在地の確認という意味でとても大切です。
自分から「話す」スキルとして、覚えておきたいのが「フィードバック」です。話の区切りが良いところまで進んだとき、相手の理解度、今どんな気持ちかを確認する言葉を軽く投げかける技術で、「質問」と似ています。互いの認識の齟齬が起こらないようにすること、もし齟齬が出たらどこで食い違ったのかを確認できるように、会話に目印を置くことは重要なコミュニケーションスキルです。
上記は言語コミュニケーションですが、すぐに実践できる非言語コミュニケーションの例として「頷き」があります。話している相手というのは、「ちゃんと伝わっているか」「ちゃんと聞いてもらえているか」が不安になります。相手の声のトーンやペースに合わせて頷くことで、相手の不安を払拭できます。
仲良くするだけがコミュニケーションではない
ビジネスにおけるコミュニケーションとプライベートにおけるコミュニケーションは目的が異なります。一緒にいて楽しいかではなく、相手に対して気配りができるなど、業務を円滑に行う働きがビジネスで求められるコミュニケーションですので、採用面接でアピールする際は注意が必要です。
仕事におけるコミュニケーションにおいては、性格だけでなく、仕事における価値観の違いを理解することが重要です。どんな仕事・役職でも重要であることから、コミュニケーションスキルの向上を常日頃から心がけるようにしましょう。