「若い人材」はそれだけでニーズがある!
「ポテンシャル採用」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
リーマンショック以降、日本では業界・職種を問わず求人倍率が増加の一途をたどっており、中小企業を中心として深刻な「人材不足」が叫ばれています。企業の採用活動は競争が激化していて、スキルが高い人材の獲得は困難を極めています。
「ポテンシャル採用」は求人市場の動向を反映して近年増えています。社会人経験のない人材を対象とした新卒採用はもちろん、経験の少ない第二新卒や若手社会人を業界・職種未経験でも受け入れる傾向がみられています。
グローバル化などでどこの業界でも生き残りをかけた熾烈な戦いを強いられている昨今、常に高い業績をあげる必要があります。この記事では、企業が積極的に採用をすすめている「ポテンシャルが高い人材」についての理解し、これからの社会を生き抜くために必要な能力について一緒に考えていきます。
ポテンシャルとはどういう意味?
「ポテンシャル」という言葉の意味を確認しましょう。直訳すると「潜在能力」という意味で、具体的な能力・スキルを表す言葉ではありません。現状では顕在化していない能力のことをさしていて、一言でいうならば「伸びしろ」です。
「伸びしろ」は主に、専門性や経験でなく「ポータブルスキル」と呼ばれる「どんな仕事でも重要な能力」として考えている企業も多くあります。その例としてコミュニケーション能力や論理的思考力などが挙げられ、社会人としての基礎力を重視する採用を実施している企業も増えてきました。
企業が欲しい人材とは?
人材不足であえぐ企業は多く、特に中小企業では慢性的な人手不足が死活問題となっています。中途採用となればスキル・経験が豊富な「即戦力人材」が求められていて今でも高いニーズがありますが、人材獲得競争の激化に伴い、採用門戸を広げる人事戦略に切り替えている企業が多数あります。
そうした企業が求める人材の特徴で代表的なものは以下の2つです。
- 長期で働いてくれる若手社員
- 短期で働いてくれる経験・スキルが豊富な人材
本当の理想は「長期で働いてくれる経験・スキルが豊富な人材」です。しかし、現実問題としてこうした人材の獲得は難しく、「適材適所」に軸をおいた採用活動が一般的となってきました。
前者の「長期で働いてくれる若手社員」をターゲットとした採用が「ポテンシャル採用」です。繰り返しになりますが、コミュニケーション能力や論理的思考力に長けて「伸びしろ」がある人材の獲得を求めての人事戦略です。
一方で「短期で働いてくれる経験・スキルが豊富な人材」は業界の繁忙期を乗り切るために実施される採用でターゲットになります。こうした求人は、人材派遣などアウトソーシングで募集されるケースが多いです。
「ポテンシャル採用」で見られるポイント
「長期で働いてくれる若手社員」の獲得を目指して実施されるポテンシャル採用ですが、では選考ではどのようなところを見られるのでしょうか?
企業ごとに評価基準は違ってきますが、やはり「どこに行っても通用する能力」である「ポータブルスキル」は重要な評価基準です。同僚を気遣いながら円滑に業務を進めるコミュニケーション能力や交渉能力、論理的思考力や物事を一般化して俯瞰的にとらえる能力は多くの企業からも高い評価を受けます。
面接ではそうした能力のアピールが大切です。前職では「どのような仕事」を「どのようにこなしていたか」を簡潔に説明できることが大切です。
ポテンシャル採用では前職の経験自体は重視されませんが、自身の能力を具体的に説明するためには大切なポイントです。転職活動をお考えの方は自己分析を丁寧にしておく必要があります。
ポテンシャル採用での「年齢」の重要性
ポテンシャル採用では「長期で働いてくれる」点が重視されます。能力・経験を問わないということは、入社後の教育で身につけてもらうということです。そこまでの人的コストを割いて採用するのですから、すぐに退職となると企業としてのメリットがありません。
その観点から考えると「若い」というのはそれだけで価値になります。その企業が持っている技術を継承し、やがて中心人物にまで成長することが期待できます。
逆の「短期で働いてくれる経験・スキルが豊富な人材」では経験・スキルさえあれば年齢はほとんどの場合で問われることはありません。年齢やスキルといった人材価値は、採用難の現在では「適材適所」が考慮されているのです。
「適材適所」が現在の求人市場のポイント
繰り返しになりますが、「ポテンシャル」とはいえ、企業が具体的に何を求めているのかは企業ごとに違っています。
多くの企業では「長期的に活躍する」人材を求めているが、平均勤続年数が短い企業では「長期的に活躍してほしいがすぐに辞めてしまうため、短期で活躍する人材が欲しい」など考える企業も存在することもあります。
ポテンシャル採用を行っている企業であっても「どのような人材を求めているのか」を見極め、自分に何が求められているのかを理解することが、「ポテンシャル採用」で成功するコツだといえるでしょう。