企業を選ぶ時に、あなたは判断基準を持っていますか?
新卒採用時は、就職活動を始めてすぐに内定が出たため、深く考えずに入社した人も少なくないでしょう。入社してから企業と自分が合わなかったと気付き、今まさに悩んでいる人もいると思います。
転職を考えている人も、今の企業に後悔している人も、まずは企業選びの軸から自分と向き合って、優先順位を整理することが大切です。企業選びの軸は様々ありますが、数値化できる定量情報(給与等)と数値化できない定性情報(経営方針等)を整理し、自分の優先順位をつけることが重要です。
今回は、さらに優先順位をつけやすくするために「自分にとって妥協できるライン」と「妥協できないライン」の判断基準について説明していきます。今勤めている企業も含めて、あなたが企業を選ぶ際の参考にしてください。
今後、転職活動を始めるにも、今の企業に残り続けるにも、自分で企業選びを決断する時がやってきます。その際に、企業選びの軸とその判断基準が曖昧なままなら、ズルズルと決断も長引いてしまうでしょう。それだけ辛く迷う時間も続くということです。
転職できたとしても「こんな企業を選ぶんじゃなかった・・・」と後悔する可能性も高まってしまいます。企業選びの軸とその判断基準を明確にするためにも、定量情報と定性情報ごとに判断基準を整理していくことが重要です。
企業選びの判断基準は3段階評価でシンプルにする
物事を選択する際に迷ってしまうのは、自分の判断基準が不明確だからです。複数の軸で考えずに、一つの軸だけで考えるから、実行した後に「他のことも考えておけば良かった・・・」と後悔してしまうのです。
給料が良い企業を選んで入社したとしても、自分に全く合わない仕事だったとしたらどうでしょうか。複数の軸とその判断基準を作り、自分が納得できるラインを複数持っている企業に入社できていれば、後悔する可能性は極めて低くなるでしょう。
どのように判断基準を作っていけば良いのでしょうか。ポイントは、以下のような3段階評価でシンプルに考えていくことです。
3段階評価ごとに点数を設定して乗算すれば、客観的に数値化できるので、検討先が複数社あっても簡単に比較できるようになります。
判断基準の3段階評価
- 理想ライン(5点):モチベーションがあがるライン
- 妥協ライン(3点):モチベーションは維持できるライン
- 最低ライン(1点):モチベーションは低下するが我慢できるライン
このように判断基準を客観的にすれば、企業選びで迷うことを防げます。
判断基準がなければ、人は迷ってしまうものです。モンキーマインドという言葉をご存知でしょうか。猿が木から木に飛び移るように、自分の思考も次から次に飛んでしまうことを言います。「アレもコレも良いけど、ソレとソッチはダメだ」と迷い続けてしまうのです。
モンキーマインドになると思考は疲弊してしまい、決められることも決められなくなってしまいます。当然ですが、転職時は慎重になりすぎて企業を選べない状態に陥りがちです。上記のような3段階評価にすることで、自分の本来の優先順位を客観的に判断しやすくすることができます。
自分の企業選びの軸に該当する定量情報と定性情報を3段階評価に当てはめて、自分なりの判断基準を作っていきます。例えば定量情報で言えば以下のイメージです。
参考いただきながら「自分だったらどのような3段階評価になるだろう?」と考えてみてください。
定量情報の例
企業規模(従業員数)
- 理想ライン:10,000名以上
- 妥協ライン:1,000名以上
- 最低ライン:100名以上
創業(設立)
- 理想ライン:30年以上
- 妥協ライン:10年以上
- 最低ライン:5年以上
平均年齢
- 理想ライン:30代前半
- 妥協ライン:20代後半
- 最低ライン:30代後半
地理的条件(自宅からの片道時間)
- 理想ライン:30分圏内
- 妥協ライン:1時間圏内
- 最低ライン:2時間圏内
勤務形態(残業時間月平均)
- 理想ライン:10時間以内
- 妥協ライン:40時間以内
- 最低ライン:60時間以内
経済的条件(給与)
- 理想ライン:25万円
- 妥協ライン:22万円
- 最低ライン:20万円
定性情報の例
定性情報の3段階評価は以下のイメージになります。
数値的に評価はできませんので、自分の価値観とすり合わせる必要があります。ただ、3段階評価にすることで、自分の価値観をシンプルに整理しやすくなるでしょう。
業種 (製造、商社、金融、サービスなど)
- 理想ライン:総合商社・専門商社
- 妥協ライン:マスコミ
- 最低ライン:通信
職務内容
- 理想ライン:自分の経験が大いに活かされる
- 妥協ライン:自分の経験が多少活かされる
- 最低ライン:自分の経験は活かされないが興味あり
職業自体の専門性(資格や専攻等)
- 理想ライン:自分の専門性が大いに活かされる
- 妥協ライン:自分の専門性が多少活かされる
- 最低ライン:自分の専門性は活かされないが興味あり
業界内での評価(例:仕事のクオリティ)
- 理想ライン:仕事のクオリティが高いと評判な業界トップ層
- 妥協ライン:仕事のクオリティが高いが業界中堅層
- 最低ライン:仕事のクオリティが高いが業界下位層
経営方針(例:経営理念)
- 理想ライン:自分の将来像に一致し、共感できる
- 妥協ライン:自分の将来像に一致しないが、共感できる
- 最低ライン:自分の将来像に一致しないし、共感もできない
企業の将来性、成長性など(例:増収増益)
- 理想ライン:毎年増収増益
- 妥協ライン:浮き沈みはあるが増収増益傾向
- 最低ライン:増収増益は一定だが新サービスに期待
社風(例:人間関係)
- 理想ライン:人間関係が良さそうだし、協力体制がありそう
- 妥協ライン:人間関係は良さそうだが、協力体制は無さそう
- 最低ライン:人間関係は悪そうだし、協力体制も無さそう
福利厚生(保険、住宅手当、保養施設など)
- 理想ライン:家賃補助、社員寮がある
- 妥協ライン:資格取得支援がある
- 最低ライン:社員旅行がある
企業選びの3段階評価で比較する
企業選びの軸から自分にとって優先順位が高い項目を複数選びます。さらに、それぞれの軸における3段階評価の点数を以下のように計算してください。この点数を検討先の企業ごとに算出すれば、客観的に比較することができます。企業選びの悩みも激減するでしょう。
1.経済的条件(給与) ②妥協ライン:22万円→3点
2.勤務形態(残業時間月平均)③最低ライン:60時間以内→1点
3.企業の将来性、成長性など ①理想ライン:毎年増収増益→5点
→②3点×③1点×①5点=15点
自分が将来やりたいことなどがわからないという人もいると思います。その際は、WEBサービスや書籍で販売されている適性検査などで自分の価値観を客観的に理解することから始めると良いでしょう。自己分析を行って自分の価値観を明確にしていくことが、企業選びに失敗しないコツです。
判断基準作りが難しければ、自ら情報を取りにいくこと
定量情報については、数値化できるので判断基準は作りやすいと思います。ただ、定性情報については、自分の価値観に紐付く基準になるので判断基準が曖昧になり、作りにくいと感じる人もいるでしょう。判断基準作りを諦めてしまったら、いつまでも企業選びを悩み続けることになってしまうかもしれません。
自分の価値観は頭で考えていても見つかりにくいものです。価値観を明確にするためには、外部刺激がとても有効です。企業の説明会や企業に訪問することで、「やっぱり、経験を活かせる仕事が安心」とか「社風が大事だな」と体感的に気付くことも多いでしょう。
自分の判断基準を整理するために、仕事の価値観や想いを伝えているメディアの記事を読むこともおススメです。自分の判断基準のクオリティをあげることで、企業選びも自信が持てるようになり、入社後に後悔することもなくなるでしょう。