注目を浴びているコアバリューとは
2016年2月に米ビジネス誌フォーブスが初めて発表した優良中小企業ランキングに掲載された企業は「偉大な企業になる」ことを選んだ会社が紹介されています。これらの企業は「最高の商品やサービス」「最高の職場環境」「地域社会への貢献」を目指し、半数以上の企業がコアバリューを公開していることから、「コアバリュー」という言葉が注目を浴びるようになりました。
また、アマゾンが800億円で買収したアメリカのザッポスという会社は靴の通販で年商1200億円を誇り「自社のコアバリューを最優先する」として非常に注目を浴びた企業です。自社の「コアバリュー」を追求した結果、事業成長が伴ってついてきた成功事例とも言えるでしょう。
コアバリューの定義とは
コア・バリューとは、ダイナ・サーチ代表の石塚しのぶさんが、米国諸業界で突出する企業たちを研究・分析し、その共通点を仕組み化して開発した経営手法です。
コア・バリュー経営というのは、会社の中核となる価値観(=「コア・バリュー」)を定めることによって、それに基づく行動指標や意志決定を日々徹底していくことです。コア・バリューによって社内の結束を高め、共通の目的の達成をより効果的に行ことができるようになると言われています。
コアバリューを尊重するメリットとは
従業員が共通の価値観や目標を持つことで、従業員の気持ちが一つになる
例えば部活を例にとってみますが、部活内での目標がなく毎日練習をこなしているだけの部と、「〇〇試合で優勝する」「仲間たちと共に闘う」などの目標や価値観を持って練習している部だったら、どちらの方が練習に熱が入り部員たちの気持ちもまとまっていると思いますか?恐らく後者だと感じるでしょう。
ビジネスにおいても、会社が重要だと指し占める価値観や目標に向かって業務を行うことで、従業員同士の気持ちが1つにまとまりやすくなるのです。
社内が活性化し、サービスの質や顧客満足度が高まる
従業員の間で「これは重要である」という価値観を共有することで、企業として一貫性のある対応や行動をとるようになり、信頼性の向上やサービスの質向上が見込めます。
最終的には顧客満足度のアップにも繋がっていきます。
企業ブランディングとしても有効である
ブランドとは消費者が抱く価値観やイメージのことです。このブランドとコアバリューを結びつけるものがブランディングだと言えます。
例えば、スマートフォンという商品に対して、消費者が「通信速度の速い方が使いやすい」というイメージや価値観を抱いていたとします。「スマートフォン」×「通信速度が速い」=〇〇社 というイメージを、市場で一定以上の割合の人にイメージしてもらうことができれば、ブランドは確立されたと言えるでしょう。
通信速度の速いスマートフォン、といった特定の領域の中で、競合他社に負けずに「通信速度が速いのは〇〇社」と認識してもらうための活動をすることがブランディングです。
コア・バリューにおいても同様のことが言えます。「環境に配慮した活動」をコアバリューとして掲げ、消費者にも納得してもらうことができれば、「環境に配慮した企業」というブランディングが成り立ちます。
議論の収集がつかなくなった際の意思決定要因として使える
社内にはさまざまな意見を持つ人々の集合体です。意見や議論がまとまらなかったり収集つかなくなったりした場合でも、コアバリューがあれば、意思決定の判断基準として使うことができます。
コアバリューを活用するうえでの注意点について
コアバリューを掲げるだけでなく、行動が伴う必要がある
どんなに素晴らしいコアバリューを掲げていても、従業員がしっかりと認識し行動しなければ意味がありません。単に壁に貼っている目標、になってしまっては効果もありませんので、コアバリューを浸透させるための施策や行動などを行うことが大切です。
コアバリューで従業員のモチベーションアップや早期離職の抑止に繋げる
コアバリューはアメリカの企業でよく使われる概念ですが、アメリカ企業も日本と同様に「従業員エンゲージメント」や「モチベーション」の低下、早期離職の問題に悩まされています。それらを解決できる手段の一つとして「コア・バリュー経営」が注目を浴びているのです。
日本の企業でも、これらを改善するヒントとして有効活用することができます。