内定辞退は人事担当者として深刻な問題
新卒採用・中途採用、どちらの人材採用においても「内定辞退」は人事担当者にとって非常に大きな問題となります。
人材の採用難が続くため、せっかく費用をかけて求人広告などを投下して応募を募り、応募してきた求職者を工数・費用をかけて面接をし、ようやく優秀な人材に内定を出したにも関わらず、その求職者から「内定辞退」となってしまっては今までかけたものが無駄となってしまい、時間もお金も大きな損失となってしまいます。
そこで様々な企業が直面した「内定辞退」について、内定辞退となった理由などから、どうすれば内定辞退を防ぐことが出来るのか、そして具体的な課題についてを解説していきます。
内定辞退にはクロージングに問題がある
内定辞退となってしまう多くの場合、そもそもクロージングを行っていなかったり、クロージングの内容に問題がある場合があります。今回は、内定者の悩みを解決し、自社の採用に結びつけるクロージングの手法についてご紹介します。
この「クロージング」とは、内定を出す前・出した後に内定者に対して入社をしてもらうように「口説く」ことを差します。クロージングは「面接」とは異なり、落とすかどうかを判断するために行うものではなく、応募者に入社をしてもらうように話をすることです。
ただ闇雲にクロージングを行えばいいと言うわけではありません。内定者がどのような理由で「内定辞退」をするのかに応じて、その辞退となる理由を予め解消するために「クロージング」を行います。そこで、どのような理由で内定辞退を行うのかについてを解説します。
今回の記事では、新卒採用・中途採用に共通する「クロージングの手法」を説明いたしますが、新卒採用・中途採用それぞれの人事担当者が抱える悩みの対策については、当別記事にて詳細に説明いたします。
内定を辞退する理由は応募者によって様々
まずは内定を辞退する理由について確認してみましょう。
そもそも、内定者はその会社に興味を持って応募をして選考に進んだため、ある程度は内定が出た企業に興味があったはずです。元々興味が無ければ、そもそも応募をしていないですし、選考に進んだ際にも辞退出来たはずです。
それでも最終的に内定辞退となってしまったのには、それぞれに様々な理由があります。まずはそれぞれの理由と、どうすれば防ぐことが出来たのかの解決策をリストアップしていきます。
理由1.志望度の高い他の会社で内定が出た
他社からの内定が影響する場合です。自社よりも他社の志望度が高い場合は、志望度の低い内定は辞退されます。
志望度の高い他社から内定が出た場合、内定辞退となってしまっても仕方ないと思われるかも知れません。しかし必ずしも、致し方ないケースばかりではありません。
例えば、当初は他社の方が志望度が高かったとしても、選考を進めることで自社への理解を深めてもらうことで、志望度を上げるような努力や取り組みが行われていたのかが重要です。特に内定を出したいような優秀な応募者の場合には、内定を出してからではなく、選考途中の時点で自社への企業理解を深めたり、応募者に対して親身に対応することが重要です。
また、志望度が高い他社を受けていたことをどれだけ早いタイミングで把握することが出来たのか、その対策を選考採用活動に活かすことができたかどうかも重要といえます。
その情報を元に「他の会社」と「自社」とでの入社後のメリットやデメリットをしっかりとクロージングで話をしていき、自社へ入社をしてもらえるように口説きましょう。
志望度の高さは、従業員規模や売上規模だけで決まるものではありません。職場の人間関係が良好か、自分のやりたいことが実現できる会社なのか等、至るところに志望度が上がる要素があります。応募者が何を求めているのかを把握して、積極的にアピールしていきましょう。
理由2.労働条件が合わない
土日祝休み、月給20万円以上、残業が月20時間以下など、求職者が求める条件と労働条件が一致しない場合です。
この場合は、人材募集の段階で透明性の情報を公開できていたのかを確認する必要があります。仮に情報を公開出来ていなかった場合には、初めから内定辞退する人を費用をかけて面接などの選考をしていたことにも繋がるため、早急に情報公開の対策を行いましょう。
情報を公開することで、応募人数が集まらないと懸念が出てくることもあるかもしれません。しかし情報を隠したところで、根本の内定辞退の課題解決には繋がりません。入社に至ったとしても、早期離職につながり、研修費用や給料などまでもが無駄なコストとなります。
この場合には、自社のブランディングを行ったり、条件を見直すなど嘘をつかずに採用手法を見直すようにしましょう。当初の条件は希望には合わなくても、将来の年収の上がり幅や年収を上げるために評価を行う基準などを、クロージング面談でしっかりと伝えることで前向きになることもあります。
そのためにもしっかりとクロージング面談の場を活かすようにしましょう。
理由3.社風が合わない
社風が合わないと感じて内定辞退をされた場合には、企業の理解がどこまで深められたのかが重要です。自社の社風をしっかりと把握した上で辞退となったのであれば、ある意味問題はありません。
というのも、もし社風に合わない人が入社をしてしまった場合、入社後に早期退職になったり、他の社員への悪影響も出てくるかも知れません。
しかし、自社の社風を理解して貰う前に、面接の雰囲気だけで、社風に合わないと判断されてしまったのであれば問題です。この場合には、選考の中で社風を把握してもらえるような工夫をするだけで無く、クロージング面談をしっかりと行い、社風を十分に理解をしてもらうように努めましょう。
内定を辞退する理由は応募者それぞれではありますが、応募者が何を重要視しているのかをしっかりと見抜くことが一番の近道です。そして、その見抜いた点を選考の中であったり、クロージングの場面で意識をして伝えるようにしていきましょう。
内定辞退に至る理由を把握して、クロージングを行う
クロージングは、内定辞退を必ず防げるという安易なものではありませんが、内定を辞退する理由に直接働きかけられる、非常に重要な手段です。
最も良い方法は、内定者一人一人が抱えている悩みを理解してクロージングを行うことですが、そのためにはまず多くの内定者がどのような悩みを抱えて内定辞退に至るのかを理解することが必要不可欠です。
内定辞退を考慮して内定者を予め増やすことや、内定者フォローに力をいれるなどの施策はある程度は効果がありますが、そのような手段の効果は限界があります。クロージング面談をしたから内定辞退は発生しないなど、手段が目的にならないように、採用における根本の悩みの解決を丁寧にしていきましょう。