ミツカリの特徴について
ミツカリは、採用や人材配置のカルチャーフィットをサポートするサービスです。ミツカリは人の性格と価値観を可視化する適性検査ですが、既存の適性検査と異なる点が3点あります。
1.社員にも答えてもらう
通常の適性検査は、主にスクリーニング(足切り)の目的で使用されるため、求職者のみに受検をしてもらいます。しかし、ミツカリは組織とのフィット(相性)を計測する目的で設計されているので、従業員にも受検してもらいます。
同じ受検者であっても、応募先の企業が異なれば、各社それぞれの基準で判定された相性が表示されます。優秀・優秀でないの判断ではなく、自社に合うか・合わないかのマッチング結果が出力されます。
2.社員同士の相性を診断する
通常の適性検査の分析対象は個人です。よって「誰と誰が合うのか」など、複数を絡む判断は、人手による判断や、コンサルタントによる属人的な勘に頼らざるを得ませんでした。
ミツカリは複数人の分析を同時に行うため、様々な組み合わせの相性診断を客観的に行うことができます。
3.機械学習とテクノロジーで自動化
通常の適性検査は結果が返ってくるのに数日かかったり、分析する部分は人事担当者に委ねる場合が多いです。
ミツカリはSaaSベースのシステムにより完全自動化し、結果は即時に出力されます。マッチングの精度は、機械学習の技術を使って自動的に向上していきます。急な応募でも結果がすぐに確認でき、分析する時間を最小限に抑えることができるため、人事担当者の業務の負担を減らします。
本記事では、ミツカリの特徴をフルに活かしながらを社内分析に役立てる方法を紹介します。社内分析をすることは、明確な人材要件定義を定める第一歩となります。
どんな人事データ分析に活用できるのか?
ミツカリを人事データ分析として使う方法は、主に「ハイパフォーマー分析」「社風の可視化」「人材配置」の3つに分けられます。
この記事では「ハイパフォーマー分析」を紹介します。
ハイパフォーマー分析を行う6ステップについて
どの組織でも、自社で活躍してもらう人材を採用したいはずです。自社のハイパフォーマーを分析し、ハイパフォーマー化する要因を見つけることは、人材要件定義を決める一つの手がかりになります。
しかし、一般的に優秀とされている人物像が、自社にも当てはまるとは限りません。自社の社員の中から、ハイパフォーマー特有の要素を分析することが、人材要件定義のもっとも初歩的なステップと言えるでしょう。
スキルではない人物特性に焦点を当てたミツカリでは、ポテンシャル採用になりがちな新卒採用に大きな効果を発揮します。すでに自社にいるハイパフォーマーを分析することで、職務経験のない新卒採用者の人物特性から将来のパフォーマンスを予測することができます。
本記事では、某社の営業チームを仮定して分析していきます。ハイパフォーマー分析を行うためには6ステップが必要です。
- ハイパフォーマーにミツカリを受検してもらう
- グループ分けができるタグ付け機能を設定する
- ハイパフォーマーの社員にタグ付けをする
- 分析・マッチ結果画面でマッチ度を分析する
- ハイパフォーマーの特徴を読み解く
- 共通する項目を読み解く
1.ハイパフォーマーにミツカリを受検してもらう
受検して欲しい社員にミツカリ受検へのリンクが付随したメールを送ります。
営業部の分析をするとして、A社の営業トップパフォーマーは「山田一郎」さんだったとします。ハイパフォーマーの定義は様々かと思いますが、基本的には成績と評判をもとに決めるのが良いでしょう。
山田一郎さんが回答を終えると、下にある回答状況画面で、「回答済み」が表示されます。
2.グループ分けができるタグ付け機能を設定する
「タグ」はグループ分けをする時に使うラベルの役割を果たします。
今回は、山田一郎さんと営業メンバーを比較したいので、「営業」タグと「トップパフォーマー」タグを作成します。
「タグ追加」ボタンをクリックします。今回は「営業部」なので、分かりやすいように「チーム・部署」欄で作成しておきましょう。
「営業部」と名付け、保存します。
管理画面の「チーム・部署」欄に、「営業部」のタグが追加されました。
同じ手順で、今度は「トップパフォーマー」タグを追加します。トップパフォーマーはやや特殊なので、「その他」欄に追加します。後で見ても分かりやすいように、タグを整理して保存しておくことがポイントです。
(解釈しやすいタグ名をつけるのがコツです)
新しい「トップパフォーマー」タグがタグ画面に現れます。これで「営業」タグと「トップパフォーマー」タグが揃い、比較したいグループ分けができるようになりました。
分かりやすいように、タグの色を変えることもできます。タグを右クリックすると、タグを編集できます。
好みの色に変え、分かりやすいように整理します。「営業部」を青、「トップパフォーマー」をオレンジにしました。
3.ハイパフォーマーの社員にタグ付けをする
今回は「トップパフォーマー」の山田一郎さんと、その他の営業部全体を比較したいので、「営業部」タグと「トップパフォーマー」タグを適切な社員に振り分けましょう。
営業メンバーに「営業部」タグを貼り付けます。
営業メンバー全員をクリックしてから、「編集」ボタンをクリックします。
編集画面では、営業メンバーにつける「営業部」タグをつけます。「追加タグ」欄にある「営業部」タグをクリックし、保存します。この場合、5人に同時に同じタグをつけることができます。
営業部タグが表示されているか、確認しましょう。
次に、山田一郎さんに「トップパフォーマー」タグを取り付けます。
管理画面で、山田一郎さんにだけチェックをつけ、「編集」ボタンをクリックします。
タグ編集画面では、追加するタグ欄の「トップパフォーマー」タグをクリックし、その後「保存」します。
管理画面で、山田一郎に「トップパフォーマー」タグが付いているか確認します。
4.分析・マッチ結果画面でマッチ度を分析する
タグ付けが終わったら、いよいよハイパフォーマー分析に入ります。
「社員・応募登録」画面から「分析・マッチ結果」画面に切り替えます。
「分析・マッチ結果」画面で、分析したい比較対象を選びます。
緑の枠に、営業のトップパフォーマー山田一郎さんを選択します。
デフォルト設定では「面接用シート」で結果が表示されます。面接用シートでは、対象となる人物を要約し、比較対象とのマッチ度や、面接をする際に気をつけるべき項目などが記してあります。
山田一郎さんを面一言で表すと「人と接することが好きなタイプで、論理的な考え方を重んじるタイプ」だと言うことがわかります。
次に、比較対象の「営業」メンバー全員を選択します。右上の青い欄で「営業部」を選択します。
営業部のトップパフォーマーである山田一郎さんと、その他の営業職メンバーを比較したマッチング結果が表示されます。
トップパフォーマーの山田一郎さんとその他の営業メンバーとのマッチ度は26%となっており、そこまで高くないことが分かります。
山田一郎さんは営業部の中でも少々変わった性格と価値観を持っていることが分かります。山田一郎さんはトップパフォーマーであることを念頭におくと、納得のいく結果かもしれません。
5.ハイパフォーマーの特徴を読み解く
ハイパフォーマーとそうでない人物の違いを知る事で、ハイパフォーマーに必要な要素を推測できます。
詳細を見るために「詳細データ」画面をクリックし、山田一郎さんと営業メンバー全体を比較した詳細データを見ます。
詳細データが表示されます。緑の線が山田一郎さんで、青の線が営業メンバー全員です。(顕著な違いが見られる項目には赤枠を加えました)
トップパフォーマーの山田一郎さんは、他人と関わることが好きで(外向型)、自分の感情が表に現れやすいタイプ(情熱型)です。
自分の仕事の評価は、他人からの評価ありきだと思っています(他己評価)。営業メンバーの平均が着実志向なのに対し、山田一郎さんはリスクを取ることをいとわない「挑戦志向」です。また、他のメンバーは仕事のやりがいを何よりも重視したいが、山田一郎さんは給料がよければ仕事を割り切って頑張る事ができるタイプだという事が伺えます(給与重視)。
部署内で問題が起こりうるとすれば、ワークライフバランスについての価値観です。営業メンバーはプライベートを共有したいタイプなのに対し、トップパフォーマーの山田一郎さんは、職場とプライベートをはっきり分けたいタイプです(私仕分離)。働きやすさの観点から言えば、山田一郎が「浮いている」存在になってしまう可能性があります。
6.共通する項目を読み解く
共通点についても確認しましょう(青枠で囲ってあります)。
トップパフォーマーの山田一郎さんとその他の営業メンバーが共通して高い数値を出している項目は「論理重視」「競争型」「楽観型」「結果重視」「仕事重視」「給与重視」である事が分かります。このように高いレベルで共有された価値観は、その組織の文化を表します。要約すると、A社の営業部の社風は「ストイックな環境で成果主義」な社風だと言えるでしょう。
これら一連の結果から、以下のことが言えると思います。
- 山田一郎さんの強みは、社交的に相手と関わり、相手からの評価が得られないと納得しない挑戦的な姿勢である。論理的でありながら、豊かな表現力と感情力を持ち合わせている点が特徴的である。
- 山田一郎さんの給料やプライベートに関する価値観の違いから、働きやすさやチームワークのミスマッチが懸念される。この点について、山田一郎さんへの個別ヒアリングが効果的かもしれない。
- 営業職として活躍する可能性が高い人を採用するならば、山田一郎さんとマッチ度が高い人物が望ましい。
- 営業部とのカルチャーフィットを考えるのならば、「論理重視」「競争型」「結果重視」「仕事重視」が注目すべき項目になる。
ハイパフォーマー分析の応用編
ハイパフォーマーの山田一郎さんを分析した例では、ハイパフォーマーの定義が属人的でした。場合によっては、分かりやすいハイパフォーマーがいない組織もあることでしょう。また、たった一人についての人物特性しか特定できないので、この結果を一般化することは少々強引かもしれません。
ハイパフォーマー複数人を抽出してグルーピングして共通する特徴を見ていったり、グループと営業候補者のマッチングを見ていくことで、個別性を排除することが可能になります。
さらに、社員のパフォーマンスにあたる「成果」の部分を定量的に集めている企業様であれば、もっと高度な分析ができます。以下、カンタンな成果指標の例を紹介します。
- 成績 ー 営業成績や契約数。職種によっては、ある程度標準化しやすく客観的な指標となる。
- 外部評価 ー 「360度フィードバック」や「上司からの評価」などが該当します。少し主観的で誤差の多い指標ではありますが、どの職種にも共通して集める事ができるという利点があります。
- 自己評価 ー 「自分はこの業務に向いていると思う」「今の部署を辞めたい」など。離職を間接的に予測しそうな項目は、Google Formなどの無料アンケートツールを使って入手することができます。(但しこのような質問は、本音を聞き出しづらいという難点があります)
- ストレス ー ストレスという生理的な反応を、仕事の向き不向きや、業務満足度と捉える事も良いでしょう。ストレスが低ければ低いほど、不満がないと解釈できます。
評価制度を見直す際に、自社に適した社員のパフォーマンスをできるだけ客観的に、かつ定量的に測る方法を模索しても良いでしょう。
自社の「成果」にあたる指標を各社員から入手できる状態になったら、準備完了です。
- CSVデータをダウンロードする
- 自社で用意した「成果」にあたる指標をミツカリデータにつなげる
- 推測統計でパフォーマンスを予測する
1.CSVデータをダウンロードする
管理画面の右上にある「設定」ボタンをクリックします。
設定画面の「ダウンロード」ボタンをクリックすれば、CSV形式のデータをダウンロードできます。
2.自社で用意した「成果」にあたる指標をミツカリデータにつなげる
CSVファイルをダウンロードしたら、自社で用意したパフォーマンスの「成果」の数値を、各社員にそれぞれ割り当てます。
注意点は、各社員にそれぞれ対応するデータをミスなく入力することです。そうすることで、ミツカリのデータを使って自社のパフォーマンスを予測するためのデータセットが出来上がります。
3.推測統計でパフォーマンスを予測する
このデータを使ってできる統計テクニックは色々あると思いますが、重回帰分析が一般的で取り組みやすいかと思います。
ミツカリの14項目を予測変数とし、自社の定義したパフォーマンスを従属変数とします。
重回帰分析をすることで「自社でより高いパフォーマンスを予測する人物特性は、どれなのか?」ということが分かります。
この方法であれば、ハイパフォーマー1人に突出している要素だけでなく、一般的でより全体的な傾向を探ることができます。この方法でパフォーマンスを予測する項目を特定し、その項目を備えている人物を積極的に採用する施策ができます。
性格・価値観からハイパフォーマーを明確化しよう!
ハイパフォーマーを明確化し、ハイパフォーマーならではの要素を特定できれば、人材採用や教育研修などの業務に落とし込むことができます。そのためには、各社で異なるハイパフォーマーの自社ならではの特徴を明確化する必要があります。
自社のハイパフォーマーを分析することで、好成績をあげる人に共通する人物特性を特定したり、既存のチームに適切な人材が集まっているかどうかを判断する手助けになります。
性格や価値観などは、仕事の進め方や社内のコミュニケーションにも大きく影響する要素です。性格や価値観は、育成が容易なスキルとは異なり、生涯を通じて変化しづらいため、採用選考の段階で見極めることが有効です。
本記事では、ミツカリを使ったハイパフォーマー分析の仕方について紹介しました。社内分析の一例であるトップパフォーマー分析ですが、実は明確な人材要件定義に役立ちます。
応用編としては、自社オリジナルのパフォーマンスにあたる指標を取得して、ミツカリのデータと結合させて重回帰分析で予測する方法があります。この方法で得られた分析結果は、職務スキルのまだない新卒採用でより高い効果を発揮します。