チームビルディングは「ゲーム」でも出来る
Googleをはじめとする世界のリーディングカンパニーが、チームの生産性をいかにして高めるかということに本気で取り組んでいます。チームの成長が企業の競争力をあげることへと直結すると考えられているからです。チームを成長させるために実施するのが、チームビルディングです。
チームビルディングの方法としては、対話・アクティビティ・スポーツなどがあげられます。「ゲーム」もチームビルディングの効果的な方法の1つです。気軽に実施できるカードゲームのような一般的なものから、専門のカードやキットを用いてビジネスに近い題材を扱うビジネスゲームと呼ばれる種類のものまで幅広く実施されています。
本記事では、チームビルディングをゲームで行うメリットやデメリットについて説明していきます。
チームビルディングをゲームで行う目的とは
チームビルディングを対話やアクティビティ、スポーツではなく、ゲームで行う目的としては「体験を共有する」「メンバーのパーソナリティを知る」「自然とコミュニケーションが発生する」の3点が挙げられます。
1.体験を共有する
自社の従業員に対して研修を実施するとなれば、会議室に集まって講義形式で行う場合が多いでしょう。チームビルディングにおいては、誰かに教えられたことを知識としてインプットするよりも、メンバーと同じ体験を共有することが重要です。
勝敗などの分かりやすい共通のゴールに向かって悩んだり失敗したり協力したりするなど、ビジネスの現場でも求められるチームとしての行動を疑似体験することができるのです。
2.メンバーのパーソナリティを知る
体験的な内容にすることで、チームメンバー同士が感覚的にお互いのパーソナリティを知ることができます。
「この人は意外と負けず嫌いだな」「仲間を気遣う優しい人だ」など、自己紹介だけでは分からないメンバーの価値観や性質に触れることができるのです。
3.自然とコミュニケーションが発生する
チームビルディングとしてゲームを実施する場合は、メンバー同士の協力が必要になるものを選びましょう。
チームは、ゲームに勝つために、協力関係になるメンバー同士で自然と会話を始めます。そうして、ゲームが進むにつれて徐々にコミュニケーションが円滑になっていきます。
ゲームでチームビルディングを行うメリットについて
参加者側(チームメンバー側)のメリットについて
- 競争や勝敗の有無がはっきりしていて、気づかないうちに夢中になれる
- 短時間でも本気で頭を使うことで、参加者のパーソナリティが表れやすい
運営側(人事担当者・チームリーダー側)のメリットについて
- 研修に取り入れられるゲームはルールがあらかじめ決まっているため、想定外のハプニングなどが起こりにくい
- 運営側が研修に慣れていなくても、短時間で準備がしやすく取り入れやすい
ゲームでチームビルディングを行うデメリットについて
参加者側(チームメンバー側)のデメリットについて
- やらされている感覚があるとゲーム自体を楽しめず、チームビルディングの効果も薄い
- 独善的な行動をとる参加者や、乗り気になれない参加者がいると、「わがままな人」「空気を乱す人」として、他の参加者からの評価が下がってしまう
運営側(人事担当者・チームリーダー側)のデメリットについて
- ゲームを実施する目的やメリットが分からない人からの理解が得られない場合がある
デメリットに対し、どのような対策が考えられるのでしょうか。
デメリットを生まないためのポイントとは
ゲームの目的がチームビルディングにあることを伝えましょう。第3者から「ただ遊んでいるだけ」に映らないように、実施の目的やゲームを活用することで得られるメリットを説明できるようにしておいてください。
本気で取り組みたくなる面白いゲーム、また参加者が気に入るようなゲームを選択してください。対象となるチームの年齢や性質など、事前にわかることがあれば参考にすると良いでしょう。
参加者がリラックスして楽しめる空気を作るよう心がけてください。例えば、新人が多い場合であれば「ゲーム中の発言や勝敗の結果は人事評価とは関係ありません」などの声かけがあると安心されます。「ゲーム中は思いっきり楽しんで!」というメッセージも、参加者のスイッチを切り替えるのに効果的です。優勝チームには楽しいご褒美を用意することで、取り組みへのモチベーションを高めても良いでしょう。
活用できるゲームの具体例とは
チームビルディングをゲームで実施する際には、具体的にどのようなゲームで実施すればよいのでしょうか?ゲームの一例を紹介致します。
マシュマロチャレンジ
スパゲティの乾麺、マスキングテープ、ひも、はさみ、マシュマロ等を使って18分間でより高いタワーを作るゲームです。
マシュマロ・チャレンジの効果については、TEDでトム・ウージェック氏がプレゼンテーションを行なって入ることでも知られており、チームビルディングでは有名なゲームです。世界記録と言われている「99cm」という共通目標に対してチームで協力して挑むことで、「役割分担」や「コミュニケーション」の重要性を体験を通して学ぶことができます。
公式ルールも用意されており、コスト面、準備期間などを考えても実施しやすいゲームです。
人狼(カードゲーム)
「市民チーム」と「人狼チーム」の2つに分かれて行うカードゲームです。
「市民チーム」の目的は、市民のなかに紛れ込んでいる人狼を見つけ出すこと。反対に「人狼チーム」の目的は、見つかることなく、夜のあいだに市民を攻撃して食べてしまうことです。人狼は心理戦であり、チームの勝利という目的に向けて、それぞれが思い思いに会話を展開するなかで深い洞察力を求められます。
一人ひとりのパーソナリティがはっきりと出て、短時間で濃いコミュニケーションを図ることができます。
部課長ゲーム
チームで協力して問題解決することを目的としたコミュニケーションゲームです。
5人もしくは7人で1チームを作り、部長役1名、課長役2名、残りが平社員役となります。「口頭でのコミュニケーションは禁止。メモ用紙を渡すことのみでコミュニケーションができる」「部長は2名の課長にのみメモとカードが渡せる」などの制約があります。
実際の仕事での状況に置き換えやすく、「報・連・相」の必要性や、チームワークの大切さを体感することができます。
ゲームの中で、チームメンバーが一緒に悩み、楽しむ体験を
ゲームを使ったチームビルディングは気軽に取り組みやすく、メンバーも気兼ねなく参加できるというメリットがあります。比較的気軽に実施できるゲームのメリットを活かして、PDCAを回しながら継続して実行していくという姿勢も重要です。
たくさんのチームが集まる場で実施する場合や、チームの構成員を入れ替えてゲームを行えば、チーム内だけでなく、縦割りになっているチーム間・組織間のコニュニケーションの活性化も期待できるでしょう。短時間でパーソナルな部分が見えやすいため、採用選考などで実施される場合もあります。
ゲームによって、メンバーのパーソナルな一面が見えるため、思いがけず親近感が湧いたり、価値観や性質を理解することができます。研修が終わってからもそれぞれの人間関係や仕事の姿勢に大いに影響するでしょう。
チームで一緒に悩んだり、楽しんだり、熱狂する体験が、チームの絆を育み、より健全な協力関係を形成することを助けます。