ティーチングとは?実施する目的や内容、コーチングとの違いについて

企業内研修の実施状況〜ティーチングとコーチング〜

一般財団法人 日本生涯学習総合研究所の調査によると、入社時の新入社員教育を行っている企業は全体の97.5%、入社1、2年及び中途採用を除く新入社員フォロー教育を行っている企業は72.4%に上ります。このことから、非常に多くの企業が新人の育成に力を入れていることがわかります。

現在実施している社員階層別教育
出典元『一般財団法人 日本生涯学習総合研究所』「企業における人材育成」に関する実態調査 概報

教育方法の種類は様々ありますが、新人教育においては、後述するティーチングが一般的と言えるでしょう。「知識や情報を有していない新人に対しそれらを与えていく、教えていく」という点で、ティーチングの目的と一致するからです。

本記事では、ティーチングと混同されやすい、コーチングにも触れながら、それぞれの違いを明確にしていきます。コーチングとティーチングは共通点も多いですが、そもそも実施目的が異なるため、それぞれの違いを理解した上で、企業内教育・研修に活かす必要があります。

ティーチングの意味・定義とは?

ティーチングは英語の「teach」ですので、学校教育をイメージされる方も多いでしょう。ティーチングの定義は、その語源である「指し示す」の通り、ティーチングは、「知識や経験のない人或いは少ない人に、自身の知識、指示、アドバイスを与えていくこと」とされています。

定義からも、新人教育にティーチングのスタイルが取り入れられるのは当然であるとお分り頂けると思います。

ティーチングとコーチングとの違い・実施の目的について

混同されやすいティーチングとコーチングの違いを見ていきましょう。

ティーチングとコーチングの最大の違いは、コミュニケーションのスタイルです。ティーチングにおけるコミュニケーションスタイルは、教える人から、教えられる人へ向けての「一方通行」となります。コーチングにおいては、コーチとコーチングを受ける人とのコミュニケーションは「双方向」となります。

コーチングが「コーチングを受ける部下や後輩が答えを持っている」という前提に立って行われるのに対し、ティーチングは「ティーチングを行う側が答えを持っている」という前提に立っているためです。

コーチングは相手の「考える力や自発的な行動を促すこと」を目的として行われますが、ティーチングは「知識、技術や経験を伝えていくこと」を目的としている点で、大きく異なるのです。

ティーチングを実施することで得られるメリットとは

ティーチングのメリットは、一度に複数人に対して実施できること、研修内容を統一できるところに最大のメリットがあります。

新人研修に代表されるように、社会人としてのビジネスマナー、会社の理念やビジョンの浸透など、複数人を一定のレベルに上げることを目的とする研修に最適です。

研修内容は同じであるため、教える側のスキルやレベルに影響を受けることなく学ぶことができ、スタッフの習熟度合いをチェックしやすいこともメリットと言えるでしょう。

ティーチングを実施するデメリットや注意点について

ティーチングのデメリットとして気をつけたいポイントが、ティーチングを受ける側が受動的になりやすい点です。

コミュニケーションが一方通行であり、教えられたことを覚えたり・行うことが評価されるため、ティーチングを受ける人は、指示待ちの姿勢になりがちです。答えを有している或いは答えを与えてくれる先生や上司に対し、依存する傾向にある点も留意する必要があるでしょう。

ティーチングの目的やスタイルから考えると、ある意味当然ではあるものの、「教えてもらうこと」が常態化すると自己解決力が育まれなくなってしまいます。

企業研修の最終的な目的は、会社に貢献する人材の育成であるため、ティーチング型の研修のみに偏らないよう、コーチングを組み合わせながら実施するとより良い効果が期待できるでしょう。

ティーチングとコーチングは似て非なる教育研修

ティーチングとコーチングは、目的自体が異なるものであり、それぞれの違いを理解した上で、場面に応じて使い分けることが、より研修の効果を高めることに繋がります。

企業内研修のプログラムを練る人事担当者、経営者はもちろんのこと、実際に現場で指導にあたる先輩社員や上司にも理解を促すよう努めることもまた、重要であると言えるでしょう。

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