行動面接の目的とは「入社後のパフォーマンス」を予測すること
行動面接とは、過去の行動について質問をすることで、応募者の性格や価値観を深く掘り下げていく面接手法です。例えば「どういう状況でどのような課題意識を持つ思考パターンなのか」「どういう理由でどういう行動をとるタイプか」などを、ファクトに基づいて把握できます。
行動面接を導入する目的とは、応募者の価値観を見極めることで、入社後にどのようなパフォーマンスを発揮するかについて「将来の予測の精度」を上げることなのです。
行動面接を導入する3つのメリットとは
採用面接において行動面接を導入するメリットは、大きく3つ挙げられます。
- 応募者の実像に近しい回答を得られやすい
- 応募者自身が本音で話しやすくなる
- 行動面接を通じて応募者自身の自己理解が進み、企業も応募者を評価しやすくなる
こうしたメリットを得られ、結果として採用ミスマッチ防止にも役立つことが、行動面接を導入する最大のメリットと言えるでしょう。
Googleが採用した面接手法としても注目を集めている「行動面接」ですが、一方でデメリットやリスクも指摘されています。
行動面接の具体的な手法とは
行動面接は、応募者の価値観や性格、思考パターンを見極めるのに役立ちます。行動面接において、過去の行動を掘り下げる方法としては「STAR面接」が有名です。
STARとは4つの単語の頭文字をとったものです。
S(Situation):過去の状況について
T(Task):その時の課題は何か
A(Action):どういう行動を取ったか
R(Result):その結果は
これら4つの観点であるSTARの順番に、過去の行動について質問していきます。
行動面接の手法についての実例紹介
STAR面接に則って質問を掘り下げていくと、どのような面接シーンになるのか紹介しましょう。困難を乗り越えて成果を出せた過去の経験について掘り下げる質問です。
1.Situationについての質問/回答例
面:「そのときのチーム体制、あなたの役割を教えてください」
応:「チームは4人で私はリーダーを務めていました」
面:「あなたにはどのような裁量がありましたか?」
応:「予算の管理は私の上司が行っていましたが、対策の立案と実行、メンバーのマネジメントはほぼ一任されていました」
面:「メンバーは全員協力的でしたか?」
応:「ひとりだけ批判的なメンバーがいましたが、根気強く話し合って、私の考えを理解してもらうことができました。」
今回の質問例では「トラブルに際しても、チームの統制を取れるリーダーかどうかを見極める」ことが質問の意図となっています。
2.Taskについての質問/回答例
面:「どのようなトラブルだったのか、またトラブルに気づいたきっかけを教えてください。」
応:「リリースした直後のシステムに一部障害が起きたんです。顧客からの指摘で発覚しました。」
面:「トラブルが起きた要因は何でしたか?」
応:「リリース前の不完全なチェックが要因でした。」
面:「トラブルはいつまでに解消する必要がありましたか?」
応:「すぐにでも解決しなければならない、緊急の事態でした。」
今回の質問例では「どのようなトラブルに冷静に対応できるか、ストレス耐性を見極める」ことが質問の意図となっています。
3.Actionについての質問/回答例
面:「トラブルを解決するために、まず何をしましたか?」
応:「緊急に対応するため人員の確保を優先しました」
面:「誰かに助けを求めましたか?」
応:「同じ部署の他チームのリーダーにリソースを貸してもらえるよう頼みました」
面:「今まであまり業務で関わったことがない人もいましたか?」
応:「はい。火急の事態であることを伝えて、また上司からも事情を話してもらい、とにかく必要人員を早急に手配しました。今まで関わったことがないメンバーには、まず私から個別に背景を説明して動きやすくなるよう配慮しました」
今回の質問例では「人間関係の構築力について見極める」ことが質問の意図となっています。
4.Resultについての質問/回答例
面:「あなたが立案したトラブル対応計画は、上手く行きましたか?」
応:「はい、顧客からのクレームが拡大することなく、システム障害を復旧することができました」
面:「いま振り返ってみて、別のもっと良い方法はありますか?」
応:「クレームは拡大しなかったのですが、想定以上に復旧に時間がかかりました。リソースの確保だけではなく、障害復旧のために必要なタスクの洗い出しについても、もっとリソースを確保しておけばよかったと反省しています。」
今回の質問例では「自ら内省し、トラブルを成長の糧にできる人物かどうかを見極める」ことが質問の意図となっています。
STAR面接は応募者の内面を掘り下げるのに有用ですが、質問の意図が明確でなければ、自社の採用要件に合う人物かどうかを見極めることはできません。
行動面接の手法を考える前に、やっておくべきこと
行動面接における手法や質問項目を具体的に考える前に、事前準備として最も必要なことがあります。「応募者のどんな価値観を見極めたいのか」を明確にしておくことです。
採用において重視する評価項目、欲しい人材像を明確に描きましょう。そのうえで、予めどのような質問を用意しておくべきかを”逆算”して考えることが重要です。
適性検査の併用で「行動面接の効率化」を
行動面接における精度と効率を上げるために、適性検査は非常に役立ちます。一次面接の前に適性検査を実施すれば、応募者の性格や価値観をある程度把握できます。適性検査を実施せず一般的な質問から掘り下げていく場合と比較すると、適性検査を実施した方が明らかに採用面接の効率は高いはずです。
ミツカリでは、組織と応募者の「ミスマッチ」を見極めるために、ミスマッチが発生しそうな状況に絞って質問や解答例を提示しています。行動面接を適性検査で把握できたことの再確認を行う場と定義し、適した質問を事前に準備することができれば、応募者の価値観の見極めを効率的かつ合理的に行うことが可能です。
採用面接において適性検査を併用することは、いま肥大する人事業務の効率化には不可欠なのではないでしょうか。