RJP事例に学ぶ〜RJP理論を取り入れた採用成功事例とは〜

入社後のミスマッチを防ぐRJP理論とは

大卒者の3年以内の離職率は、長らく30%前後で推移しており、3人に1人が離職している状況と言われています。この問題に対し、多くの人事担当者・経営者が悩みを抱えていながらも、具体的な解決案を見出せていない状況です。

離職の背景や原因を見ていくと、初職の離職理由の1位に「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」という理由が挙げられています。2位の「人間関係が良くなかった」3位の「仕事が自分に合わない」などは実際に働いてみて気がつく部分も多い要因ですが、1位の「労働条件・休日・休暇の条件がよくなかった」は本来労働契約書などの文章で明記されているはずであり、言葉で伝えられないことはないはずです。

労働条件に対するミスマッチが起きている現状は、離職者の約30%、全従業員から見ると約10%(離職率30%×離職理由30%)に影響している問題とも言え、非常に深刻な問題です。

男女計初職離職理由
出典元『独立行政法人 労働政策研究研修機構』第6章 早期離職とその後の就業状況

労働条件に対するミスマッチは、入社前に正しく伝えることにより、回避できるミスマッチであると考えられます。しかし労働条件に関するミスマッチが多く発生している原因として、企業が「(魅力的でない労働条件を伝えると)母集団形成に不利になる」と考え、ネガティブな情報を伝えずに採用活動を行っていることが考えられます。

アメリカでは40年以上からRJP理論という「ポジティブな情報だけでなくネガティブな情報も伝えることで、リアルを説明する」採用手法の研究・実証が進んでいます。RJP理論の実証が進み、徐々に日本企業の採用活動にも取り入れられるようになってきました。

今回は具体的に、RJP理論を取り入れた採用活動の事例について説明します。

日本企業でのRJP理論導入事例とは

具体的に日本企業がどのようにRJP理論を採用手法に取り入れ、どのような効果や結果が出ているのか。各社の事例をご紹介します。

エン・ジャパン株式会社の事例

エン・ジャパン株式会社は人材採用などを手がける会社です。事業への落とし込みではなく、エン・ジャパンで働く人材の採用にRJP理論を取り入れた事例になります。

入社前職場体験の実施

最大2日間の職場体験プログラムを実施し、会社のこと、仕事のこと、社員のことを知ってもらうことをが目的となっています。現場のメンバーには徹底して「リアルなことを伝える」ように指示しています。

インターンシップなどとも近い概念ではありますが「入社の促進」ではなく「きちんとリアルに伝えること」が目的となっています。現場社員も「不満だと思っていることは不満だと言っても良い」からリアルを伝えることを徹底しています。

実際にリアルを知ることで「現場は大変であるが志望度は変わらない」「体験前は配属意向が異なっていたが、体験後に配属意向が変わった」「社風が合わないために入社を辞退」などが起こりました。入社前であっても一人ひとりの対応を真摯に行うことで、活躍社員の採用や入社後のミスマッチを事前に防いでいます。

中途採用における入社1年以内の離職率37%が、当該プログラム体験後に入社した人材の離職率が0%まで低下しています。

株式会社アプレッソの事例

株式会社アプレッソは、ソフトウェアパッケージ事業を手がけるIT企業です。

コーディング面接の実施

求人広告サイトなどはあまり利用せずに、SNSや自社ブログなどで事前に自社のことを知っている人の中から採用する形をとっています。

業務では「ペア・プログラミング」(上司と部下が画面を一緒に見ながら共同で開発する)を採用しており、面接でも本人の得意分野を聞いた上で、一緒にソフトウェアのコードを書くコーディング面接を実施しています。お互いの技術レベルが容易に相手に伝わり、「歯ごたえのある職場か」「優秀なプログラマがいる職場か」を求職者も見極められる方法となっています。

またSNSも自然体・等身大の姿で会社について語り、会社の弱みを見せられることが逆に強みになると考えています。ネットのリテラシーがある前提とはなりますが、そのように自社のファンを増やし、興味を持ってくれた人を採用するミスマッチを生みにくい採用戦略をとっています。

株式会社ノバレーゼの事例

株式会社ノバレーゼはブライダルやレストラン事業を手がける会社です。人に喜んでもらうサービス業であるため、「ギブ&ギブ&ギブ」と、なにかに熱中したことがあったり、ビジネスパートナーと連携できるプロデュース能力、両親ほどの年の離れた顧客とやりとりができるコミュニケーション能力などを人材要件に掲げています。

面談用パスポートを支給し、最大10回もの面談が可能

採用選考では、人材をふるい落とす「選抜」ではなく、「採用したいと思う人材の志望意欲を醸成させる」ことを目的としています。学生時代に熱中したことなどから「自分らしい生き方」を自社で実現できるという思いを醸成させていきます。採用担当者や役員だけでなく、現場のスタッフやマネージャーとの面談も行うことで、会社の様々な場面を見てもらうことを重視しています。

また面談する相手(あるマネージャーなど)によって、どこまで志望度をあげてもらいたいか、ストーリーやシナリオを用意している場合もあります。

株式会社ヴィレッジバンガードコーポレーション

遊べる本屋をキーワードとして、書籍や雑貨、メディア商品を販売する小売業を営む会社です。「何をしても良い」と店長に大幅な権限を与えることで、店長自身が店を大きくしていくことをモチベーションとなると考えている企業です。

正社員登用前の4年間はアルバイトとして働く

正社員は、最初は必ずアルバイトとして採用されます。アルバイトであっても仕入れや陳列などを任されています。人材採用は「店舗に飾るアルバイト募集POP」のみだが、多くの自社のファンである人材から応募があるため、人手不足感はありません。

アルバイトの時給は「地域の最低水準賃金」となり「交通費」も支給されません。アルバイトであっても転勤はあり、社員に登用されるまでは平均4年程度です。「どうしても自社で働きたい」人材の見極めが背景にありますが、アルバイトにも辞める権利はあるため、お互いが納得して働けるかを4年間かけて面接しているような効果があります。

【出典】ベンチャー企業の人材確保に関する調査・独立行政法人中小企業基盤整備機構

どの企業でも、RJP理論の本質である、「リアリティを伝えていくこと」に重きをおいた採用活動を行っており、その方法や仕組みは様々であることがわかります。

企業各々で置かれている状況や、抱えている課題は異なり「リアリティを伝えていく方法」は、自社用にカスタマイズする必要があります。カスタマイズするにあたっては、離職者の退職理由が何なのか、最も多い退職理由は何なのかを突き止め、その理由=ネガティブな情報をどういう形で応募者に伝えるかが重要となります。

求職者に選ばれる企業になるためには

ポジティブな情報だけでなく、ネガティブな情報も伝えることで、入社後のミスマッチを防ぐRJP理論は日本企業でも徐々に導入され、実証結果も増えています。

売り手市場が加速して人材不足が懸念される中、「企業が求職者を選ぶ」視点だけでなく「求職者に自社を選んでもらう」視点はより重要になってきます。そのためには、ポジティブな情報だけでなくネガティブな情報、現場の情報などを積極的に伝えることで、「この会社で働いたらどうなるのか」を求職者にイメージしてもらうことが大切です。

刻々と変化する現場のことを最もよく理解しているのは、当然現場の人間です。リアリティを伝えていくための、現場との共同作業、採用手法への理解を得られるよう、採用担当者は現場側との良好な関係構築が肝となることでしょう。

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