ピーターの法則の対策とは?会社組織の無能化を回避するために

どの組織も他人事ではない「ピーターの法則」とは

ピーターの法則とは、米国の教育学者であるローレンス・J・ピーター氏が著書の中で提唱した法則で、「企業など組織に属する人材はその全員が自己の能力を発揮・進展させ続けなければ、組織がいずれ「無能化」し機能しなくなる」という階層社会学の法則です。能力主義社会の現況が表されたものとして、ビジネスの分野でその名前がよく用いられています。

「ピーターの法則」の概要は以下の通りです。

  • 有能な人も、昇進し続けるといつしか能力の限界に達して「無能」になる
  • 無能な人は今のポストに留まり、有能な人はどんどん出世するが「無能」となった時点で昇進が止まり「無能な管理職」となる。結果、どの階層も無能な人たちで埋め尽くされてしまう。
  • 組織は「まだ無能レベルに達していない人」が仕事をすることで機能している。

注目すべきは、昇進・昇格をしても、そのポジションがその人にとっての限界点である場合、どれほど優秀だった人材も「無能化してそのポジションに留まる」という事象が発生します。つまり無能な管理職層が構築されてしまうということです。

企業組織としては、ピーターの法則に陥らないように対策を行うことが大切です。今回はピーターの法則への対策について、重点的に掘り下げて説明致します。

ピーターの法則への対策とは?

ローレンス・J・ピーター氏の著書によれば、無能にならないための対策が4つあるとされています。「個人でできる対策」と「企業組織でできる対策」にわけてご説明します。

個人でできる対策

ピーターの予防薬:無能レベルへの昇進を未然に防ぐ方法
(引用:ピーターの法則)

「マイナス思考を持つこと」は一つの手です。

「仮に、自分が出世したらどうするか?どうなるか?」などと自問自答し、デメリットを考えることで現在の立場で満足だと考えるようにします。たとえば「今の上司だから生産性を上げることができる」「昇進してある地位に就けば無理が生じる」などです。

「創造的無能の活用」も有効でしょう。「創造的無能」とは、出世の打診が会社から来ないように、業務以外に自分の欠点を分かりやすくアピ―ルしたりして「出世するのは難しいのでは?」と同僚やマネージャーが考えるように仕向けることです。昇進の打診が来なくなれば、現在の有能性を発揮できる、という点に着目したものです。

ピーターの気休め薬:終点到達症候群を抑える方法
(引用:ピーターの法則)

無能レベルに達したために、自身も周りの同僚に対しても好ましくない状態に陥ったときにその症状を抑え、悪化を防ぐための方法が気休め薬です。

無能レベルで実績が上がらなくなった場合、昇進だけに注力するのをいったん止めて「その立場における働く意義などを考えるようにする」「実績が上がらないことを考えるのではなく、自分の今いる役割や立場で考えることができる「働くことの意味」についての尊さを語る」ことをよしとしています。

ピーターの処方薬:世界に蔓延する病を治療する方法
(引用:ピーターの法則)

大きな効果を出すとされるピーターの処方薬は、3つの予防薬・痛み止め・気休め薬(痛み止めについては「企業組織でできる対策」で説明します。)という方法を実施する中で、無能に到達するのを防ぐことができるとされておりどういった人でも、それぞれの生活の質を上げることができると述べられています。『昇進して地位を得ることがしあわせであるとは限らない』ということです。

最終的に『生活の質を向上させる』ことが幸せにつながるのであれば、その人本来の能力を十分に発揮でき、やりがいを感じる仕事ができてこそ生活が充実し、生き生きとした毎日が送れるということでしょう。

企業組織でできる対策

ピーターの痛み止め:無能レベルに達しても健康と幸福を維持する方法
(引用:ピーターの法則)

年功序列による昇進制度を見直し、現場の社員をある程度一律に出世させるなどを止めることをオススメします。

代替案としては、配置転換を実施して馴れ合いの環境を作らないようにします。環境が変わることで個人の仕事のレベルや習熟度が向上し、自分の可能性を発見するきっかけになることもあるからです。この場合、無能レベルから抜け出せる可能性も生まれます。

むやみに昇格させない。また、降格させることも視野に入れる

昇進した後「無能」となった場合には、一度降格させるのも一つの手です。

降格することで周りの目が気になることもあるでしょうが「無能である位置」は自分の能力を発揮できないポジションであり、その苦痛が続くことと周囲の人はその影響を受け続けるというリスクを考えれば、降格することの方がリスクを抑えられるといえます。当然のことながら、一方的に降格させるのではなく、該当従業員と話し合いの上で決定することが望ましいです。

一つの成果を上げた時点で昇進とせず、次の段階の仕事に必要な能力が身につくまで、またはその方法を見つけて成果につながると確信できるまで昇進させないのも有効です。その際は「現場で成果を上げているのに評価してくれない」といった不満を生まないためにも、「具体的にどのような能力がどの程度必要なのか」を明確にして、全従業員に周知しておくことが必要です。

ピーターの法則を知ることで最良の対策ができる

終身雇用制度の影響から続く、日本の職能主義での人事考課はピーターの法則に陥りやすいため、事前の対策が非常に重要になります。

社員に対しては、個人でできる対策を説明・理解を促進し、必ずしもプレイヤーからマネージャーになることが最良の選択ではないことに納得感を持たせたることがまずは必要です。さらには役職に関係なく、成果に見合った報酬を提示するなど、分かりやすい方針で組織の不公平感を解消していくことも行いましょう。

実行は難しいケースも多々ありますが、LINE株式会社の前身であるハンゲーム・ジャパンなどでは、給料や肩書を一度白紙にし、再査定することで人材の適材適所を実現して「ピーターの法則」を回避した、などという好例もあります。

まずはピーターの法則の内容をしっかりと押さえた上で、組織全体の見直しをするところから始めてみてはいかがでしょうか。

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