非構造化面接では応募者の想定外の一面を引き出せる
あらかじめ用意した質問をすることで応募者を客観的に評価する「構造化面接」は有名ですが、非構造化面接はその逆。その場の会話に沿って自由に質問・回答をしていく自由度の高い面接手法です。
非構造化面接では応募者の反応に応じて質問を投げかけるため、応募者も自由に自分らしさを表現することができ、応募者の自由な発想力など想定外の一面を引き出すことが可能になるといるメリットがあります。
非構造化面接も、元々は臨床心理学の分野で使われていた
具体的な質問項目を用意せず、自由に会話をする非構造化面接ですが、元々は構造化面接や半構造化面接と同様に臨床心理学の分野で使われていたものです。
非構造化面接では応募者の反応に応じて質問を投げかけ、会話を方向づけていきます。このため、多面的かつ多層的な情報を得られるのです。
ただし、面接官の力量によって得られる情報には偏りが生じます。情報が深化しない場合もあるでしょう。一般的な面接手法であるとはいえませんが、場合によっては有効な手立てとなりますので人事の方が覚えておいて損はないでしょう。
非構造化面接の定義と目的とは
非構造化面接とは「あらかじめ用意しておいた質問を投げかけるのではなく、応募者の反応に応じて、面接官が自由に質問を投げかけ、自由回答形式で面接を実施すること」です。
非構造化面接の目的は、構造化面接で得られた一定の項目以外の情報を得るためなど、限定的に捉えた方が良いでしょう。
非構造化面接の進め方とは
非構造化面接では、質問の項目や順序、マニュアルなどは一切存在しません。
面接官は応募者の反応に応じて、会話(話題)の方向づけを行いながら、会話を掘り下げられるよう質問を自由に投げかけていきます。
非構造化面接のメリットとは
非構造化面接では、コミュニケーションに集中して対話を深めることができるため、応募者の人柄や価値観など、根底にある人間的な特性を掘り下げて把握できます。
「口説きたい」応募者に対しては、入社の動機付けを行ったり好感度アップも図れるというメリットがあります。
非構造化面接のデメリットとは
非構造化面接の最大のデメリットは、面接官の力量によって面接で得られる情報に偏りが出たり、対話が深まらない可能性があるという点です。
面接官は想定質問や誘導質問に陥り、自分の聞きたいことに終始してしまうというリスクがあります。
想定質問とは「志望動機を教えてください」など応募者が事前に準備できる質問のことです。誘導質問とは「2拠点の掛け持ちは可能ですか」など会社側がそうしてほしいと期待していることが相手に伝わって応募者が会社の意に沿うよう回答をしてしまう質問を指します。
自由に質問していいとなると面接官は、自分が聞きたいことや一般的な質問、確認ばかりに時間を費やしてしまい、応募者の隠れた才能を発掘するのとは程遠い面接となってしまうことも多いのです。
面接の評価においても、面接官と応募者との相性や、ハロー効果に左右される可能性が高いことも特徴です。ハロー効果とは、第一印象の笑顔が素敵であるとか、受賞経歴があるなど目立った特徴に引きずられて、応募者の評価にバイアスがかかることを指します。
非構造化面接導入を検討した方が良いケースとは
非構造化面接は難易度が高いため、一般的にはおすすめしづらい面接手法です。
採用要件がまだ曖昧で仮説形成の段階においては、応募者の多面的・多層的な情報を収集できる非構造化面接は役立つ可能性があります。
非構造化面接を実施する際の注意点について
非構造化面接を行うためには、非常に高度なコミュニケーションスキルが必要となります。実施する場合は、前述のデメリットを肝に銘じておくことが重要です。
複数人で面接を担当する場合には不向きです。複数人で非構造化面接を実施するのは、息がぴったり合っている人事責任者と社長が2人で行う場合など、稀なケースであると留意しておくべきでしょう。
非構造化面接は”腕に覚えのある”面接官が使ってこそ有用
非構造化面接は、質問をあらかじめ用意する手間もなく、自由なコミュニケーションを行える代わりに、面接官には非常に高度なスキルが要求されます。
自分の聞きたいことだけを聞く誘導尋問的な面接や、応募者の話したいことばかりを聞く浅い面接になってしまうリスクを孕んでいるため、一般的にはおすすめしづらい面接手法だといえます。
一方で、構造化面接が万能であるかといえば、断定はできません。構造化面接ではうかがい知れなかった応募者の新たな一面を引き出したい場合には、自由な対話を前提とした非構造化面接で得られる情報が非常に有益になるでしょう。
面接の目的が見極めから動機付けへと比重が傾いている場合にも、自由回答形式の非構造化面接のほうが入社を促しやすいでしょう。
非構造化面接は、人事担当者が一人でかつスキルも高い場合や、”腕に覚えのある”面接官がここぞという場面で用いれば、有用な手法です。構造化面接や半構造化面接など、手法ごとのメリットやデメリットを知っておいて、上手く使い分けできることが最善といえるのではないでしょうか。