マインドセットを見抜く面接官が【採用のミスマッチ】を防ぐ
採用面接で面接官は短時間で効率よく質問をして、採用するかどうかの判断材料を収集しなければなりません。どんな質問を投げかけるかは面接官の手腕が問われるところですが、【採用のミスマッチ】を防ぐためには、面接官がいかに応募者のマインドセットを見抜けるかが鍵となります。
マインドセットとは『経験や教育、その時代の空気、生まれ持った性質などから形成されるものの見方や考え方を指す』言葉です。
面接官が初対面の相手の人柄や性格、価値観といったマインドセットを見抜くためには、まずは面接官自身が「何のためにその質問をするのか」という目的意識を明確に持ち、意図をもって質問を投げかけることが鍵となります。
面接官は労働力人口減少と定着率向上を意識して質問を
そもそも、なぜ【採用のミスマッチ】をこれほどまでに意識しなければならないのでしょうか。背景には、日本の労働力人口減少があります。
『平成28年版厚生労働白書』によると、約1億2,000万人を維持してきた日本の人口は平成の終わりとともに減少の一途を辿り、2060年には8,600万人にまで落ち込みます。高齢化はますます進み、労働力人口は総人口に対して約50%になると予測されており、人手不足や超売り手市場のトレンドはこの先長期に渡って人事が直面し続ける命題となるでしょう。
出典元:『厚生労働省』平成28年版厚生労働白書 資料編 厚生労働全般
面接官として、企業文化や募集職種への適性を正しく見極め、企業と個人とのより良いマッチングと定着率向上を意識した質問を用意することは、企業の発展に不可欠なのです。
新米面接官でもすぐに使えるマインドセットを見抜くための質問事例
ここでは面接官が確認すべき人柄や性格、価値観などマインドセットを質問の目的別にリスト化し、新米面接官の方でもすぐに使えるマインドセットの見抜き方について質問事例を交えながら解説します。
目的①会社と価値観が合っているかを確かめる
価値観
【理念】
意図:会社の理念と個人の信念に共通項を見出す。
質問:「転職理由・志望動機を教えてください。」
【将来の夢】
意図:事業の展望と個人の興味の対象に接点を見出す。
質問:「今後、チャレンジしてみたいことはありますか?」
【モチベーション】
意図:会社の経営方針と個人の就労観のマッチ度を探る。
質問:「何のためなら、苦境においても仕事を頑張れますか?」
【働き方】
意図:会社の労働環境と就労条件の希望との互いの妥協点を探る。
質問:「あなたが一番パフォーマンスを出しやすい働き方は?」
目的②社内外の人との関係構築について予測する
ヒューマンスキル(対人関係・スキル)
【コミュニケーション】
意図:人間関係がパフォーマンスにどう影響するかを予測する。
質問:「苦手な上司や同僚と意見が対立した時、どのように対処しますか?」
【チームワーク】
意図:チームワークの図り方を予測する。
質問:「組織内で相手を顧客のように考えてサポートした経験はありますか?」
【他責か自責】
意図:トラブル時の対人スキルを予測する。
質問:「チームメンバーや顧客とトラブルが起きた時、相手にどのように接しますか?」
【自己客観性】
意図:相手の評価がもたらすコミュニケーションへの影響を予測する。
質問:「社内や顧客からのあなたへの評価と、それに対する感想を教えてください。」
目的③募集職種への適性を測る
職務適性
【これまでのキャリア】
意図:個人の経験に基づく志向から募集職種への適性を測る。
質問:「これまでの経験から募集職種へ活かせるあなたの強みは?」
【キャリアビジョン】
意図:個人が描く理想像と募集職種の共通項を探る。
質問:「あなたのキャリアプランにおいてこの募集職種のどこが魅力的でしたか?」
目的④企業文化への適性を測る
組織貢献
【組織に対する責任】
意図:組織との関わり方から企業文化への適性を測る。
質問:「組織の目標達成を阻害する弊害を見つけたら、あなたはどうしますか?」
【当事者意識】
意図:組織内での動き方から企業文化への適性を測る。
質問:「組織の目標達成のための、入社後のあなたの役割は?」
目的⑤人柄や性格の傾向をつかむ
人柄、性格
【論理的 or 感情的】
意図:物事を判断する時の傾向をつかむ。
質問:「筋の通った主張、気持ちが込められた主張、どちらに心を動かされますか?」
【創造的 or 規律的】
意図:仕事の進め方とキャリア開発の傾向をつかむ。
質問:「新しいことに取り組むとき、独創的に自由に取り組む方が好きですか? それとも秩序立てて物事を進める方が好きですか?」
【変化 or 安定】
意図:仕事の進め方と意思決定の傾向をつかむ。
質問:「変化が多くスピーディーな環境、変化が少なく落ち着いた環境、どちらを好みますか?」
ストレス耐性
【楽観的 or 悲観的】
意図:トラブル時の心理状態の傾向をつかむ。
質問:「大失敗をした日でも夜はぐっすり眠れる方ですか?」
【タフネス】
意図:困難に打ち勝ってきた経験からストレス耐性と主体性を探る。
質問:「これまで最大の困難は? それをどのように乗り越えましたか?」
自己研鑽意欲
【好奇心と探究心】
意図:自己成長意欲について探る。
質問:「仕事以外で、学んでいることや活動していることはありますか?」
【世の中に対する感度】
意図:世の中の動向とビジネスへの洞察力を探る。
質問:「最近面白かったニュースやコンテンツは? またその理由は?」
目的⑥懸念事項を把握する
意図:就労にあたり重大な懸念事項を共有する。
質問:「入社にあたり、これだけは譲れないということはありますか?」
面接官は人材要件定義に則って優先度の高い項目から質問しよう
仮にあなたの面接官としてのKPIが採用人数であり【採用のミスマッチ】を防ぐことがあなたのミッションではないとしても、応募者のマインドセットに意識を向ける必要があります。
仮にあなたが面接した従業員の離職率が高い場合、人数は揃えられるが質が低い、母集団形成のマーケティングはできるが面接官としての人事は適していない、ような評価を受けてしまう可能性もあります。採用の段階でミスマッチを防げることは、面接官として評価を受ける一つの要因です。
スキルセットだけではなくマインドセットに目を向けることは、高いパフォーマンスを期待できる人材かどうかを判断する上でも有用だからです。
パフォーマンスを発揮し社内で高い評価を得る人材は会社へのエンゲージメントも高まりやすく、定着率向上のみならず事業成長の推進力となります。もちろん、それは本人にとっても望ましい状況なはず。会社と個人が互いにハッピーになるWIN-WINの関係を築けるかどうかは、面接官の力量に依ると言っても過言ではないのです。
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