ファミリーデーは社員と家族の企業理解につながる
近年、日本政府が進める働き方改革では「一億総活躍社会の実現」を目指して、女性やシニア世代などの活躍できる社会づくりを行うための「仕事と生活の調査(ワークライフバランス)憲章」を提唱しています。
ワークライフバランス憲章の一連の取り組みの一つとして、今注目を集めているのが「ファミリーデー」です。
ファミリーデ―とは、社員が日ごろ取り組んでいる仕事を家族に紹介するという企業主催のイベントで、社員の家庭内での仕事への理解を深めることを主な目的としています。
ファミリーデーの取り組みによって、社員の仕事への意欲が向上するだけでなく、仕事への新たなヒントを得られるきっかけにもなります。同僚の家族を知るきっかけにもなり、社員同士のコミュニケーション機会の向上や長期的なライフプランを描くことにもつながるとも言われています。
今回の記事では、ファミリーデーの意味や目的、企業側と社員側それぞれのメリット・デメリットについてご紹介します。
ファミリーデーとは?意味や目的、メリット・デメリットについて
ファミリーデーとは、社員の家族や友人、大切な人を職場に招待し、会社や社員の仕事内容についての理解を深めたり、同僚とその家族・同伴者との親睦を深める施策を意味する言葉です。
ファミリーデーは、海外では以前から開催されていましたが、日本でも近年注目を集めています。東京都では以前、従業員300人以下の企業に対して「ワークライフバランス推進費用」という名目で、ファミリーデーの開催に補助金が支給されていたこともありました。
ファミリーデーの目的とは?
ファミリーデーの目的は、企業のワークライフバランス推進の一環としての、働きやすい職場の環境づくりです。社員のモチベーション向上や、社内の円滑なコミュニケーションにつながる施策として期待されています。
ファミリーデーは、社員の家族に職場を理解してもらうきっかけになったり、社員同士の交流を通した働きやすい環境を醸成できるだけでなく「社員やその家族を大切にする会社」というブランドイメージの向上にもつながります。
ファミリーデーを実施する企業側のメリットとは?
社員の家族、パートナー、友人などへの職場理解を深める
ファミリーデーは、社員の家族やパートナーなどの社員個人を支えている人に対して、職場や仕事に対する理解を深めてもらう機会になります。
社員を支えている人に職場への理解を深めてもらうことで「普段どんな仕事をしているのか」「職場で本当に上手くやれているのか」などの不安を解消し、社員が周囲のサポートを受けやすくなったり、自分の仕事に誇りをもって取り組めるようになります。
同僚の家族・パートナーとの交流を深める
ファミリーデーは、普段は会う機会のない同僚の家族やパートナーなどとコミュニケーションを取れるため、社員同士に今までにない親近感が生まれたり、コミュニケーションが活性化されるきっかけになります。
社員同士が「お互いに大切な人たちがいる」ということを実感として理解し合あえるため、家族に関するイベントや急病などによる休暇や早退に対して、快く対応できるようになる効果が期待できます。
ファミリーデーによる交流は、ワークライフバランスの推進だけでなく、人間関係においても働きやすい職場環境をつくることにもつながるのです。
企業イメージの向上
ファミリーデーは、ワークライフバランス推進に取り組んでいる企業としての価値観を、社会に分かりやすい形でアピールできる手法のひとつです。
ファミリーデーを実施していることを自社のホームページや採用サイトなどに掲載すれば、採用活動における企業ブランディングにもつながります。
ファミリーデーを実施する社員側のメリットとは?
家族や周りの人に自分の仕事を理解してもらう機会になる
ファミリーデーは、普段はあまり話す機会がない自分の業務や会社のこと、同僚との関係などを紹介できる機会になります。家族やパートナーが、自分の仕事に理解を示してくれたり、感謝の気持ちを持ってもらうきっかけになります。
ファミリーデーをきっかけに、家族に仕事のことを話す機会が増えたり、業務の繁忙期に対して理解を得やすくなります。
社内の人間関係において、お互いに働き方を理解しようとする風土が育まれる
ファミリーデーは、同僚の家族やパートナーを知る機会となるため、お互いのプライベートについての理解が深まり、家族の都合での勤務調整が行いやすい職場の雰囲気を醸成できます。
家族の都合では休みを取りづらい職場の空気を排除できれば、社員同士でお互いを思いやる働きやすい環境が醸成され、勤務に関するストレスの軽減につながります。
ファミリーデーを実施する企業側のデメリットとは?
ファミリーデーを実施する企業側のデメリットとしては「仕事とプライベートの混同」が挙げられます。
ファミリーデーは、社員の家族に企業を理解してもらえると同時に社員がお互いの家族について知る機会にもなりますが、人によっては「プライバシーがない職場だ」と感じてしまい、仕事のモチベーション低下や会社に対する不信感を生んでしまう可能性があります。
ファミリーデーを実施する際には、社員の家族とはいえ不特定多数の人が出入りするため、顧客情報や企業秘密などの問題についても注意が必要です。
ファミリーデーを実施する社員側のデメリットとは?
ファミリーデーを実施する社員側のデメリットとしては、企業にとっての問題点でもありますが「ファミリーデー自体にプライバシーの問題を感じる人がいる」点が挙げられます。
ファミリーデーは、仕事と私生活を分けて考えたい社員にとっては、私生活への過度な干渉と感じられるかもしれません。また、家庭環境によっては職場の人間に紹介したくない社員がいる可能性もあるでしょう。
ファミリーデーを平日に開催する場合は、仕事に集中できずに迷惑に感じる社員もいるでしょう。特に独身者が多い部署では「小さい子供の対応が困る」「何かあったら責任がとれない」など、不安に感じるケースもあると考えられます。
ファミリーデーは社員の賛同を得てから実施しよう!
ファミリーデーとは、企業が自社のオフィスに社員の家族などを呼ぶ、社内イベントを意味する言葉です。
ファミリーデーは、ダイバーシティやワークライフバランスの一環として取り組む企業が増えています。社員の家族間のコミュニケーションや社員同士のコミュニケーションが深まるメリットがある一方で、仕事仲間とプライベートを共有したくない「私仕分離」という価値観もあるため、注意が必要です。
ファミリーデーを実施する際は、企業の思惑だけで開催するのではなく、社員の価値観を理解した上で実施すべきかどうかを検討するようにしましょう。