モチベーションアップ施策としての社内イベント
表彰式や社員旅行、飲み会など、様々な企業で社内イベントが開催されています。社内イベントには、社内コミュニケーション活性化だけでなく、内定者フォローや経営ビジョンの浸透化、社員のモチベーションをアップさせる効果もあります。
社内イベントは、どの程度モチベーションアップの施策として有効なのでしょうか?
モチベーションの向上や業績の向上に効果あり
勤め先の会社が主催する社内イベントについて参加者の58%が、「人と直接会って話ができる良い機会」と肯定的意見を持っています。特に女性と30代からの肯定的な意見が多いため、女性や30代が多い会社において、社内イベントは有効な施策だと考えられます。
社内イベントの効果を3つに絞るとすると「職場のコミュニケーション」「部門間の連携」「モチベーションの向上」が挙げられます。
出典元『ワーク・モチベーション研究所』【調査】「社内イベントに関するコミュニケーション調査」をリリースしました。
過半数の社員が社内イベントに対して肯定的なのに対して、社内イベントと業績の向上の相関関係はあるのでしょうか?
従業員数100人以上の企業経営者に対して行った、社内イベントと業績向上の調査から、業績の伸び率が高くなるにつれて、社内イベントに対する重要度が高まっている傾向が分かりました。
出典元『JTB』経営者148人に聞いた 社内イベントの効果とは
業績が伸びた企業ほど、社内イベントの頻度も高まっている傾向も分かります。業績が10%以上伸びた企業は、半年に1回以上社内イベントを行っている企業が50%となっています。特に1か月に1回以上社内イベントを行っている比率も、他の業績の伸び率の会社と比べて、17.9%と多いことが分かります。
従業員間のコミュニケーションを活性化させ、経営理念を理解してもらいながら仕事へのモチベーションをアップさせる、社内イベントは有効に活用できれば、業績アップに対しても非常に効果的な施策であることが分かります。
社内イベントの目的とは?
社内イベントは社員のモチベーションアップだけでなく、業績の向上にも非常に効果的です。約58%の参加者が、社内イベントに対して肯定的な意見を持っていますが、逆に約42%は否定的あるいはどちらでもない意見を持っていることになります。
出典元『ワーク・モチベーション研究所』【調査】「社内イベントに関するコミュニケーション調査」をリリースしました。
「一方的に聞くだけで退屈した」割合は徐々に改善されている傾向が分かりますが、「一部の社員のみだったこと」や「毎回同じ内容で、マンネリ感があった」という理由が上位を占めています。
これらは「社内イベントを開催する」ことが目的となってしまった場合に起こりやすい問題です。「社内のコミュニケーションを活性化させる」ことが目的であれば「一部の社員のみが対象」にはなりづらく、「モチベーションの向上」が目的であれば「毎回同じ内容で、マンネリ感があった」にはなりづらいです。
「モチベーションの向上」が目的であることを念頭に置き、社内イベントはあくまで問題を解決するための手段であることを理解しての社内イベントの企画が求められます。
モチベーションアップを目的とする社内イベントとは
モチベーションのアップを目的とする社内イベントも、「表彰式」や「社員旅行」など、種類によって効果は変わります。目指すべき効果を設定し、企画段階から反映させることが大切です。
また、実際にその効果を感じたかどうかを社員から聞き取り、検証することで次に活かすこともできます。
モチベーションをアップさせる要素を考える
モチベーションをアップさせるためには、社員が何をモチベーションとしているのかを知ることが大切です。
モチベーションアップが目的とするならば、そのために欲求を満たすことが必要になります。社内イベントは、企画段階でどの欲求を満たすために行うのかを決めておくことが大切です。
どの欲求を満たすために、何を行うのか
例えば「承認欲求を満たすための表彰式」や「帰属欲求を満たすためのパーティ」、「自己実現欲求を満たすための社内展示会」などです。明確な目的をもった社内イベントであれば、「イベントを行うことが目的」にはなりづらいです。
社員だけではなく、未来の社員である内定者のフォローとして、社内イベントが開催されることもあります。この場合は新しい環境に対しての「安全欲求」や「帰属欲求」を満たすイベントと位置付けられます。
内定者フォローとしての社内イベントについては「社内イベントへの参加を効果的な内定者フォローにするために」をご覧ください。
社内イベントだからこそのメリット!
社内で企画するイベントのメリットとして、エンゲージメントを高める要因である「企業理念」や「キャリアアップの道筋」を伝える機会として使える点があげられます。
メインの目的をモチベーションアップに据えつつも、繰り返し企業理念を伝える機会としても活かすようにしましょう。
インナーコミュニケーションと帰属意識の強化
大規模なイベントは従業員が一斉にあつまるため、コミュニケーションが捗る、社員の帰属意識が高まるというメリットがあります。社内全員参加のイベントなどは社内イベントだからこそ作れる場となります。
社内イベント開催時には、次に活かせるように参加者にアンケートをとり、計測できる準備もしておきましょう。計測して検証することで、イベントの目的が果たせたか、次には何が有効かを見極めることができます。
改善される要素があれば「マンネリ化」することも起こらず、逆に「マンネリ化している」という意見があれば、同一の目的を達成する他のアプローチ手段を考えてみる、他の目的を達成するイベントを行うなどの新しい企画の参考要因となります。
社内イベントで見落としがちな落とし穴とは?
社内イベントを行う上で注意点がいくつかあります。
企画段階から陥りがちなポイントを見直すことで、イベントにかける時間や労力、そしてお金と熱意を無駄にしないように活かしきりましょう。
イベント開催が目的になっていないか確認を
最も陥りがちな注意点は、目的が明確でないことです。
他の会社がやっているから、毎年開催しているから、など明確な効果を設定していないイベントはすぐに見直しましょう。
また業務の片手間として「社内イベントを企画・運営する」際にも注意が必要です。本来割きたい時間である本業務を阻害する要因が「社内イベントの企画・運営」となってしまえば、「本業務に時間を割くために社内イベントの企画・運営をする」など、目的が置き換わってしまう可能性があります。社内イベントの企画や運営を他の従業員に任せる場合は、「従業員のモチベーションを上げる」や「この欲求を満たす」などと目的を明確にして伝えれば、「片手間でやらされている」と思うことも少ないでしょう。
社内イベントの成功要因と失敗要因とは
最後に、社内イベントの成功要因と失敗要因を比較してみましょう。
出典元『ワーク・モチベーション研究所』【調査】「社内イベントに関するコミュニケーション調査」をリリースしました。
成功要因ー1位「社員全員が集まる」2位「参加型」3位「会社や同僚を知る」
失敗要因ー1位「一部の社員のみ」2位「聞くだけで退屈」3位「マンネリ」
成功要因と失敗要因は裏表のような関係です。社員が主体的に関われるようなイベントを心がけましょう。
まずは社内イベントの「目的」を決めましょう!
社内イベントと一言で言っても様々な目的があります。目的に沿った内容にすることで、社員のモチベーションアップに直結するイベントを開催することができるのです。
まずは、社内イベントの「目的」をはっきりさせる必要があります。
複数の地域に従業員がいる場合やシフトで参加できない社員が居るなど、一斉に集められない場合は、参加できなかった従業員へのケアも大切です。疎外感が出ないように声掛けや報告、ねぎらいなどの配慮をしましょう。
これらのケアができなかった場合は、極端な話「自分はこの会社に必要とされていない」「自分の居場所がない」などと社会的欲求(帰属欲求)が満たされなくなる可能性があります。