えるぼし認定は助成金だけでなく様々な優遇措置がある!
女性活躍に関する一定の基準を満たした企業の中から、より優良な企業に与えられる「えるぼし」マーク。認定されることによるメリットは、社内外に広く女性の活躍を推進する企業であることがアピールできる、公共調達や低利融資面でのメリットが得られるなど、企業運営にとっても魅力的な要素が揃っています。
広報に力を入れている企業はもちろん、優秀な人材を集めたい場合や、公共事業の落札機会が多い企業にとっても、さまざまな側面で意味がある制度の「えるぼし認定」。今回は「えるぼし」認定によって得ることができる助成金と優遇措置についてご紹介します。
両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)とは?
厚生労働省や各都道府県労働局では、女性の活躍推進に取り組む企業に対して、さまざまな助成金を用意しています。「えるぼし」をはじめ、「女性活躍推進法」に基づき策定した『一般事業主行動計画』内の「取り組み内容」を実施した企業や、「数値目標」を達成した事業主を対象とした助成制度です。
えるぼし認定で受けられる助成金として「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」があります。「両立支援等助成金」は「誰もが活躍できる職場づくり」を支援する助成金で、他のコースには「男性の育児休暇取得」「仕事と介護の両立」「仕事と育児の両立」「育児・介護等で離職した人の再雇用」「事業所内の保育施設設置」などがあります。
「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」は仕事と家庭の両立支援や女性の就業・活躍推進に取り込む中小企業に対して支払われる助成金と言えます。その中の一つとして、『両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)』は設けられています。
支給対象となる目標・取り組みのタイプ
- 女性の積極採用に関する目標
- 女性の配置・育成・教育訓練に関する目標
- 女性管理職の積極登用・評価・昇進に関する目標
- 多様なキャリアコースに関する目標(一般職→総合職など)
助成金の種類と金額について
(「加速化Aコース」「加速化Nコース」)
「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」では、AコースとNコースという2つのコースがあります。申し込む前に、自社がどちらのコースに該当するかを必ずチェックしてください。
常用労働者数300人以下の企業では、「加速化Aコース」「加速化Nコース」の両方に申し込むことができます。
加速化Aコースについて
【対象】常用労働者数300人以下の中小企業のみ(産業は自由)
【条件】以下4つの条件をすべてクリアすること
- 女性活躍推進に関する数値目標を盛り込んだ事業主計画を策定し、都道府県労働局長へ届け出る。同時に、策定した計画を全社員・外部に周知し公表すること
- 長時間労働是正などの働き方改革に関する活動を実施していること
- 自社の女性社員の活躍状況を公開すること(「女性活躍推進法」第16条に基づく)
- 策定した行動計画に沿って、行動計画期間内に取り組みを実施したこと。また、複数の取り組み目標を掲げた場合は、そのうち少なくても1つの計画を実施したこと
【支給額】300,000円
加速化Nコースについて
【対象】限定なし(常用労働者数300人以下の中小企業&常用労働者数300人以上の企業(産業は自由))
【条件】Aコースの条件+以下2つの条件のクリア(全6条件)
- 取り組み目標を達成した日の翌日から、3年以内に行動計画に定められた数値目標を達成し、さらに助成金支給申請日までその状数値目標を達成したこと
- 数値目標を達成した際、その旨を自社のWebサイトに掲載し公表すること
【支給額】300,000円
助成金申請までの手順
「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」を申請するまでには、大きく4つのステップがあります。
1.女性の活躍の状況把握を行い、自社の女性の活躍に向けた課題を分析する
状況把握には、必ず以下の4項目を含める必要があります。
- 採用者に占める女性比率
- 勤続年数の男女差
- 労働時間の状況
- 管理職に占める女性比率
雇用管理区分ごとに見た職務または役職において、男性と比べて女性の活躍に課題があるか、原因は何かを分析する必要があります。
2.自社の課題解決に相応しい数値目標と取組目標を盛り込んだ行動計画の策定・公表等
行動計画には、必ず「長時間労働是正などの働き方改革に向けた取組」を盛り込まなければなりません。
行動計画だけでなく「自社の女性の活躍状況」についても公表する必要があります。1で分析した課題や原因を基に公表しましょう。
3.行動計画期間内に「取組目標」を達成して、取組実施状況を公表
当然ながら、取組目標を設定するだけでなく、実施して目標を達成する必要があります。取組目標を達成した段階で「加速化Aコース」の申請が可能となります。
複数の取組目標がある場合には、どれか1つを達成した時点で申請が可能です。申請期限は「目標達成日の翌日から2ヶ月以内」となっておりますので、忘れずに申請しましょう。
⇒ 「加速化Aコース」を申請
※ 複数の取り組み目標がある場合、どれか1つを達成した時点で申請可能。
※ 支給申請期限は目標達成日の翌日から2ヶ月以内(Nコースの支給申請期限も同様)。
4.取り組み目標達成時から3年以内に「数値目標」を達成して、達成状況を公表
取組目標を達成し、更に数字目標を達成した場合には「加速化Nコース」の申請が可能となります。
複数の取組目標がある場合は、取組目標達成時と同様に、どれか1つを達成した時点で申請が可能です。申請期限も「数字目標達成日の翌日から2ヶ月以内」となっております。
大企業においては「女性活躍推進法に基づく認定取得」もしくは「女性管理職比率が上昇し、業界平均以上になる」などが必要です。
助成金申請時の注意点について
助成金を申請できる期間は、各コースともに自社で策定した行動計画の取組目標または数値目標を達成した日の翌日から起算して2か月以内が期限です。忘れないように申請しましょう。
助成金以外の優遇措置で得られる金銭的なメリットとは?
「えるぼし認定」の企業は、公共調達と低利融資の両面で優遇措置を受けることができます。
公共調達の優遇措置
評価落札方式や企画競争方式など、価格以外の要素が評価される調達では、「えるぼし認定」を受けていること自体が加点評価の対象となります。
えるぼしで三つ星評価の場合は、「くるみんマーク」や「ユースエール認定」よりも加点が高くなるため、公共調達を優位に進めることができます。
低利融資の優遇措置
日本政策金融公庫が実施する企業活力強化貸付を利用する場合、一定の条件を満たしていれば、通常よりも低利の融資を受けることが可能です。
基準利率※からマイナス0.65%での低利融資を受けることができ、融資を受けたい場合に大きなメリットとなります。
(※)基準利率: 中小企業事業1.30%、国民生活事業1.85%(2016 年5月13 日時点)
えるぼし認定制度の趣旨を忘れずにメリットを活かそう!
えるぼし認定は、さまざまな申請や対応が必要ですが、今回ご紹介したような助成金などの金銭的な面でのメリットもあります。もちろん、こういった認定制度は助成金を受け取ることが目的ではないため、本末転倒になってはいけませんが、制度のメリットなどの知識を持つことも、企業にとっては重要です。
「えるぼし認定」の制度の趣旨を押さえつつ、自社の状況や今後どういったワークスタイルを目指していくかをきちんと検討した上で、認定制度に取り組んでみることも一つの手です。