従業員エンゲージメントとは?世界中で注目される理由
従業員エンゲージメントとは、従業員のやる気を高めて企業の業績を上げるために重要なものとして、世界中で注目を集めている指標です。
世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップの調査によると、日本は「従業員エンゲージメントの高い(熱意あふれる)社員」の割合がわずか6%で、米国の32%に比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位という最下位クラスであることがわかりました。
参考URL『日本経済新聞』「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査
モチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学ビジネス・スクールが行った調査によると、エンゲージメントスコアと利益には右肩上がりの相関関係があると報告されています。
出典元『リンクアンドモチベーショングループ』「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開
日本では従業員エンゲージメントという言葉自体の認知度が低く、活用している企業は多くありませんが、上手く活用すれば業績アップや離職率改善などの様々なメリットが得られます。
今回の記事では、世界中の企業が向上させようとしている、従業員エンゲージメントについてご紹介します。
従業員エンゲージメントとは?言葉の意味と概要
従業員エンゲージメントとは「従業員の一人ひとりが企業の掲げる戦略・目標を適切に理解し、自発的に自分の力を発揮する貢献意欲」であると、世界140カ国以上に社員を抱える世界有数のコンサルティング会社ウイリス・タワーズワトソンが述べています。
従業員エンゲージメントという言葉の意味は「企業やブランドと従業員との愛着・絆」と言い換えることができます。
「従業員エンゲージメントが高い」ということは「企業のビジョンや目標に従業員が共感していて、自らの人生の中でもそれを実現したいと思っている」ということです。「やらされている」とか「やらなければならない」ではなく、従業員自身が心から「やりたい」と思っていることが重要です。
従業員エンゲージメントを高めるメリットと方法
従業員エンゲージメントを高めることで、労働生産性の向上や離職率の改善など、様々なメリットが得られます。
従業員エンゲージメントを高める方法は数多くありますが、従業員一人ひとりと向き合い、モチベーションの向上や業務への動機付けを図ることが大切です。
従業員エンゲージメントを高めるメリットとは?
従業員エンゲージメントが高い状態では、社員が自発的に会社の戦略や目標に貢献する状態になるため、大きなメリットが数多く生まれます。
従業員の士気が高まり、労働生産性が向上する
従業員エンゲージメントが高まると、従業員の企業への愛着が強まって献身的に業務に取り組むようになり、労働生産性やサービスが向上するという研究結果が出ています。
労働生産性が向上し、企業の収益が増加する
従業員エンゲージメントの向上により、従業員の労働生産性やサービスが向上することで、売上・利益が拡大します。従業員エンゲージメントが5%上昇すると、営業利益率が0.7%上昇するという調査結果が出ています。
アメリカの大手百貨店シアーズの計測値によると、従業員の態度に5ポイントの改善が見られると、顧客満足度に1.3ポイントの改善が生じ、収益には0.5%の増加が生じました。
離職率が下がり、優秀な人材の流出を防止できる
従業員エンゲージメントが高まると、成果に基づく人事評価や年収などの待遇とは別に、企業と従業員の間に絆が生まれるため、離職率が改善されます。
アメリカの経営・人事管理コンサルティング会社であるCEB社のレポートによると、従業員エンゲージメントの高い社員の離職率は1.2%にとどまり、従業員エンゲージメントの低い従業員の離職率は9.2%と高くなっています。離職率が下がれば、雇用や教育コストの削減にもつながります。
エンゲージメントが高い従業員が増えることで、社内の雰囲気が良くなり活気が出たり、何か問題が起こっても自発的に改善されるといった効果も期待できます。
従業員エンゲージメントを高める方法とは?
従業員エンゲージメントを高めるには、従業員一人ひとりと向き合うことが大切です。従業員一人ひとりが会社の戦略や目標を理解し、自発的に行動する動機付けを行えば、エンゲージメントは自然に向上します。
従業員エンゲージメントを高める方法の一例として、効果的なものをご紹介します。
ワークライフバランス向上を推進する
ワークライフバランス向上を推進することにより、従業員のプライベートな時間が確保され、より前向きに仕事に取り組めるようになります。
会社で成長する場を与える
責任のある業務を与えたり業務に必要な資格を取得できるようにして、会社で成長する場を与えることで、従業員の仕事へのモチベーションが向上します。
社内コミュニケーションを活性化させる
社内コミュニケーションを活性化させることで、些細なことや当たり前と思えるようなことでも発言しやすくなり、職場の雰囲気や従業員同士の人間関係の改善につながります。
情報の透明性を高める
企業やチームの長期目標や、従業員の働きがどのように貢献しているかなどの情報の透明性を高めることで、目標を達成しやすくし、達成時に高い達成感を得られるようになります。
従業員に帰属意識を持たせたり、従業員の強みを把握して適材適所に配置することなども、従業員エンゲージメントの向上に有効です。
従業員エンゲージメントを高めて業績アップ!
従業員エンゲージメントとは、従業員のやる気を高めて企業の業績を上げるために重要なものとして、世界中で注目を集めている指標です。
世界ではすでに従業員エンゲージメントを高めるための研究が進んでおり、従業員エンゲージメントの向上は、業績アップにつながることが証明されています。
日本は今、少子高齢化による労働力不足、採用難、雇用の流動化などで、従業員の労働生産性を高めることに対する危機感が強まっています。
少子高齢化により新しい人材の採用が難しい現代の日本で、既存の従業員をいかに大切にするかは、非常に重要な観点となっています。従業員エンゲージメントを高めることは、これからの企業成長に大きくつながるでしょう。
従業員エンゲージメントを高める施策を導入し、労働生産性の向上や離職率の改善を図り、業績アップにつなげてみてはいかがでしょうか。