早期離職のデメリットとは?残った社員や求人活動への悪影響について

早期離職のデメリットは「ポストが空く」だけじゃない

採用活動のゴールは、目標人員の確保ではありません。欠員補充にしても増員にしても、採用を行う動機の根本には「現行事業を安定して運営したい」「新規事業を始めたい」といった「企業として達成したい目標」があるため、目標を実現して初めて採用活動が成功したといえます。

正社員の募集では即戦力人材ばかりを採用するわけではないため、採用した人材が定着して、企業に利益をもたらす一人前の戦力になるまでが「採用活動」だと考えるべきです。

採用した人材の定着と戦力化を考える上で重要になるのが、早期離職の問題です。

内定者や新入社員へのフォローがおろそかになると浮かび上がってくるのが、早期離職の問題です。早期離職とは、一般的に入社から3年以内の離職のことで、大卒の新入社員の早期離職率は直近30年で平均3割を超えています。

早期離職の問題は長らく改善されておらず、人事業務における重要な課題となっています。早期離職が企業に与える損失は、採用活動費や人件費、教育研修費などの金銭的なコストに加えて、残った社員のモチベーション低下や連鎖的な離職につながる危険もあり、決して無視できるものではありません。

今回の記事では、早期離職が企業にもたらすデメリットについて詳しくご紹介します。

早期離職のデメリットとは?金銭面だけではない、残った社員や求人募集への影響について

早期離職によって引き起こされるデメリットは、企業に様々な悪影響をもたらします。

  1. 早期離職がもたらす金銭的なデメリットとは?
  2. 早期離職がもたらす残った社員へのデメリットとは?
  3. 早期離職がもたらす求人募集へのデメリットとは?

1.早期離職がもたらす金銭的なデメリットとは?

早期離職のデメリットとして1つ目に挙げられるのが、金銭的なデメリットです。

新入社員が一人前の戦力として独り立ちするまでの期間は、教育研修制度が機能している企業でも4年以上かかるとされています。

新入社員が一人前になるまでにかかるコストは、将来的に自社の戦力になってもらうための「投資」であると言えます。つまり3年以内の早期離職は、投資先の会社の倒産がしてしまったようなもので、新入社員にかけた採用コストや教育コストが全て無駄になってしまうのです。

新入社員に対する投資として、まず採用コストが挙げられます。マイナビが行った2017年度の新卒採用を対象とした調査では、求人広告費や人材紹介費などを含めた一人当たりの採用コストの平均は、約50万円程度が相場であると報告されています。

新卒採用コスト
出典元『マイナビ』2017年 マイナビ企業人材ニーズ調査

新入社員に対する投資として、次に人件費が挙げられます。大卒新入社員の初任給の平均が月給約21万円で、社会保険の企業負担分が上乗せされ、年に2回の賞与(1回あたり月給の2.4ヶ月分計算)の支払いもあります。能力が未熟とはいえ完全な無駄として計算するのは乱暴ですが、新入社員に対する人件費は年間400万円以上、3年で1,200万円以上のコストとなります。

新入社員に対する投資として、最後に教育研修費が挙げられます。教育研修にかかる費用は企業の教育体制によって大きく異なりますが、外注の研修サービスを利用しないとしても、最低でも先輩社員の指導にかかる人件費は発生します。

早期離職による金銭的なデメリットは、採用活動にかかった費用だけでなく、離職までに投資した人件費や教育研修費も含まれることを考えると、早期離職が企業に与える損失がどれだけ大きいかが分かります。

2.早期離職がもたらす残った社員へのデメリットとは?

早期離職のデメリットとして2つ目に挙げられるのが、残った社員へのデメリットです。

早期離職の大きな原因のひとつとされているのは、企業と求職者の「相性」の問題です。リクナビNEXTの「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」では、退職理由の本音として「上司や経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった」「社長がワンマンだった」「社風が合わなかった」などの人間関係の相性に起因する理由が半数を占めています。

1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)

引用元『リクナビNEXT』転職理由と退職理由の本音ランキングBest10

人間関係以外の相性の問題としては「労働時間・環境が不満だった」「仕事内容が面白くなかった」などの相性も23%と挙げられています。人間関係の相性は49%を占めているため、人間関係を改善することで、約半数の離職を防げる可能性があります。

人間関係の不具合は、同期入社の社員や配属先の同僚など、早期離職者と関係性の近い人物を通して悪い噂として社内に蔓延しがちです。上司や同僚との人間関係を理由とした早期退職が頻発すると、残った社員のモチベーションの低下を引き起こすだけでなく、上司や会社に対する不信感が高まって芋づる式の離職につながる危険もあります。

3.早期離職がもたらす求人募集へのデメリットとは?

早期離職のデメリットとして3つ目に挙げられるのが、求人募集へのデメリットです。

早期離職者が多い企業の特徴として、社員の平均年齢が20代中盤~後半程度で、比較的若い社員が多いという特徴が挙げられます。社員の平均年齢が低い理由は、新入社員の多くが早期離職してしまうことによって中堅以上の人材が育たず、若手人材の入れ替わりが激しくなっていることが大きな原因と考えられます。

社員の平均年齢が低い会社は「早期離職者が多いのでは?=ブラック企業なのでは?」という警戒心を求職者に抱かせます。求人広告を見ていると「若手が活躍している会社です!」というアピールで掲載している企業をよく見かけますが、情報をたくさん収集している求職者には警戒されてしまい、応募者が集まりにくくなります。

ブラック企業になると思う目安
出典元『株式会社DISCO』就活生・採用担当者に聞いた「就活ブラック企業」

早期離職による求人募集へのデメリットは、求職者の警戒心を煽るだけでなく、もっと直接的な影響を与える場合もあります。求人市場が活発な現在では、インターネット上にクチコミサイトが多く立ち上がっており、早期離職した元社員が悪評を書いてしまう恐れがあるためです。

早期離職が多い企業は、求職者に警戒されたり悪評を広められることによって求人募集が難しくなり「社員が辞めていくのに求職者が集まらず、人手不足による負担増加で残った社員も辞めてしまい、更に求職者が集まりにくくなる」という悪循環に陥る危険があるのです。

早期離職のデメリットは対策しないと悪循環につながる

早期離職によって引き起こされるデメリットは、企業に様々な悪影響をもたらします。

早期離職のデメリットは、採用コストや教育コストの金銭的損失だけでなく、残った社員のモチベーション低下や求人募集の応募者減少にもつながります。売り手市場で人材獲得が難しい状況ですが、早期離職が増えると悪循環に陥る危険があるため、人手不足であっても早期離職しそうな人材の採用は我慢した方がよいでしょう。

早期離職しそうな人材を見極めるためには、中長期的に人材データを蓄積し、早期離職しやすい人材の傾向を分析する方法が効果的です。

弊社サービス「ミツカリ」では、求職者の性格や価値観・志向性といったパーソナリティを見える化し、社風や既存社員とのマッチ度を比較・確認できます。社風とのマッチ度が高い求職者や、定着した人材と似たパーソナリティを持つ求職者を判別することで、早期離職の防止に活用できます。

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