学習性無力感の克服方法や対策方法とは?事前・事後の対応を理解しよう

やる気が低下した状態がつづく学習性無力感

選考がなかなか通らずに諦めてしまう、上司に就職活動や転職活動で業務改善の提案をしても一切反映されないなど、様々な生活シーンで無力感を感じる場面があります。無力感を学習し、行動を起こさなくなる現象は「学習性無力感」という名称の心理学理論です。

学習性無力感は心理学研究はもちろんのこと、教育学や経営学などでも課題として挙げられているものですが、今回は学習性無力感とは何かについて説明します。

学習性無力感が起きる原因や対策・克服方法とは?

ビジネスにおいて学習性無力感に陥る原因として多いのが、周りの人から繰り返し否定されるパターンです。

上司や同僚が「その人のため」と思って注意していたとしても、当人にとっては「何度も否定された」と感じ、学習性無力感に陥ってしまうことがあります。仕事をする上で、部下を注意することは数多くあるでしょう。コミュニケーションのとり方によっては、学習性無力感の症状を引き起こしてしまい、部下にとってマイナスの結果になってしまうこともあります。

学習性無力感を引き起こさないための対策方法

取りかかる気にもなれないタスクに遭遇したら「タスクを分解する」というタスクをつくってみましょう。「一気に終わらせよう」という気持ちを自分から切り離すことをおすすめします。

タスクを見るなり憂鬱になるとき、大抵私たちは頭のどこかで、タスクの「厄介な部分」について頭を巡らせているはずです。その結果、だんだんと「学習性無力感」状態になってしまっている可能性があります。

「ToDoリストで消せないタスク」がなぜそのままなのかと言えば「キリのいい最初のゴール」が想像しにくい、という理由が挙げられるでしょう。ゴール のイメージが想像できないから、全く取りかからない。翌日まで放置する。しかし同じタスクに翌日改めて出会ったとしても、やはりキリのいいゴールが想像できないのは確かです。

「見つける」ではなく「探す」です。これならば、探しさえすれば見つけられなくても大丈夫なので「いつやめてもいいから、ちょっとだけ、5秒だけでも探すだけ探してみようか」という気持ちになれます。

運良く仮のゴールが決まったら、その「ゴールを達成する」というタスクをまずは終わらせましょう。タスクを細分化することが、ToDoリストに残り続ける「居残りタスク」を対処可能なものにしてくれるでしょう。

学習性無力感が起きてしまった場合の克服方法について

ポジティブになれる方法を考えてもらう

学習性無力感に陥る人の傾向としてネガティブ思考があります。

ネガティブ思考の反対語はポジティブ思考です。誰にでも「コレをすれば元気になれる」というものがあると思います。自分の気持ちをあげるためにお気に入りの音楽を聴く、お気に入りのカフェでコー ヒーを飲むでも良いです。コレといって思いつかない人はポジティブ思考になれる自己啓発本を参考にするように勧めてみましょう。

成功体験を積み重ねる

小さな目標を持たせ、本人が躊躇しても背中を押して実行させてください。本人に「できることがある」ということを認識させることで、自己肯定感を強めます。

繰り返していくことで自己肯定感を持たせ、自信を取り戻してもらうことで学習性無力感を改善することができます。

激励や否定するような言動をしない。

学習性無力感の人は自己肯定感を喪失している状態のため、「こんなこともできないのか」といった言動は控えましょう。周囲にサボっているように見えていても本人は一生懸命闘っているので「がんばれ」は激励にはなりません。

本人の状況が理解できないのであれば、むやみやたらと声をかけず温かく見守りま しょう。

環境がちがうことを認識させる

できなかった時と状況や相手、自分自身の環境が違うことを認識させて「失敗した時と今は違うから失敗はしない」という感覚を持たせます。

該当社員が学習性無力感になった原因が大きなプレゼンで失敗をした経験であれば「人事部の会議でプレゼンをする」ことを目標にして人事部の会議でプレゼンをしてもらいます。環境の違いと「プレゼンを成功させる」ことが目標ではなく「プレゼンをする」ことが目標であると認識すれば、社員も気持ちが楽になって実行に移せるかも知れません。

プレゼンができたら参加者全員で褒めてあげてください。このようなことを繰り返し行い自信を持たせることで、学習性無力感の改善をはかりましょう。

完璧主義にはほどほどを覚えてもらう

完璧主義タイプはすべてのことに対して100%を求めます。考え方として0か100の選択肢しかないため、70%できれば良いという発想を持たせま しょう。

目標設定を「100%達成が合格」と本人が主張をしても「70%達成できれば合格」と上司や人事が誘導することで、「ほどほどの感覚」を学んでもらいます。

自分が設定している合格ラインが高すぎることを気づかせるように話を運ぶことも大切です。日々「70%の力でいい」と働きかけることで、日常的に「ほどほどの感覚」を身につけてもらえます。

アイデンティティ未確立はキャリアカウンセリングを受けさせる

アイデンティティはいろいろな人との出会いや経験をすることで悩んだり葛藤することで、構築されるものです。アイデンティティが確立されるまで時間がかかります。幼少期からいい子で自分自身と向き合ったことがない人は、キャリアカウンセラーの力を借りると良いでしょう。

アイデンティティ未確立の人は「何がしたいのかわからない」という悩みを持っている人も多く、今後のキャリアプランを考えることが苦手です。今後のキャリアプランもなく仕事に向き合っていればいつか行き詰まります。

目標を持って高いモチベーションで仕事に向き合ってもらうために、キャリアプランを構築してもらいましょう。

生活のリズムが乱れている人には日光浴と睡眠時間を確保させる

やる気を出すには脳内物質のドーパミン・アドレナリン・セロトニンは睡眠中に分泌されます。まずは、睡眠時間を確保する努力をさせましょう。

日常生活で下記の2点に注意して生活をするようにアドバイスしてみてください。

  • 午前中の日光を浴びることを心がける
  • 起きる時間を休日も含めて毎日同じ時間にする

この2つを意識するだけでも生活のリズムを整えることができます。

社員の意見を聞く体制を構築する

企業側に社員の意見を聞く体制がないと、社員は徐々にやる気を失っていきます。このような企業に成長はありません。膨大な費用がかかるような提案でなければ、採用していく職場へ変えていきましょう。

1人の意見が採用されれば「自分の意見が採用されるかも」という意識へと変化していきます。このループが繰り返されることで職場が活性化され企業の成長だけでなく、学習性無力感の予防にもつながります。

誰にでも起こりうる学習性無力感

学習性無力感は引き起こしてしまった場合の克服方法だけでなく、引き起こさないための対策方法についても様々な方法が考えられています。

学習性無力感は誰にでも起こりうるため、事前の対策や事後の対応でうまく学習性無力感と付き合っていくことが重要です。

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