やりたい仕事があるから転職を考えるのか?
転職活動を行うときに、今までの経験を活かした同業種に転職するのか、新しい挑戦をするために異業種に転職するのかについて、多くの人が悩みを抱えています。
DODAの調査結果では、転職前と異なる業種に転職したか、異なる職種へ転職したか、その割合を知ることができます。異業種へ転職した人の割合は全体の半分を大きく超えて59.1%を占め、異職種へ転職した人の割合は全体の33.9%だったことがわかります。
転職を考える際、「やりたい仕事が明確にあるから」という理由で転職活動を始める人もいますが、多くの人が転職活動をしながらやりたい仕事を見つけています。
「やりたいことがみつからない」と具体的に転職を考えられない人も、仕事に対する核となる「自分の考え」を明確にすることによって、転職を考える際の理由や動機、つまり「仕事選びの軸」を見つけることができます。
転職に踏み切る際、「やりたいことがみつからない」と考えている人は多いようです。「自分がやりたいことがわからない」といった漠然とした悩みを抱えたままの転職活動では、転職活動自体が行き詰ってしまうことも多く、また、転職後の「以前の職場のほうが良かった」といった後悔を生み出す原因にもなりかねません。
今回は、仕事選びの際に見落としがちなポイントについて説明します。
仕事選びの際に見落としがちなポイントとは
転職活動をしていく中で、自身の「仕事選びの軸」や、どういった基準で判断していくか、自分の価値観がハッキリしてくる人も多いでしょう。軸や基準がハッキリとしてくることはとても良いことですが、軸や基準が現実からかけ離れ、自身の理想にばかりに偏っていないか、今一度確認することはとても大切です。
自身の価値観を重視するあまり、本来、考慮すべきポイントが抜け落ちている可能性があるからです。
以下に、軸や基準がハッキリと決まってきたときに、見直しておきたい考慮すべきポイントを挙げます。
時代が変わることで状況が変化すること
英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授は、「コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事がロボットなどの機械に代わられようとしている。今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論に至った」としています。
機械・人工知能(AI)に代わりそうな仕事だけでなく、流行に左右される仕事は、近い将来、仕事そのものがなくなる可能性があります。せっかく転職できたとしても、将来なくなる可能性の大きい仕事であれば、この先非常に苦労する可能性が高くなることは、容易に想像できます。
環境によって価値観が変化する可能性があること
考え方や行動の傾向、いわゆる「性格」は生まれ持ったもので、なかなか変わることはありませんが、自分自身の中で優先順位のつけることができる「価値観」は、環境によって変化することがあります。
就職する前は仕事のやりがいを重視していたとしても、結婚を考え始めると「やはり給与が大事だ」となるかもしれませんし、出産などのタイミングで「プライベートを重視したい」と思うかもしれません。
以前は重要視していなかったことが、環境が変わることによって重要なことになる可能性は、実際にはよくあることなのかもしれません。
持っている情報と現実が違う可能性があること
求人票で見た内容や面接で聞いた話と、実際の労働条件が違うというトラブルは、少なからずあるようです。
理想を思い描くだけでなく、具体的にどのような業務をするのか、採用担当者や面接官に確認し、きちんと理解しておくべきです。
内定後にもらえる労働条件通知書をしっかりチェックしておきましょう。通知書には、勤務地や仕事内容、休暇、賃金、退職などについて明記されています。転職はスキルや経験によって給与額が異なるため、求人票の「最低保証金額」と通知書の賃金に関する項目を見比べておきましょう。
労働条件通知書の内容が求人票や面接で聞いた内容と異なっていた場合は、すぐに希望転職先に確認することをお勧めします。相違がある場合、内定承諾後であっても、入社を取りやめることはルール違反にはなりません。
転職後に「こんなはずじゃなかった」とストレスをためるよりも、転職活動を再始動して、別の勤務先を探した方が賢明です。
これから先の変化を見逃さない
魅力ある仕事でも、将来的に先細りが予測できる業界であれば、不要な不安を抱える可能性があります。結婚や出産、あるいは介護に関わることで、自身の価値観が変化することも考えられます。
考えられる時代の変化や環境の変化、それに伴う自身の価値観の変化など、想像できる範囲で思い起こし、自身の仕事選びの軸や基準に照らし合わせてみましょう。予測できる変化を考慮しつつ、自身の価値観に合う仕事なのか、モチベーションが続くような仕事なのか、今一度確認することが大切です。
そのうえで、この先も続けたいと思う仕事に出会えることは、それだけで幸せなことでしょう。
選んだ仕事を一生続けていく必要は、実際にはありませんが、続けたいと思えるだけの理由があるのか、自分の価値観で何を大切にしたいのか、理想だけでなく現実も踏まえて考えることが大切です。