新卒入社後、すぐに転職したい人は珍しくない
昔に比べて転職することが一般的になっていますが、「新卒入社後、3年は続けた方がいい」と言われることは今でも珍しくありません。一方で、「入社してみたら思った仕事と違うから辞めたい」「もっと挑戦してみたいい仕事を見つけたから環境を変えたい」など、さまざまな理由で新卒入社後早いタイミングで転職を目指すケースは多いです。
マクロミルが2017年に行った「第10回 新社会人の意識調査」によれば、入社後1カ月の間に会社を辞めたいと思った経験の有無を尋ねたところ、「ある」と答えた人は36%にも上っています。
出典元『市場調査メディア ホノテ by Macromill』新社会人の意識調査
厚生労働省の調査を見てみると、大卒入社の人のうち、27年の新卒では、1年目に11.9%、2年目に22.3.%、3年目に31.8%の人が新卒で入った会社を辞めていることがわかります。
新卒入社後3年以内の離職の実態について触れておきましょう。3年以内に離職する人が30%を超えているのはここ最近の傾向ではないことがうかがえます。実は、平成21年3月調査を除き、平成8年調査から約20年もの間30%を超えているのです。
要因の一つとして、求人媒体のWeb化により、求職者側がより幅広い企業へ応募がしやすくなったことの影響が考えられます。応募障壁が下がった分、自己分析や業界研究が不十分なまま安易に応募、就職してしう人が増えたという可能性があります。
近年の売り手市場による影響も強い
近年は就職活動の短期化や有効求人倍率上昇が上昇し、売り手市場が続いていることから、前述のような安易な応募でも内定が出やすいという問題も起きています。
このような実態を背景に、入社後に会社や仕事とのミスマッチを感じる人は珍しくなく、離職してしまうという結果につながっています。
第二新卒の転職市場は基本的なビジネススキルが期待される
新卒入社後の離職率が高い状態は、「第二新卒」という転職市場の一分野の確立にも大きな影響をもたらしてきました。第二新卒とは、一般的に「新卒で入社して3年未満の求職者」を指します。その多くは、特別なスキルがなくとも、新卒入社後早期の転職者を歓迎する求人です。
第二新卒の人材を採用することは、企業から見るとさまざまなメリットがあります。
- 基本的なビジネススキルが備わっており、初期教育のコストカットにつながる
- 新卒入社で在籍していた企業のカラーに染まりきっておらず、柔軟さがあり教育がしやすい
- 新卒採用同様、今後成長するポテンシャルに期待できる
第二新卒として転職する場合、このように期待されているポイントを押さえたPRは内定獲得に欠かせませんので、意識しておくと良いでしょう。
新卒就活の失敗を繰り返さないために分析を
新卒で入社した企業選びの方法の失敗点を振り返っておくことも重要です。
- 業界理解は十分だったか
(業界全体の状況、志望企業の業界での立ち位置 など) - 企業理解は十分だったか
(ビジネスモデル、具体的な商材・サービス、業界内でのシェア、新商品やサービスへの積極性、社風 など) - 働き方や将来への考えは十分だったか
(業界や企業の慣習や特徴から考えられる働き方、将来的にどのようなキャリアステップが実現できそうか、自分自身がどうしたいか など)
こうしたポイントに加え、働き始めたからこそ気付いた視点も踏まえて転職活動の成功につなげましょう。
第二新卒での転職を目指すために、まずは冷静な判断と準備
新卒入社後3年以内の離職者は3割以上と多く、第二新卒として転職市場でも期待が持たれています。しかし、第二新卒として最低限のビジネススキルなどを持っていることが期待されていることを理解しておくことが前提としては大切です。労働基準法違反などのブラック企業などでない限りは、勢いで辞めることはせず、冷静に転職の可能性を考えることをおすすめします。
新卒の就職活動での失敗を繰り返さないよう、原因を整理した上で具体的な準備をして転職活動に臨みましょう。