職場の賃金に不満のある人が9割
不満のない職場で働きたいと考えながらも、現実はうまくいきません。日本法規情報が調査した「就労環境問題に対する意識調査」では「職場に不満のある」従業員が91%と、大多数の労働者が職場に不満を抱えています。
出典元『PR TIMES』「相談サポート通信 相談者実態調査」
不満内容として最も多く挙げられているのが「賃金・給与が安い」ことです。人事評価制度の仕組みはあれど、そもそもの給与が安い、給与が全然あがらないといったことが原因として考えられます。
出典元『PR TIMES』「相談サポート通信 相談者実態調査」
賃金・給与が安い場合には、現在勤めている会社に交渉する・転職をするなどの行動が考えられます。転職活動時での仕事探しの際には、多くの人が求人票から情報収集を行い、賃金・給与についても記載があります。
求人票に記載しなければならない項目として「賃金」があり、事前に分かるはずであるのに「基本給(額面)や手当などの記載で思っていた内容と違った」「客観的かつ公平な評価制度が用意されていない」などの理由から不満につながっています。今回は求人票に必ず記載される「賃金」について説明します。
求人票における賃金・給与の見方とは?
求人票における賃金・給与は「基本給」や「月給」などの形式で記載されます。基本給と月給は異なるため、それぞれの定義を知り、実際の給与金額についてイメージを持っておきましょう。
基本給とは
基本給とは「基本賃金」のことで、通勤手当や残業手当、役職手当、家族手当、インセンティブなどの各種手当てを含まない給料のことです。
基本給は一般的に「年齢」「スキル」「勤続年数」「会社への貢献度」「職種」などの基準を総合的に判断して決められます。「日給」「週給」「月給」「年俸」などの給与形態も、基本となる賃金は「基本給」と呼ばれます。
月給とは
月給とは、1ヶ月単位で支払われる賃金のことで、基本給に手当てを足したものです。すべての手当てが含まれるわけではなく、役職手当や家族手当などの毎月固定して支払われる手当が含まれます。
残業代や通勤手当など、金額が変動する手当ては月給に含まれません。ちなみに「手取り」は月給から所得税、住民税、社会保険料などを差し引いて、実際に手にする金額のことです。
賃金や基本給などの言葉の関係性について
月給は基本給と手当の金額を合わせた金額になります。賞与の計算が基本給の金額で計算される場合、求人票に月給が書いてあるのか、基本給が書いてあるのかによって受け取れる金額が大幅に異なる可能性があります。
賞与が3ヶ月分と仮定すると、月給20万円であっても、基本給が20万円なのか、基本給15万円+手当5万円なのかで、賞与で受け取れる金額は15万円も異なります。
手取り金額とは、月給から税金や保険料などの費用が減額された金額です。会社員であれば、保険金額は会社も負担するものの、従業員個人も負担しなければなりません。月給20万円であっても、実際の口座に振り込まれる金額は16万円程度になり、16万円が手取りとなります。
求人票に書かれる賃金について
賃金は基本給と手当を合算したもので書かれます。基本給と手当の割合など、内訳については書いていないこともあるため、賞与が基本給などで計算される場合には注意が必要です。
前年度の実績などを記載しているケースもあり、必ず求人票に記載されている金額になるとは限りません。その場合は労働契約書などで明記されるため、入社前に必ず確認しましょう。
賃金形態の種類について
正社員雇用の場合、多くの企業が「月給」となっていますが、外資系などでは「年俸」などとなっています。賃金形態についても事前に確認しておきましょう。
月給
毎月固定的な金額を支給する賃金形態です。日数が少ない2月や長期休暇のある1月や5月であっても給与額は変わりません。企業視点だと、月給制は毎月給与金額の見直しができるため、業績が伸びている or 落ちている会社の場合は随時変動する可能性があります。
年俸制
1年単位での金額を決め、12ヶ月に分割されて支払われる形です。月給制と比べると、年間単位での給与金額が決まるため、1年の間であれば基本給の上下が起こりにくいことが特徴です。
昨年度の実績が給与に反映される成果主義の会社や外資系企業によく見られる形態です。月給同様、日数の少ない2月や長期休暇のある月でも、給与額は変わりません。
日給制
1日あたりの賃金を勤務日数によって計算される形態です。フルタイムで働く契約社員や派遣社員などでよく見られる形態です。
正社員であっても、繁忙期と閑散期の差が激しい企業では採用される可能性もあります。勤務日数の少ない月や体調不良などで出勤できなかった場合には給与が減額されるため、勤務実態を確認しておきましょう。
時間給制
働いた時間と勤務時間数によって支払われる形態です。アルバイトやパートタイマーなどの採用でよく使われています。
日給制との違いは、勤務時間や業務量が日によって異なるかになります。短時間の出勤が求められる場合には時間給制が用いられます。
日給月給制
1日あたりで給料が定められ、支払いを月給として月1回まとめて支払う精度です。世間でイメージされる「月給」とは「月給制」ではなく「日給月給制」になります。
欠勤や遅刻、早退などで勤務時間や勤務日数が減少した場合は、賃金が下がります。
最低賃金の考え方とは?
最低賃金は、基本給と手当を含めた金額で計算されます。基本給が最低賃金以下であっても、手当との合計金額が最低賃金以上であれば法的には問題ありません。
時間外手当や通勤手当、家族手当については最低賃金の計算に含まれません。給与が最低賃金水準の場合は、どのような手当があるのか、正しく計算されているのかを確認しておきましょう。
基本給や手当の割合、金額の内訳などを把握することが大切。
賃金と言っても「基本給」や「手当」など、様々な計算が行われて実際に支払われる給与となります。特に基本給はボーナスや退職金などにも影響を与える金額であるため、賃金のうち「基本給」や「手当」の割合や金額の内訳などを把握することが大切です。
「賃金が低い」などの理由で辞めないためにも、入社時の賃金はもちろんのこと、社員の平均年齢や平均給与などから、どれぐらい昇給できそうか、事前にイメージをわかせておくことも大切でしょう。