従業員エンゲージメントとは?自社の従業員エンゲージメントを高める方法とは?
従業員エンゲージメントとは、従業員のやる気を高めて企業の業績を上げるために重要なものとして、世界中で注目を集めている指標です。
従業員エンゲージメントの向上は、企業の業績アップのために必要不可欠です。モチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学ビジネス・スクールが行った調査によると、エンゲージメントスコアと利益には右肩上がりの相関関係があると報告されています。
出典元『リンクアンドモチベーショングループ』「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開
米ギャラップの調査によると、日本の従業員エンゲージメントレベルは世界最低水準という結果が出ています。ルールが厳しく柔軟性に乏しかったり、上下関係の遠慮から本音でのコミュニケーションが難しいことなどが、要因として考えられています。実際に自社ではどうなのか、と気になる方も多いのではないでしょうか。
参考URL『日本経済新聞』「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査
日本では売り手市場が加速し、新規人材の獲得がより厳しくなることは明白です。会社を成長させるためには、既存の従業員エンゲージメントを高めることが、他国と比べてもより重要になると考えられます。
従業員エンゲージメントを高めるためには、自社の現状を正しく知り、向き合うことが非常に大切です。今回の記事では、細かい調査内容というよりも、従業員エンゲージメントを高めるために何を大切にしないといけないのか、目的や方法について説明します。
従業員エンゲージメントの調査方法とは?
調査方法は「自社で行う」または「外部専門機関に委託する」の2種類があります。
どちらの調査方法にも共通する大切なことは、「経営者のための調査」ではなく、「従業員を含めた、全員のための調査」であることです。
自社で行なう場合
最大のメリットはコストが抑えられることです。また定期的に開催することが容易なので、継続的に調査を行うことができます。
注意すべき点は、専門的な知識が必要であることです。会社は社員に対して同意を期待してしまう傾向があるため、誘導的な質問にならないよう気をつけなければなりません。
外部専門機関に委託する場合
専門的な知識がなくても、委託することで簡単に調査を行うことができます。また調査結果の絶対値だけでなく外部のベンチマークとの比較ができるような調査機関もあり、自社の課題をより明確にすることもできます。
デメリットは自社で行う場合に比べ、コストがかかることでしょう。
従業員エンゲージメント調査における正しい質問とは?
従業員エンゲージメント調査における、正しい質問のポイントは大きく分けて3つあります。
以下の3点がわかるような質問をすると、従業員の業績アップを実現できるような調査項目を組み立てるのに役立ちます。
- 会社のゴールの理解と関係づけ
- 同僚へのコミットメント
- 適切な能力を持っていること
1.会社のゴールの理解と関係づけ
従業員が会社のゴールをきちんと理解しているか、次に会社のゴールと自分の仕事の結びつきを理解しているかどうかを知ることがポイントです。
高い従業員エンゲージメントを実現するためには、従業員が会社の目指している目標を理解し、自主的に動くことが必要です。従業員が会社の目指す目標を理解し、納得できていなければ、共通の目的意識を持つことができません。
2.同僚へのコミットメント
同僚へのコミットメント(関わり合い)がしっかりしているか、従業員がチームの一員として、それぞれベストな仕事を遂行しているかを知ることがポイントになります。
会社という組織に属している以上、会社が目指している目標を達成するためには、従業員一人ひとりが役割を全うすることが必要です。同僚同士で成果物をコミットメントできているのか、といった視点から探ることが大切です。
3.適切な能力を持っていること
従業員が変化の中でもしっかりと仕事をすすめられるようなツールや情報を持っているか、周囲の人々を巻き込み、自信を持って遂行できる能力を持っているかを知ることがポイントです。
「会社のゴールの理解と関係づけ」「同僚へのコミットメント」とも共通しますが、与えられた役割を全うし、従業員同士が協力し合って会社のゴールを達成するためには、従業員一人ひとりに仕事を進めるうえでの適切な能力が必要です。
従業員エンゲージメント調査の意味と結果を踏まえた行動
従業員エンゲージメント調査では、調査結果を真摯に受け止め、行動に落とし込むことが重要です。
経営者や人事担当者としては、自社の従業員エンゲージメントは高くありたいと考えるのが当然ですが、実際は想像以上に従業員エンゲージメントが低い、ということが起こり得ます。
従業員エンゲージメントが低かったとしても、調査方法が間違っていると捉えるのではなく、低いことに対してどのように対策を行うべきかを考えることが大切です。調査結果を理解してアクションを起こし、従業員エンゲージメントを高めるという前提がなければ、調査自体が全く無意味なものになってしまいます。
せっかく従業員エンゲージメント調査を行っても、何のアクションも起こさない管理職の割合は、なんと52%にものぼるそうです。そもそも結果の確認さえしない管理職もいるとの話もあります。
従業員エンゲージメントの調査結果は、必ず従業員に向けて公開しましょう。調査の結果を受けて、従業員エンゲージメントを高めるためのアクションプランも結果と共に発表します。例え結果が良くなかったとしても、必ず発表するようにしてください。
部署別に調査結果を取りまとめ、部署のメンバー全員が自分たちの部署の課題は何か、どうすれば部署のエンゲージメントを高めることができるのかを本音で話し合える機会を作ることが、従業員エンゲージメントを高める方法として有効です。
組織のメンバー全員で職場を良くしていこうという取り組みが、従業員エンゲージメントの向上につながります。
調査結果から課題を見付けて業績アップにつなげよう!
従業員エンゲージメントの調査では、結果に一喜一憂するのではなく、次のアクション(施策)としてどうするかを考えることが大切です。調査そのものを目的とするのではなく、従業員エンゲージメントを高めるための現状把握である、という位置づけを忘れてはいけません。
従業員エンゲージメント調査結果から、どこに課題があるのか、課題をどうやって解決するのかを考え、一つひとつの課題を地道に解決していく必要があります。
組織を構成する一人ひとりが当事者意識を持って改善に向けて行動することで、従業員エンゲージメントが高まり、企業の成長につながっていくのです。