オーナーシップとは?企業経営で重要視される理由や活用するメリット

「オーナーシップ」は採用難だからこそ重要な考え方

リーマンショック以降、日本では求人倍率が右肩上がりを続けています。その数字はすぐに1.0を超えましたが、これは「求職者の数よりも仕事の数の方が多い」ということを示しています。それゆえに人材市場は現在「売り手市場」となっており、各企業間での採用競争が激化の一途を辿っています。

完全失業率、有効求人倍率
出典元『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』図1 完全失業率、有効求人倍率

帝国データバンクの調査によると、2019年10月は前年比で人手不足を感じる企業は減少したものの、未だに過半数以上の企業が正社員が不足していると実感しています。少子化に伴う労働人口の減少は、前述の「採用難」をさらに加速させており、人材不足の根本的解決はもはや社会現象と言えるものになっています。

従業員が不足している企業の割合
出典元『帝国データバンク』人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)

こうした問題を単なる「人材不足」と片付けることもできません。近年では、多くの業界でビジネスのグローバル化、新たなテクノロジーの導入が加速しており、業務内容は21世紀になってからもガラリと変わりました。企業が生き残っていくにはそうした変化に柔軟に対応することが求められており、だからこそ業務の効率化やそもそもの生産性の向上が必要不可欠となっています。

そうした現状を背景とし、今回は、各従業員が自分の業務を自分ごと化し、パフォーマンスを最大化できる概念であるオーナーシップについて説明します。

オーナーシップの意味や定義とは?

オーナーシップとは、一言で言えば「当事者意識を持つこと」です。

ビジネスの現場では、どんな人にも必ずなんらかの課題やミッションがあります。それを「上から言われたからやっている」というような他人事として捉えるのではなく、自ら積極的に自分の役割を果たし、どうしたら所属している組織への貢献を果たせるかを自発的に考え、行動できる姿勢のことを指しています。

オーナーシップとリーダーシップの共通点と違い

オーナーシップと似て非なる概念が「リーダーシップ」です。

リーダーシップは「一般に組織を牽引する能力」を指し、組織のメンバーに対してどのようにコミットするかという態度に関する概念でした。リーダーシップは組織のトップだけに求められると考えられていましたが、現在ではリーダーシップの考え方そのものが変化しているので、何もトップだけに求められるスキルではなくなりました。オーナーシップもリーダーシップも、課題やミッションに対して当事者意識を持って接するという点で共通しています。

両者に違いが生じるのは「マネジメント」という立場から考えた時です。

オーナーシップは個人の役割や業務に対する態度ですが、リーダーシップは「組織のメンバーのオーナーシップを引き出すこと」も重要な課題の1つとなっています。オーナーシップが引き出されると、仕事に対して自発的になり、組織の一員としての強い自覚が芽生えます。

オーナーシップを活用するメリットについて

オーナーシップを持つこと、つまり「当事者意識を強く持つ」という態度で組織にコミットできる人材が増えると、業務の生産性が飛躍的に向上します。

自分の役割を客観的に把握し、会社の利益を最大化するためにすべきことを自ら考え、提案できるようになります。そうした状態に育てるために注目したいのが以下の3つです。

  • 与えられた仕事や役割のコンセプトを理解できているか
  • 自分ができることとできないことを客観的に把握できているか
  • 自分の力になってくれる人がどこにどれだけいるかを把握できているか

オーナーシップを持った人材は、自分の能力と置かれた環境を客観視して広い視野で課題解決の糸口を見つけることができます。オーナーシップという考え方を軸にすると、課題解決には「自分の力だけではできないこともある」ことがわかるようになります。そのため仕事を通じて組織の他のメンバーを自然とサポートするようにもなり、帰属意識も芽生えます。

オーナーシップがしっかりと機能している職場は自然と「働きやすい環境」になりますので、離職者が少なくことも期待されます。

オーナーシップを活用するにあたっての注意点

オーナーシップは当事者意識と自発性が鍵となる概念ですが、実際にはどんな組織にもそうした態度を常に保つことが難しい人材も中にはいます。

現代のリーダーシップ理論では、組織の構成員の特徴に合わせて立ち居振る舞いを変えていくことが重要だと考えられています。部下にオーナーシップを促すといっても、そもそも自己主張を好まない人に対して自発性をいきなり求めても「職場の雰囲気が悪くなるだけ」というケースも往々にしてあります。

個人の性格や考え方に応じた役割をきちんと与えた上で、相手を尊重しながらそれぞれの課題に対する問題意識を提示することが、オーナーシップを育成する上での注意点となります。

オーナーシップで芽生えた当事者意識が生産性を向上させる

オーナーシップとは、担当する業務を自分ごと化できる姿勢のことです。これはモチベーションや従業員エンゲージメントにも強く影響を与える要素ですので、全ての従業員が身につけている状態が企業として好ましいと言えます。

オーナーシップを発揮してもらうためには、エンパワーメントという各従業員への権限や自身を与えることが必要不可欠です。そのためにも、現代のリーダーシップ理論である「状況・環境に応じてメンバー1人ひとりと接する」という態度が上司には求められます。

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